エリー様の都市破壊報告書1~3作目のできごとを踏まえての展開となります。
本編とは異なりエリー支配後も日本が壊滅していない世界線ですが、その分エリーに日本の都市が蹂躙されるシチュとなります。
エリー様の都市破壊報告書シリーズはなおたかさんのページで公開されています。
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あらすじ
調査官がこれまで作成した報告書を読んだエリーは、その調査官に興味を持った。そこでエリーは地球連邦政府へ連絡し、今後の都市破壊を楽しむためにも調査官との対談話を持ち掛けた。地球政府側は当然速やかに手配し次の大都市破壊が終わった後、その場でエリーと対談するように調査官へ伝え、調査官は大都市破壊を近場で観覧しつつ待機することとなった。


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大都市破壊のこの日、いつものように用意されていた大都市を壊滅させたエリーは、付近の海上で調査官の乗る船を手のひらの上に乗せると、一面ガレキと化した壊滅させた大都市へ戻っていく。

「この辺でいいかしら。ちょっとガレキが邪魔だし片付けてあげるわね。」

そう言うと足元のガレキを踏みしめ、ぐっと力を入れた状態で横に大きく足で薙ぎ払った。あっと言う間に250メートル×700メートル程のガレキが押し退けられ、うず高く堆積してしまっていた。

「それじゃここに船を下ろしてと。」

調査官は全長150メートル程ある政府が用意した船に乗っていたが、一面の更地の海に横向きに下ろされてしまった。その後エリーは宇宙船から威厳を感じさせる背もたれ付きの椅子を転送すると、一面ガレキと化した大都市跡地にドスンと置き、4本の椅子の脚がガレキをさらに粉砕して潰すとそこに腰かけた。その間に政府船に同上していた船員などは、本来調査官を送り届けるつもりで用意していた甲板上のヘリで全員離れており、船には調査官一人が残っていた。

「今日はよろしくね調査官さん。あなたの報告書読ませてもらってるわよ。先日日本の都市を地球人ごと見せしめに破壊してあげたけど、かなり効果があったみたいね。きちんと再建ができていなかった破壊指定都市担当の高官も一緒に処分できてたし、これなら日本は破壊指定都市の再建に真剣に取り組むわね。」


私は、破壊されていく大都市を眺めながら、内心緊張していた。
今日は、エリー様と会談する日だ。

先日、いつものように仕事を終えて帰ろうとすると、私の上司が血相を変えてやってきて、お前にエリー様が直々に話をしたいと言われてるぞ!と言われた。

私は戸惑いながらも承知し、この日、政府の用意した大型船からエリー様の都市破壊を拝見していた。
都市破壊を終えたエリー様がこちらへやってくると、大型船を簡単に掬い上げ、手のひらに乗せてしまった。
同乗していた者たちは、みな動揺して、エリー様の巨大な手のひらで右往左往していた。

エリー様が船を置くために、地上のガレキを足で撤去したらしい。
手のひらの上にある船からは見えなかったが、激しい破壊音があたりに響く。

そのまま、手のひらから地上に船が下ろされたが、その光景に驚愕した。
あれだけ破壊されたビルのガレキが、その場所からは無くなっていたのだ。
ふと思い遠くを見てみると、ガレキが小さな山のようにうず高く処分されていた。

「あれだけのガレキをあっという間に…」

地球人が報告書を書き、撤去予定を立てて、年単位で処分するものを、エリー様は足だけで、それも一瞬で済ませてしまった。

その光景をみた同乗者たちは、恐怖に駆られ逃げるように船から離れていった。

エリー様は用意した玉座に座り、小さな地球人である私を見ている。
横倒しになった船の側面に這い出すと、椅子の足がガレキを圧縮してそびえたつ様子が見える。

その玉座に足を組んで座りながら、エリー様は私の報告書を読んでいること、先日の大虐殺について触れていた。

「え、エリー様!本、日は、わた、私のような、ものに、話しかけていただき…」

エリー様のあまりの威圧感に、言葉が上手く伝えられない…


「アハハ、そんなに緊張しなくて大丈夫よ。叱責で呼びだした訳じゃないし。それより船が倒れてしまったけど大丈夫だった?」

ガレキは全て押し退けて更地にしたのでそこに船を置いても大丈夫かと思ったが、水の上でないからか置いた後ゆっくりと横転してしまっていた。地球人の脆さを考えると、怪我でもしてないかとも思ったが、幸いその心配はないようであった。

「そうね、まずはあなたの方から私に聞きたいことでも教えて頂戴。」


私の狼狽える様子が面白いと見えて、エリー様が笑いながら語りかけてくれた。
どうやら、船が横倒しになったことについて、心配してもらえているらしい。

「あ、ありがとうございます!!エリー様がご心配されるようなケガはしておりません!」

恐怖もあったが、それよりも喜びの方が大きかった。
そしてエリー様は私の質問に答えてくれる様だった。

「で、では質問を…先の、罰として処分された都市ですが、何やら上空に情報が浮かんでいたようなのですが、あれは…」

エリー様によって処分された地球人の名前、その死因について表示していたシステムについて聞いてみた。

「あれによって、地球人の間では、エリー様に弄ばれて処分されたことを激しく印象付けられました…」

破壊された跡を調査する私でも、かなり動揺した。
小学校が踏み潰されたと見られる情報が流れた際は戦慄したものだ。


「ああ、あれね。私が地球人ごと都市を破壊する時に、誰が、どうやって、何人死んだか可視化したら、ただ地球人ごと見せしめで処分するよりも楽しめると思ったの。私の破壊した場所やその方法がリアルタイムで反映されて楽しめたわ。これまでも地球人を罰で処分した時には、後日犠牲者数の統計が出ていたけど、このシステムならその場で犠牲者数もわかっちゃうの。って、その数字は表示してなかったわね。137万8751人と出ているわ。あなたの報告書もまあまあ当たってたけど、集計の手間を取らせちゃったかしら?」

「地球の、あの日は日本だったけど、低年齢層の子供の名前が面白い感じが多くて、ついつい次々潰してトレンドを勉強しちゃったわ。地球の中でも日本はアニメとか文化としても興味を惹かれるしね。」


「は、はぁ、集計手腕を褒めていただきありがとうございます…」

あの都市の被害状況の調査は困難を極めた。
何せエリー様に踏み潰された犠牲者は、足跡で一体となっており、凄惨の一言だったからだ。

それでも、都市人口からして、ほぼ全滅したとみられるので概算で数字を上げたのだが…
ここまで詳細まで把握されていたとは。

そして、学校施設を次々踏み潰してたのは、名前が面白かったから、らしかった。
確かに最近の幼い子は、一見読めない名前や外国語由来の名前がつけられているとは思ったが、それがエリー様の興味を引いてしまったようだった。

「トレンド、でしたか。それは私には想像もつかなかったです…」

思わずこみ上げるものを飲み込みつつ、他の話題に変えねば、と言葉をつづけた。

「…アニメやゲームなどの文化に興味がおありということですが、あの時のコスプレ、よくお似合いだったと思います。見ていて煌びやかな衣装が、エリー様のイメージによく合っていたように思います」

私が、質問箱にて提案した、あのアニメキャラのことだ。


「もう知られていると思うけど、地球人からのメッセージを受け付けているの。そこにあったメッセージで私にコスプレをして欲しい。だなんて…と思ったのだけど、キャラの紹介に自分の力で大勢を魅了して支配する強気な子とあったから、私が地球人に大都市破壊を見せ付けるイメージもしやすかったし、そういうことも込めてならと特別にね。」

「そうそう、あれからコスプレをしての都市破壊もありだと思ったから、あの後すぐ地球人に私のコスプレ衣装の作成を命じているの。今回リクエストに応えて私が衣装を用意してあげたのだし、次は地球人が作った衣装での都市破壊になるわね。」


「そうですね、エリー様に最高にシンクロするキャラだと思いました」

まさかエリー様にここまで気に入ってもらえるとは。

「私としても、書かせていただいた甲斐が…!!」

あっ、っと思ったが、すでに遅かった。
喜びのあまり思わず口を滑らしてしまった。

ふと上空、はるか上を見上げると、エリー様が分かっていたかのように笑っていた。

「す、すいません!出過ぎた真似をしたと反省しています!」

私はすぐに謝罪をしたが、エリー様は気にしていない様子だった。
よかった、許してもらえるとは。

「エリー様の次の衣装を作成している、という話は、私も聞いております。何やら別のアニメキャラクターということですが」

地球人にとって、エリー様の衣装を作るということは、世界規模のプロジェクトになる。
何せ、1680メートルという巨大なエリー様の衣装だ。
素材もそれだけ膨大に必要になるし、それに伴う人員も数千万人規模だ。

「エリー様のリクエストにお応えできるように、次回の都市破壊までには完成しているはずです。ですが…」

そういって、私は懸念していることを思い出す。
エリー様の衣装と、破壊指定都市の再建作業を同時進行しているため、いよいよ地球人の住む都市の維持が難しくなっているのだ。


「やっぱりね。これまでの報告書と言い、私に興味津々って感じが隠せていないもの。地球人の中には私の大都市破壊をとても楽しみにしているのがいて、そういう地球人は私の都市破壊の映像観賞や現地での観覧を熱心にしているみたいだけど、あなたもそういう地球人でしょ?報告書からもそんな感じがしてたし、だから気になったのかもね。」

1人の地球人に過ぎない調査官がエリーにお願いをして聞き入れてもらったなど、本来あり得ないことであるが、提案内容が気に入ったこともあり、エリーとしても悪い気はしていなかった。

「あれ、どうしたの?何か言いにくそうだけどこういう場なんだし、遠慮せずに言ってみてよ。」

調査官は何か心配そうな様子で歯切れが悪い言いぶりだったが、わざわざこうして対談の機会を設けたのだから、困りごとだろうと聞いてみよう。エリーは軽く考えて調査官にそう語りかけた。


「は、はい。今、エリー様の期待に答えられるように、地球人一丸となって都市再建をしてるのですが、いよいよ、より良く再建作業を行おうと思い、人口集積を図ろうと思っています」


「なるほどね。それなら私の破壊指定都市がより立派に再建されそうね。いいことじゃない。でも、それならどうして困ったような言いぶりなのかな?」

調査官の言葉から、地球人達が自分との約束を果たすためにより一層努力していると感じたエリーは気分良く、しかしふと生じた疑問を口にした。


エリー様が、私の様子をみて怪訝な様子でこちらを見ていた。
私が言いたいことを、見透かされたような気がした。
なので、言葉を慎重に選んで、エリー様へ報告するように話す。

「そのため比較的人口の少ない地方の住民を、再建に必要なものを生産する都市に近い街へ、移住を考えているのです。ですが、破壊指定都市の時よりも、移住の進捗が芳しくなく…」

これまでエリー様への奉仕を最優先してきたのに、私たちの住居まで奪うのか!
移住計画を提案したときの反応は、そんな感じであった。


「そうねー。破壊指定都市の地球人は労働力が減らないように、都市破壊に巻き込んで殺さないようにしたものね。なのに、どうして今回は移住が進まないのかな?」

自分の破壊指定都市再建のための計画だと言うのに、上手くいっていないような言い方にエリーは少し違和感を感じていた。


エリー様が、ますます分からない、という顔をしている。
巨大な椅子に座ったまま、上半身をこちらに倒してこちらを覗き込んでいるのだ。
私は、恐怖に押し潰れそうになりながらも、話を続けた。

「はい、どうやら住民はその土地からは離れたくないようで…しかし、このままでは地方を維持する費用をねん出することが出来ず、その、」

言っていいものか逡巡したものの、しかし覗き込んでくるエリー様の圧に屈して言ってしまった。

「その、エリー様の期待に応えることが出来なくなる可能性があります…」


「ふーん。つまり、政府の地球人達は破壊指定都市の再建に努めようとしているけれど、わがままで反対してる地球人達を上手くコントロールできなくて、結果再建がまた約束通りいかないかもってこと?」

「おかしくない?あなた、日本の地球人で、それ日本の話だよね?先日日本の都市再建が約束通りできてなかったから見せしめをしてあげたのに、まだそんなことを言う日本の地球人がたくさんいるんだ。」

非常に重々しい空気が流れたが、エリーが続けざまに口を開いた。

「…そうだ。なら、いいことを思い付いたわ。ちょっとあなたの端末を見て。」

するとエリーが携帯端末を操作した直後、調査官の端末にこんなメッセージが表示されていた

『私がその人口の少ない地方をいくつか予告なしで破壊してあげる。』

『段取りは私が政府に連絡して付けておくわ。あなたには当日、報告書作成のためにも現地でその様子を見て貰うわね。』

エリーはこれはオフレコで進めると言わんばかりのウィンクを調査官へして見せた。


「!!!」

エリー様が、私の端末に送ってきた内容に驚愕した。
人口の少ない地方を、直接破壊してしまうというのだ。

確かに、破壊指定都市の再建が上手くなされなかったときの状況は、痛いほど分かっていた。
これでまた、多くの人命が失われてしまうのか…

しかし、同時に私の中で、不思議な気持ちが芽生えていた。
エリー様直々に、私に報告書を書いてほしいと言われたこともそうだが、その様子を見ていてほしい、というのだ。
まさか、エリー様からみたらチリ以下の存在であるはずなのに、ここまで言ってくれるのか…
それなら…期待に答えないといけない。

私は、エリー様のウインクを受けて、この秘密を共有できることに喜びつつ、返信を送った。

『分かりました、エリー様の破壊内容を、しっかりこの目に焼きつけ報告したいと思います。まだ移住しない住民たちは気の毒ですが、これもエリー様のためです。破壊活動されるときは、私を呼んでください。すぐに駆けつけます!』


「ふふ、じゃあよろしくね。今日は大都市破壊も楽しかったけど、有意義な一日だったわ。」

その後エリーは玉座の様な椅子と一緒に円形光線で宇宙船へと戻り、日本政府へ地方都市をいくつか放棄して破壊指定都市へ生産力を集中する計画が住民の反対で進んでいないこと、それに対し自分がその地方都市を見せしめに破壊することで、移住を促すことを告げた。
決行日は次回と次々回の大都市破壊の日の間、45日後とし、それまでに移住を進めることは認めるが、見せしめ破壊実施のリークは厳禁とされ、命じているコスプレ衣装をそれまでに用意することが求められていた。


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そして45日後、日本のある地方都市上空にエリーの乗る宇宙船が突如現れ、都市破壊の日でもなく、政府に移住を促されつつもそれに反対して、破壊指定都市でもないその都市に残り続けていた多くの地球人達の頭上へ、250メートルの黒いブーツが勢いよく振り下ろされたのだった。

「ハーイ、この都市の地球人達、びっくりしたかな?政府から破壊指定都市再建のため、地方都市から移住して生産力を集中しようとする計画が出てるのに、それに反対する地球人が大勢いると聞いたわ。これは立派な私との約束違反。今日はそんな地球人達がどうなるか、わからせてあげるわね。」

そう告げたエリーは、黒のニーハイブーツに軍服チックな黒のタイトスカート、肩からは大きくなびかせた黒のマントを身にまとい、同じく黒の軍帽でエリート女性高級将校を思わせる出で立ちを、腰に手をあてて周辺の地球人達へ見せ付けるのであった。


「エリー様にここに来て待機するように言われたが…」
私は、とある地方都市のビルの屋上に来ていた。

移住指定都市ではあるが、そこそこの大きさのこの都市は、移住が依然として進んでおらず、大規模なデモ活動や、鎮圧隊との小競り合いが日常となっていた。
今でも、屋上からでも見えるくらいにデモ隊の人だかりが確認できる。

「いよいよだ、この街も…しっかりと記録に残さないと…」
エリー様がもうすぐ降臨されて、街は壊滅してしまうだろう。
あそこに見えるデモ隊も、全員が生きては帰れないと分かった。
しかし、それも含めて、私の報告書の中に記すのだ。

すべては、エリー様が望んだこと…

私が、自分の意思を確かめた瞬間、上空が急に暗くなり、デモ隊が何事かと立ち止まった。
と、次の瞬間、都市全体を揺るがす激しい揺れが襲い掛かり、私は屋上の手すりにしがみ付くほかなかった。

「な、何が…あああ!!」

揺れが落ち着き、私が顔を上げると、そこには漆黒の黒いニーハイブーツの足元があった。
驚いで上を見上げていくと、はるか上空でニーハイの絶対領域が見える脚、その先に黒いスカートのようなオーロラのごとく大きい布が見えた。
あまりにも巨大で、全体像が把握できないが、エリー様が降臨されたんだ!

「す、凄い…あ、足元!」

私は視線をニーハイブーツの足元に向けると、デモ隊がその靴底に消えていた。
周りの住宅やビルも巻き込み、地球人なんて居ないかの如く君臨している。

「これは、もしかして軍服風のコスプレ…?」

私の中で、とあるアニメキャラクターが想起された。
軍服のよく似合う、長身のキャラだったはずだ。

その上で、エリー様を見上げると、確かに黒いマントを羽織っているのが見えた。

「やっぱり!あのキャラのコスプレだ!」

手に腰を当てて、ポーズをとるエリー様に私は見とれていた。


「さて、早速だけどこの都市をめちゃめちゃにしてあげるわね。先日アニメアイドルのコスプレをしてゲリラライブをしながら都市破壊をしてあげたけど、今日はこの地球の軍服風コスプレにしてみたわ。今回は地球人達に作らせたけど、約束違反に加担する地球人達を罰するのにとても良く似合っていると思わない?まずはブーツでこんな風に!」

そう告げたエリーは、降臨時に踏み潰した中心部の市庁舎の残骸を後に脚を大きく掲げると、足元の市街地を綺麗に黒光りするニーハイブーツで念入りに踏み潰していった。一歩ごとに次の250メートル分の区画が踏み潰され、ソールとヒールの間に位置したビル群も衝撃で粉砕されたことで、エリーが通り過ぎた市街地は人々の亡骸も判別できない程、徹底的に蹂躙し尽くされていた。


ついにエリー様の蹂躙が開始された。
この街の破壊宣言を行い、市庁舎の残骸から足を引き抜くと、そのまま市街地へかざしていく。
足元の地球人はパニックになり逃げ惑うが、すでに遅かった。

エリー様が、足を振り下ろす瞬間、私にウインクをしてくれた。
これからの破壊を見ていなさい、ということだろう。

私は、そのウインクとともに、振り下ろされたニーハイブーツが街を踏み潰していく様子を記録していく。
あまりにも激しく、あまりにも美しかった。

1歩ごとに250メートルの範囲が、エリー様のブーツの底に消えていき、すぐに次の1歩が振り下ろされていく。
その場にいた人たち、街を構成していた物、建物、車、住宅、低層ビル。
そのすべてが区別なく、エリー様に蹂躙され、破壊されていく。

さながら、エリー様が支配者としての凱旋パレードをしているような光景だった。

エリー様が進んでいった市街地を見たが、地球人から見たら壮絶な光景が広がっていた。
さっきまで、街があったはずなのに。確かに人が住んでいたはずなのに。
そこには血肉とガレキの入り混じった死の世界だった。


「地方都市とは言え、中心部はまあまあビル群があるわね。ん、これはこの都市の中心駅のようね。丁度電車がいて、地球人達が駆け込んでるみたいだけど、散々移住を拒んでおいて今更なんて虫が良すぎると思わない?」

エリーは電車の進行方向の線路を大きく跨ぐように左脚のブーツを振り下ろすと、そのまま駅へ向けて左脚を大きく横滑りさせてしまう。地面を滑るブーツの進路上にあった何もかもがすり潰され、薙ぎ払われていき、中心駅を通過する際にもその速度は少しも衰えることはなかった。勢いそのまま駅も人々が駆け込んでいた車両も全てが綺麗に輝くブーツに呑み込まれていった。駅前のロータリーもたくさんのバスや人々がみな成す術なく、平に変えられ、駅前にあるこの地方一のデパートも、売り場にある数々の高価な品々ごと黒のブーツが薙ぎ払い全てをゴミへ変えてしまった。


エリー様が、凱旋パレードの如き蹂躙を続けていく。
足を下ろす度に、激しい揺れに見舞われた街は、もはや交通網が機能しているとは思えなかった。

それでも、ここから見える、この地方最大のターミナル駅には多くの人が詰めかけ、一縷の望みにすがっている様子が見て取れた。

しかし、それがエリー様の逆鱗に触れてしまったようだ。
ホームに溢れ、満員で発車することが出来ない電車をみて、今更逃げるなんて虫が良すぎない?と。

エリー様は、線路をまたぎ越し、電車が進行する方向の線路へニーハイブーツを振り下ろす。
激しい音とともに、線路が破壊されたが、ブーツを駅のほうへ、そのまま動かしたのだ。

進路上に居た、駅に入れなかった電車が、ブーツの下に消えていった。
そして、線路幅をはみ出したブーツは、路線沿いの住宅も一緒にすり潰していく。

ついに駅が薙ぎ払われた。ホーム上にいた大勢の群衆や避難民で満載の電車が、ブーツに呑みこまれた。
それどころか、バスやタクシーで逃げようとしていた駅前ロータリーや、この地方最大の駅前デパートも残さず薙ぎ払われる。

デパートは6階建てであったが、エリー様のニーハイブーツの前では、ヒールの高さの半分にも満たない建物だった。
内部構造を暴露し、爆発するかのようにブーツに薙ぎ払われ、そのまま靴底へ消えていった。

たった1回の薙ぎ払いで、どれだけの犠牲、どれだけの被害が出たのか想像もできない…

私は、興奮しながらその様子を記録していった。


「都市の中心はもうほとんど壊滅しちゃったわね。ま、地方都市じゃこんなものよね。なら、次は一気にやってしまうわね。」

完全に壊滅した駅前を踏み越えると、エリーの視線の先にはマンションや学校、病院などが点在する住宅街が広がっていた。駅前に近い比較的高層マンションが多い区画に何の遠慮もなく腰を下ろし、タイトスカートで敷き潰すと、ニーハイブーツに包まれた脚を大きく開脚して下ろし、たくさんの住宅をブーツの下敷きにしてしまった。

「ふふ、しっかりブーツに覆われた脚でみんなすり潰してあげる。」

そのままエリーが広げた両脚を、地面の住宅街に擦り付けるように内側に向けて寄せていった。あっと言う間にエリーのニーハイブーツで覆われた両脚に囲われた人々に逃げる間などほとんど与えられず、様々な建物と共にただすり潰されていくのみであった。

「こうして見てわかるのは学校くらいかな?地球人がいるみたいだし、小さいうちから既に私の破壊指定都市再建に協力しないでいるなんて、この都市は子供への教育もできていないようね。」


エリー様が駅前を薙ぎ払った後、一気に破壊をやってしまうと宣言した。
これ以上の蹂躙が、一体どうやって?

私の疑問をよそに、まだ蹂躙されずに無事であった住宅街へとエリー様が進んでいく。
マンションや病院、学校などがまばらに点在し、そのほとんどが戸建て住宅である区画を、エリー様はタイトスカートの下に敷き潰していった。
直接エリー様のお尻に当たらなくても、体制を整えるためにエリー様が動くだけで、お尻の縁にあった住宅がすり潰されていった。

エリー様は、ニーハイブーツを履く長い脚を、住宅地へ伸ばし、そのまま大股になって着地させた。
直撃を受けた住宅街は、すぐにブーツの餌食となったが、まだ脚の間には夥しい数の住宅やマンション、学校などが存在していた。
まさか、エリー様はそのまま…?

私の予想は、現実に実行に移された。
ニーハイブーツに包まれた脚が、だんだんと閉じられていったのである。

すり潰されていくマンションや病院、学校よりもはるかに高くそびえたつ、エリー様のニーハイブーツは、一切の慈悲はなく、すべてをすり潰し、なぎ倒していく。

右足の太ももあたりにあった学校がすり潰される瞬間、屋上から飛び降りる生徒らしき影が多く見えた。きっとエリー様の脚から逃げようとしたのであろう。

しかし、エリー様のニーハイブーツからみたら、学校なんて少しすり潰したときに感触がある程度だろう。
エリー様の無慈悲な言葉が、学校へ投げかけられたが、それに答えられるものは、もはや1人も残されてはいなかった。


「ブーツを使っての都市破壊も中々楽しいわね。それにこのコスチューム、都市を制圧するのに気分が昂って来るじゃない。破壊指定都市よりも、こういう日に着たのは正解だったわね。」

コスプレした状態で、地球人達ごと都市破壊をする感想を述べる間にも、エリーの破壊は止むことなく、再び立ち上がったエリーは市内を徹底的に蹂躙していった。

「また電車がいるのね。これも踏み潰してあげる。並んでいる車列だって逃がさないわよ。ここに居座ってる地球人の住宅なんかみんな潰してあげる。」

その後も市街化された地域を歩き回り、ブーツで踏み潰し、時に薙ぎ払いを続け、ものの数分で市内をめちゃめちゃに破壊したエリーは、最初に降臨した市の中心部へ戻ると、市一番の高層ビルのすぐ横に立ち、その周囲に僅かに残っていたビルを丁寧にブーツの先ですり潰して処分し、その高層ビル以外の無傷な建物が皆無となった。


住宅地をすり潰したエリー様は、その場に立ち上がると、また踏み潰しによる蹂躙を再開した。
エリー様としても、このコスプレ衣装は気持ちが高ぶってくるらしく、いつもの破壊指定都市の蹂躙よりも、ずっと苛烈に街を破壊していく。

街から逃げようとして立往生していた電車も、進退窮まり動けなくなった車列も、そこに留まることしか出来なかった人たちがいる建物も、一切の区別なくニーハイブーツが踏み潰していく。

蹂躙が始まって数分しか経っていないのに、もうこの街には私のいる周辺の地区以外は凄まじい破壊の波に呑まれていった。
エリー様は、周りのビルを区画ごとソールで丁寧にすり潰し、ついにこの街の大きい建物は、このビルだけになってしまった。

エリー様は、降臨した時と変わらない様子で、ニーハイブーツをビルの横に聳えさせていた。


「さて、私の都市破壊、しっかり目に焼き付けてくれた?」

エリーは唯一健在な高層ビルの屋上にいる調査官に向けて語り掛け、再度ウインクをしてみせた。

「そういえばあなた、こういうブーツが好きなのよね。以前言っていたでしょう?」

エリーは脚をほんの少し浮かせた状態で、高層ビルにギリギリまでブーツを近付けながら語り掛けていた。

「にしても、この都市で一番のビルがこれなの?ヒール部分の高さと同じくらいって感じじゃない。こうして間に入ってしまうんじゃないの?」

そのままビルの頭上にブーツをかざすと、衝撃でビルが倒壊しないようにゆっくりとソールとヒールの間の空間にビルを収めてみせた。


ついにエリー様が、この街での蹂躙を終えたみたいだった。
私の方に、再度ウインクをして、しっかり記録したかと問いかけている。

エリー様に伝わるかどうか分からないが、大きく手を振ってアピールしてみた。
その様子を見て、エリー様は満足されたみたいだった。

と、急にエリー様が、こんなブーツ好きでしょ?と問いかけてきた。
もちろん大好きなのだが、何だか恥ずかしくなってしまい、即答できずにいると、エリー様のブーツの底が、ビルの上に翳され、だんだんとこっちへ迫ってきているみたいだった。

その様子を見た私は、あわてて、屋上に設置されていたカプセルに滑り込む。
エリー様が、危ないと思ったら入っておきなさい、と言っていたものだ。

カプセルに入り上を見上げると、エリー様の脚は止まることなく、ついに屋上をすり潰す。
そのまま数階層をすり潰した後、ビルの破壊が止まった。
私の入ったカプセルには、一切キズもつかず、残った階層の上にめり込むような形で留まっていた。

安堵して周りを見回した私は絶句した。
脚を止めたのではない。ただ地面に接地しただけだった。
100メートルもある高層ビルを、エリー様はソールとヒールの間に収めてしまったのだった。


「ふふ、ほら!私が履くブーツのヒールの高さにも満たない…ってひょっとして少し当たってた?」

脚を上げ高層ビルの屋上を見ると、先ほどまでほぼ平面だった屋上が、少し崩れたような状態であることが見て取れた。実際は最上階から数フロアが潰されて崩れ去る程の破壊をもたらしていた。

「ちょっと悪かったかな?でも地球人保護用のカプセルでちゃんと無傷ね。そうだ、このビルの中や付近にもまだこの都市の地球人がいるわね。なら、今度はきちんと踏み潰してあげる!」

エリーはこの日最大級に大きく脚を振り上げると、ソール部分の真ん中にこの都市で唯一残っていた高層ビルを捉え、思い切り踏み潰して見せた。


エリー様が勝ち誇ったように、この街一番の高さのビルをがヒール以下の高さだと貶した。
しかし、実際には屋上から数階層をすり潰していたのだが。

しかし、一旦脚をあげてビルが少し崩れているのをみて、私に悪かったかなと、少しばつの悪そうな顔をしていた。
すぐにエリー様は、今日一番に脚を振り上げると、そのまま勢いよく高層ビルを踏み潰した。
下に避難していた人や、周りの区域に残っていた人も、残らず処分された。

私は、カプセルごと地中に埋められてしまった。


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「さ、これでこの都市は壊滅させたけど、これで終わりじゃないわ。この地方一帯を廃棄しないと人口集中計画にならないのだから、近くの都市も破壊するわね。って、保護カプセルごと調査官さんが埋まってしまったわね…それじゃあこうして…」

エリーは自分が踏み潰したビル跡に円形光線を当て埋まったカプセルだけを掬い上げると、そのまま光線を腰のベルトに当て、カプセルをそこに固定した。

「どう?さっきの小さなビルの屋上よりもずっといい眺めじゃない?これから近くの都市へ移動するけど、その途中の街も含めてどうなるかよく見ておいてね。」


エリー様が勢いよくブーツで踏み潰したビルは、地中十数メートルに埋め込まれてしまったが、
私の入っていたカプセルには、キズ一つ付かず、衝撃も何も感じられなかった。

私が、地中でどうしようかと考えていると、上から光が当てられ、カプセルごと空中へ引き上げられてしまった。

どうやら、エリー様に引き上げてもらえたらしい。
光線は、エリー様の腰のベルトへと当てられ、カプセルはそこに固定された。

私が下を見ると、はるか下に蹂躙された街が見え、それと対照的に街を踏みしめている、エリー様のニーハイブーツを履いた脚が見えた。

先ほど私が居たビルは、この地方一だと聞いていたが、ここから見える景色と比較したら、すごくちっぽけなものに感じた。

「エリー様、よく地上の様子が見えています!これならいろいろ観察して報告が出来そうです!」


「この地方で2番目に大きい都市は…20キロくらい先にあるみたいね。途中の街は適当に踏み潰していくから、生き残りは全員移住するように観察と報告をよろしくね。」

エリーは端末が示した方向の別の都市へ向け、破壊し尽くしたこの都市を後に歩みを進めていった。少し歩くと市街化区域を抜け、住宅や田畑ばかりの地域となった。

「この辺りは地球人が作物を育ている地域みたいね。綺麗な黄金色に実っていて、丁度これから収穫期になるようだけどこの地方一帯は廃棄するし、今日はこの後も非協力的な地球人を見せしめに結構潰してしまうから、この辺りで栽培してた食料も要らないでしょ。」

エリーは進む先が住宅だろうと田畑だろうと構わずブーツを振り下ろしていったが、一面実っている稲穂も踏み潰すと土色に変わってしまうのが少し面白く、わざわざブーツで踏み躙るようにして、国内でも有数の穀倉地帯をただの荒れ地へと変えていった。

「この地域も昔開墾して、毎年頑張って作物を栽培してたんでしょうけど、私に逆らう地球人が作っていた食べ物なんて他の地球人に食べさせだってしないんだから、みんな踏み潰してあげる。」


エリー様は次の街に移動すると宣言され、その際の観察と報告を命じられる。
私は力強く返事をし、エリー様の侵攻していく先を注意深く観察した。

20キロ先にある大きな街へ移動すると聞き、少し遠いなと感じたが、エリー様にとっては20メートルほどになる。しっかり観察をしていないと、すぐに着いてしまうだろう。

地上では、都市化された地区を離れ、都市間の閑散とした地区になっていた。
エリー様が歩みを進める度に、車が、住宅が、そして逃げ惑う人が、ブーツの底へ消えていく。
周りの地球人サイズの建物と比較して、想像を絶する巨大な足跡が残り、すべて踏み潰れて圧縮されてた。

エリー様は、そんな住民たちを気にも留めず、住宅の周りに広がる田園を踏みにじっていた。
この地方は、わが国有数の穀倉地帯であり、エリー様の破壊指定都市再建にあまり貢献できない地方都市にとっては、存在意義そのものといっていい。

そんな田園地帯も、エリー様にとっては、私に逆らう地球人が作ったものだから、という理由で存在してはいけないものになった。
1歩ごとに数千人分に及ぶであろう穀物が踏み潰され、跡には周りより凹んだ田畑が残り、周りから水が注ぎ込んでいた。
そんな蹂躙が数秒ごとに行われ、あっという間に田園地帯が荒地へ変わってしまった。
これから、この国の食糧事情はどうなってしまうのだろうか...


「結構ぐちゃぐちゃにしてみたけど、全部踏み潰して回るのも退屈ね。もうこの地域は十分再起不能になっただろうし、次はあっちの都市を壊滅させるわね。」

田畑をめちゃめちゃに踏み荒らしたエリーは進路を戻して進んでいく。

「それにしても、こんなまともな建物も無い地域にしがみつくようにする地球人の気が知れないわね。どうして移住しようとしないのかな。」

いつも地球有数の大都市ばかり破壊しているエリーから見れば、ほとんど開発されていないような地域になぜあえて住み続けようとするのか疑問であった。しかし、こうしている今も運の悪い者は踏み潰され続けているこの地方の人々にすれば、支配者であるエリーのブーツで生まれ育ったふるさとを踏み躙られている現状は耐え難いものがあった。
また、大都市部より体の不自由な高齢者や、難病で静かなこの土地で静養している者の割合も多く、そういった者達は元々都市部への移住がしにくく、この状況でも避難困難であったが、エリーに一緒くたに踏み潰されていくことに変わりはなかった。


国有数の穀倉地帯を蹂躙しつくしたエリー様は、次の大きい街への移動を再開された。

エリー様がブーツの足元にあるものを踏み潰しながら、なぜこんなところに住み続けているのか、という疑問を投げかけていた。

確かにエリー様から見れば、地球人たちは非常に効率の悪いことをしているのだろう。
今回の強制移住に至った件など、それの最たる例だと思う。

しかし、住民たちにとってみれば、かけがえのない故郷である、ということも承知している。
離れたくないし、中には離れられずにこの地方に残って生きている住民も数多く居るだろう。

そんな健気な住民たちにも、エリー様のブーツが振り下ろされ、残らず踏み潰されていく。

エリー様の進路上にある住宅から出てきて、何でこんなことをするんだ、と抗議する人。
住宅に留まり、エリー様が起こす激しい振動に耐えながら、祈りを捧げる人。
終末医療を行う病院の屋上で、白いシーツを振り、エリー様へ踏み潰さないでくれと頼む人たち。

この高さからでも、様々な住民たちがここに生きていることを確認できた。
エリー様にはそんな思いは何一つ届かず、住宅や大きい病院が住民ごとブーツに踏み潰されていくことには変わりなかったが。
ブーツで踏み潰すときでも、エリー様には、何故住民がそこにいるのか理解できない様子だった。

足跡に、数点の赤いシミに見えるものが、住民が生きていたという証拠になった。


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「この都市の地球人達も聞きなさい。この地方の地球人達は移住して生産力を高める計画に反対して残っていると聞いているわ。さっきから見えていただろうけど、今日はそんな私に逆らう地球人達がどうなるか見せしめに来たの。ここもめちゃめちゃにしていくからね。」

早速都市の市街化された地域へ容赦なくブーツを振り下ろし、めちゃめちゃに破壊していくエリー。すると丁度都市の駅から離れていく電車と、駅に向かっていく電車、合わせて2編成が動いているのが見て取れた。

「ここでも今更助かろうだなんて、そんなの許される訳ないでしょう?」

先ほどからの中心都市の大破壊を見て逃げる避難民で満載になって離れていく電車と、救援のため逆に駅へ向かっていく電車。その2編成がすれ違っていく正にそのタイミングで、それらを両断するようにエリーのロングブーツが振り下ろされた。90メートル幅で直接踏み潰された車両は避難民ごと一気に圧縮され、踏み潰されなかった車両も走行速度そのままに脱線、転覆し線路周辺へ転がっていった。

「潰せなかった車両にはまだ生き残りの地球人がいるかな。あれ?爆発した?」

避難民を満載したまま脱線した数両の車両は、100キロ近い速度のまま線路から外れた場所にあったガソリンスタンドに突っ込んでしまい、その衝撃で激しい爆発を起こしたことで、僅かに生き残っていた人々も炎に焼かれて絶命していった。

「これだけの炎の中なら地球人は全滅ね。次行くわよ。」


ついに次の街に降臨されたエリー様は、激しい蹂躙を開始される。
凄まじい速度で、綺麗な街並みが地獄と化していく。

そんな中、エリー様から逃げようとしていた電車が、猛スピードで郊外へ移動しているようだった。
しかし、エリー様がそれを見逃すわけがない。
最初の街でもあったように、今更逃げるなんていう行為に、酷く怒っているようだった。

エリー様が、電車に近づいていく。が、すぐには踏み潰さない。
どうやら、郊外から街へ向かってくる電車を待っているみたいだった。
それを見ていたエリー様の視線がひどく冷たく感じる。
今更逃げるだけでも重罪なのに、助けに来るなんて、許されないことだ…
まさか、同時に踏み潰そうと…!

私の予感は、果たして的中した。
エリー様から見れば、とても鈍足な2編成の電車は、すれ違う瞬間を見計らっていたエリー様のニーハイブーツによって、同時に踏み潰された。

まず、郊外に逃げようとしていた電車の方であるが、8両編成のうち、後方3両がブーツに踏み潰された。
避難しようとしていた人々で満載だったであろう車両は、エリー様がブーツを動かした後の足跡にへばりつくようにして存在していた。
まるで3つの小さな空き缶を潰したように見えたが、1つ1つが20メートルもある電車だ。
エリー様の膨大な重量によって圧縮された電車から、赤黒い液体がにじみ出るようにして輪を描いていた。

悲惨だったのは前5両である。エリー様が踏み潰した衝撃で跳ね上がった車両は、勢いそのままに脱線し、近くにあったガソリンスタンドへ飛び込んでしまった。
ガソリンスタンドは大爆発を起こし、あっという間に5両の電車が、周りの建物とともに炎に飲み込まれた。
踏み潰された衝撃で、即死した者も多かったが直接潰されなかったので、生き残っていた者も多数いた。
しかし、大爆発とともに発生した大火災によって、一人残らず焼死したようであった。
四肢を欠損した遺体が、折り重なるように焼死していたのが確認された。

次に、街へ向かおうとしていた電車であるが、前1両、後ろ2両が踏み潰されずに済み、真ん中5両(後ろ側1両は半分ほど)が直接踏み潰され、乗っていた乗客たちは、何が起きたのかも把握できずに即死したとみられる。
エリー様の侵攻を察知した鉄道会社が、救援のためにこの電車を街に向わせていたらしく、途中降りることが出来なかった乗客が犠牲となった。

前1両は、逆向きに進んでいた電車と同じように、大きく線路上を跳ね、脱線転覆した。
幸い、電車は原型をかろうじて留めたが、真ん中から90度ほど折れ曲がり、中央付近にいた乗客たちは、折れ曲がった車体に挟みこまれる形で死亡した。また、曲がった部分に激突することで、バラバラになってしまった遺体も多数発見された。

後ろ2両は、踏み潰されなかったものの、エリー様のブーツに激しく激突した。
中途半端に踏み潰されなかった後方3両目の車両に、後方2両目の車両がめり込み、その付近にいた乗客は、電車と一体化して潰れてしまったり、脚や腕がちぎれ飛んで、床に散らばってしまったりしてしまった。
最後尾車両は、半分ほど潰れるぐらいで、最も被害が少なかったものの、即死した人々の血液が床一面に広がるなか、生存者のうめき声や叫び声が響き渡り、地獄のようであった。

エリー様は、凄惨な被害状況に気づかない様子であったが、これほどの犠牲を、たったの1歩で引き起こしたのであった。


「この都市には超高層ビルや大きな建物はあまりなさそうね。あれは…ショッピングセンターかな?」

電車を大勢の避難民ごと処分したエリーは都市を一瞥し、目立つ建物として広大な駐車場を保有するショッピングセンターを見つけた。

「ここにいる地球人達に、逃げられないってことをわからせてあげないとね。」

エリーがショッピングセンターの手前に両ひざを着いてしゃがみ込むと、エリーの巨体と身に付けたマントが上空を覆い隠し辺り一帯が影に包まれた。エリーはそのまま駐車場に面した建物の入口側に人差し指を突き刺し、端から端までなぞるようにして破壊してしまう。その動きにショッピングセンターの入口から逃げ出そうとしていた人々が次々巻き込まれていき、エリーがコスプレで着用にしている白手袋に建物やレジ・商品等の残骸と一緒に汚くこびり付いてしまっていた。

「この都市は今日で廃棄されるのだから、ここで地球人が暮らすための品々なんてもう何も要らないの。あなた達ごと処分してあげる。」

次にエリーは広い駐車場に止められた自家用車を片手でかき集めるようにして握ると、まだ残っているショッピングセンターの売り場に対して、車内にいた地球人とぐちゃぐちゃに混ざり合ったそれを500メートル程の高さからばらまいていった。

「アハハ。みんな潰れてゴミになりなさい。」

自家用車と逃げようとした地球人達だったモノが残った建物に何百トンと降り注ぎ、廃墟のように崩壊させていった。


電車で逃げようとした避難民たちを処分したエリー様は、改めて街を見回していた。
そういえば、この街には大きいショッピングセンターがあったことを思い出す。
周辺都市を商圏として、日々にぎわっているようであったが、それがエリー様の目についたようだ…

エリー様がショッピングセンターに近づいていく。そこにいた住民たちが、パニックになり逃げ出す様子が見えた。
エリー様が、ショッピングセンターの手前に立っていた商業施設を、ニーハイブーツの膝ですり潰し、両ひざ立ちの態勢となった。
マントを翻すと、周辺の住宅街にもマントがかかり、縁の部分に位置していた住宅がすり潰される。
これからどうやって、破壊していくのだろうか…

エリー様の巨体が、駐車場を覆い越して、ショッピングセンターの方へ身を乗り出す。
その姿をみた人々は、悲鳴を上げて逃げ惑っていた。
そんな様子を確認しながら、エリー様は手袋を履いた人差し指を人々の上にかざしていき、そのまま押し潰す。
そのまま駐車場から建物の入り口付近に突き刺した指を、建物の縁に沿ってなぞる様に破壊していく。
遠くから見たら、コスプレした女の子が、しゃがみ込んで指を動かして地面に字を書いているような感じになるだろう。
しかし、エリー様の指は、幅数メートルに渡って、指の進路上にあったものをすべてすり潰していく。
逃げようとしていた家族連れや、若いカップル、避難誘導していた警備員、避難しようとしていたレジ係も居たが、指の動きを一つも邪魔することなく、すり潰れていった。
建物も、エリー様の指の幅に抉られ、指でなぞった後には、赤黒い筋が数十か所にも残されてた。
指に直接すり潰されなくても、倒れてきた構造物の下敷きになり身動きが取れなくなった人や、運悪く頭に激突して即死した人もいた。
展示されていたものや、ショーケースも指の動きで津波のように人々に襲い掛かり、はさみ潰れたり、突き刺さって絶命する人も出ていた。

しかしエリー様は、手袋を履いた指を建物から引き抜くと、少し汚くなっている様子を確認しただけであった。

入り口を完全に破壊したエリー様は、次に覆いかぶさっていた駐車場に襲い掛かった。
周辺都市の需要に答えるために広く用意された駐車場には、今日も多くの自家用車や、送迎バスなどが止まっていたが、エリー様は、それらを片手で雑にかき集めた。
かき集めたときに中の人もろとも潰れてしまった車もあったが、エリー様が軽く手で握ると、ほとんどの車がひしゃげ潰れてしまった。
エリー様は、それらの残骸をショッピングセンターの上にばら撒く。
片膝立ちしていても、500メートルもの高さの手のひらからばら撒かれた車は、隕石群のようにショッピングセンターに襲い掛かった。
指でのすり潰しの恐怖を乗り切った、建物内の人々は、突然天井が破壊され、無数の車が降ってきたことにより、再びパニックに陥る。
運が悪いものは、車の直撃を受けて即死、それでなくても、建物が流星のように降り注ぐ車に次々に破壊されていき、やがてほとんどの避難民が動けなくなっていった。


「この都市は海に面している地域を中心に発展しているみたいね。なら、海の方へ向けて地球人達を追い立てる様に破壊していくのが良さそう。」

ショッピングセンターと周辺を壊滅させたエリーは、自分がいる場所から海の方へ続いている市街化地域を破壊していくことにした。

「それなら一度ブーツと靴下を脱いで…っと」

エリーは膝立ちの体勢から後方に広がっていた住宅街を座り潰すと、まずニーハイブーツを脱ぎハイソックスに包まれた脚を露出させた。脱いだニーハイブーツは眼前に広がる市街地の中心である駅目掛けて投げつけてやった。

「アハハ、大して大きなビルもない駅前なんて私のブーツだけでめちゃめちゃになっちゃう。」

投げ捨てた長さ500メートルにもなるニーハイブーツが横倒しになって駅前を抉り、電車での避難もできず右往左往していた人々を数十万トンの重量で悉く圧し潰し蹂躙し尽くしてしまった。

「もう片方は…適当にあの建物辺りでいいか。」

さらにもう1足のブーツも適当に目に付いた白い大きな建物へ投げ、それよりも遥かに巨大なニーハイブーツが周囲の住宅街ごと圧し潰していく中、続いてエリーはハイソックスを脱ぎ始めた。

「靴下は…学校にでも覆い被せてあげる。」

続いて脱いだハイソックス2足を学校らしい敷地2か所とその周辺を覆うように被せ、エリーの素足が露出した状態になった。


ショッピングセンターを壊滅させたエリー様は、これからの蹂躙ルートについて考えているようだった。
この街は、古くは港湾都市として栄えており、市街地は港から内陸へと発達した経緯がある。
どうやら、エリー様は住民たちを海の方へ追い込んでいくつもりでいるらしい。
住民にとっては背水の陣にもならないだろうが…

すると、エリー様は膝立ちの体制から、普通に座りなおした。
膝立ちしていたときに股の間で潰されなかった住宅街も、エリー様のお尻の下に消えていった。

エリー様が、ニーハイブーツに手をかけると、そのままするりと脱いでしまった。
少しほっそりとした太ももに、膝下丈のハイソックスを履いた脚があらわになる。

脱いだニーハイブーツを、エリー様は前方にあった駅に向かって投げてしまった。
地球人からみたら、全長500メートルの巨大な物体が、中心街に向かって飛行していく。
とても人知では理解できない現象が、目の前で起きていた。

中心駅では、エリー様に救援列車が踏み潰された一報が入り、避難民たちが動揺した様子で駅員に詰め寄っている最中であった。

<いつ電車はくるんだ!><早く逃げないとエリー様にみんな殺されてしまうぞ!>
<私には子供がいるんです、何とか逃げられませんか?><早く代わりの電車をよこせよ!>

避難民たちが、駅員ともめているときに、ふと空が黒くなり、理解できないぐらい大きな黒い物体が駅に向かってきていた。
駅の外を見ていた避難民は、その物体に気づいたものの、それがエリー様のニーハイブーツであるなんて、想像もつかなかった。

そして轟音とともにに、エリー様のニーハイブーツが中心駅に直撃した。
いや、直撃したがブーツのほうが駅よりも大きかったので、そのまま押し潰した、という方が正しかった。
ニーハイブーツの直撃を受けた駅は、あっという間にブーツの下敷きとなり、駅舎も、避難民も、駅員もすべてが潰され、何も残らなかった。
ニーハイブーツは、そのままの勢いで横倒しになり、長さ500メートルにわたる範囲を、駅前からえぐり取りながら地面を滑っていった。
ニーハイブーツが通った後には、抉れて土が見えるほどであった。

そしてニーハイブーツは、右脚と左脚で履くものであり、もう片方が手元に残っていた。
エリー様が、何かないかと探しているようだったが、地方都市にニーハイブーツをぶつけて楽しむほど大きい建物はなく、適当に目についた建物にニーハイブーツを投げつけた。

それは、運の悪いことに、この地方でも有数の大きさを誇る総合病院であった。
エリー様の蹂躙が始まって、隣の街が壊滅し、怪我人が次々に運び込まれていたこの病院には、キャパシティーを大きく超える病人や怪我人が詰めていた。
必死になって、看護する看護師や、命をつなぎとめようとしていた医師たちは、エリー様の気まぐれな行動によって、ニーハイブーツが直撃した瞬間に、建物の崩壊に巻き込まれ絶命した。

さらに、総合病院の広大な駐車場には、周辺都市から応援に駆けつけた医療従事者や、軍などが臨時の病院を開設していた。
予め、この地方の蹂躙を知らされていた政府が、エリー様の被害を予測して、ここに医療従事者や軍をかき集めていたのである。
エリー様は、大都市にしか興味がないだろう、ならば近隣にある都市の総合病院に、臨時病棟を開設しておけば、地方最大の都市が蹂躙された後のバックアップになるだろうと。

実際、短時間ではあるが、エリー様に直接蹂躙されてない地区からも、ニーハイブーツが振り下ろされるたびに起こる地震や、避難するときにケガをした人が、大勢集まってきていた。

野戦病院のようになっていた病院の駐車場も、ニーハイブーツの筒の部分が薙ぎ払っていき、何千人もの怪我人ともに、医療従事者や災害対策に来ていた軍を、すべて地面からえぐり取り、すり潰していった。

ニーハイブーツを適当に放り投げた後、エリー様はハイソックスも脱いでしまう。
すらりと形のいい足が、何とも美しかった。

エリー様は、ハイソックスを手元の住宅街に建っていた学校へ被せていく。
ハイソックスの重さでさえ、数万トンもある。
避難民であふれ、テントが何基も張られていた学校のグラウンドは、ハイソックスが覆いかぶさってしまい、すべて押しつぶされてしまった。
また、重さに耐えられていたように見られた校舎や体育館も、時間を待たずに崩壊してしまい、避難していた住民たちが犠牲となった。
ハイソックスは学校の敷地を超えて住宅地にも被さり、近くの住宅街は上から押しつぶされて、住民たちが下敷きとなってしまった。

もう片方のハイソックスも、別の学校に被せていく。
小学校であったこちらでは、避難民をまだ受け入れておらず、避難して校舎に残っていた小学生と教師たちが、エリー様のハイソックスに押しつぶされ犠牲となった。


「さーて、残ってるこの都市と地球人達には、どんどん足裏ドーザーをしてあげちゃうんだから。」

住宅地を圧し潰して座った状態のエリーは、両腕で身体を支えながらかかとを地面に着け、目の前に残る都市へ向けて両脚でリズミカルに足裏ドーザーをかけていった。ニーハイブーツからもハイソックスからも解放されたエリーの足が一度動くごとに、都市が数百メートルの距離を抉られ押し出されていく。

「そーれ、いっちに!いっちに!ってね。アハハ。」

エリー自身は脚漕ぎ式のスワンボートでも漕ぐかのように脚を前後に動かしているだけだが、そのたびに都市が住宅地も、商業地も、農地も川も、何もかも関係なく人々も巻き込み地面ごと押し出され、堆積物に変えられていく。脚が届く範囲を全滅させ終わるたびに横へ移動してまた同じことを繰り返し、一帯が一面むき出しの土砂と、都市だったモノの壁に変えられていた。

「これでもうこの都市も残りは半分ね。海へ逃げようとしている地球人もいそうだけど、逃がす訳ないでしょ?」

都市の内陸側半分を処分し終えたエリーは、ついに海にまで脚が届く位置に座り直すと、ここでも先ほどと同様に足裏ドーザーを繰り返し、全てを殲滅していった。

「港だって、色々な資材も客船も関係なくぜ~んぶめちゃめちゃにしてあげる。」

内陸側が全て壊滅させられていく中、必死で海の方へ逃げて来た人々と、一足先に港を離れつつあった客船も、海も巻き込んだエリーの足裏ドーザーの前に、全て海を埋め立てるゴミに変えられていった。


エリー様は素足になった脚を海側に向けて投げ出した。素足の下敷きになった住宅地の家々が押し潰されていく。
しかし、そんなことは、これから始まることの大きさの前では、些細なことだった。

エリー様は、街全体に足裏ドーザーをしていくつもりなのだ。
私も破壊指定都市の蹂躙の時に見たことがあるが、世界有数の大都市ですら、数分でガレキの山になってしまった。
それを、こんな地方都市に行うとは…

エリー様の足裏の動きに合わせて、都市が数十メートルめくり上げられ、その上にあったビルや住宅、農地や、川に至るまでがあっという間に消えていく。
まるで、神による天地創造を見ているかのような光景であった。
蹂躙し終わると、お尻を浮かせて横に移動し、同じよう足裏ドーザーを繰り返していく。
脚の長さに合わせて、足裏の届くとこには、高さ200メートル以上のガレキの山が、街を隔離する壁のように聳え立ってしまった。
しかし、それもエリー様によってすぐに破壊され、膨大な量の都市の残骸とともに、海の方へと運ばれていく。
かつて地方一とも称えられた港湾も、エリー様の足裏が近づき、離岸したばかりの大型客船もガレキの津波に飲まれていく。
すべてが土色に飲み込まれ、美しい青に輝く海も、泥のまじりあった色になっていった。
エリー様が押し出した土砂によって、海岸線が数十メートル移動し、豊富な海産資源を生む栄養素を運んでいた大きい川も、完全に消え失せて街の跡地に川の水が流れ込んでしまっていた。


「よしっ、逃げようとしてた地球人達もぜ~んぶ処分できたわね。これだけ徹底的に見せしめ破壊をしてあげたのだから、他の地方も含めて移住計画は進むでしょ。」

都市一つを消費しての海岸線の埋め立て工事を完了したエリーは、新しい海岸線のすぐ手前に座り直す。

「さっきので足裏がかなり汚れてしまったし、綺麗にしていこっと。」

エリーは都市のガレキや地球人達の死骸がこびり付いた両足裏を横に寝かすと、先ほどの足裏ドーザーと同じ要領で前後運動を行い、海水で汚れを洗い流していった。

「これでいいわね。少し乾かしたいけど…あ、丁度さっき壊滅させた沿岸地域にあった石油・ガスタンクが燃料になって火災になってるから、これを使おう。」

膨大な燃料によって、ガレキを巻き込んだ大火災が発生していたが、エリーの250メートルの足裏を乾かすのに丁度良い程度であった。程よく足裏の水気が無くなったところで先ほど脱ぎ捨てていたハイソックスとニーハイブーツを履き直すと、都市だった場所とその先に広がる海を眺めながらニーハイブーツに包まれた脚を投げ出しリラックスした体勢となった。

「調査官さん、今日の見せしめ破壊はどうだったかな?しっかり見てくれてたと思うけど、地球人達が都市再建に逆らったりしないようによ~く広めておいてね。」

エリーは腰のベルトに位置していた調査官の入ったカプセルを、座った状態で話やすいようにニーハイブーツの上に移動させ話しかけた。


こうして、エリー様の地方都市処分が終わりを告げた。
地方で1、2番目の都市が完全に壊滅し、農地も、海も、何もかもが失われたこの地方では、もはや何十年にも渡って人が住む環境では無くなるだろう。
私は、この地方の人の営みが、わずか12分ほどで破壊されていく様を見て、興奮を抑えられなかった。

エリー様が、足裏ドーザーで汚れてしまった足裏を、海岸線が変わってしまった港湾にて洗い流そうとしていた。
エリー様が座ったことによって、海岸線がどんな重機で固めたよりもしっかりとつき固められた。

足裏を前後に動かし、がれきや住人の遺骸を海に洗い流していく。
何回も丁寧に洗い流していくうちに、脚の動きに合わせて港湾の水位が数十メートルに渡り上下していく。

津波のような海面の上下運動は、港湾の近くにあった離島に襲いかかる。
対岸での都市壊滅に戦慄し、エリー様を正面から見ていた島民たちは、こちらまでエリー様の蹂躙が及ばないことに、安堵していた。
エリー様が足裏を洗い始めたときも、島民たちはそれを眺めていたが、すぐに数十メートルにも及ぶ大津波が、島全体を洗い流していく。
エリー様が足裏を洗い終わるまで、島を襲う津波は収まらず、足を洗い終わったときには、島民たちは数百メートル先の海の上をただよう水死体となっていた。

足裏を洗い流したエリー様は、港湾地区にあった石油タンクの大爆発によって発生した海上火災によって足を乾かしてる。
こうしてみると、波打ち際で脚を伸ばして楽しんでいる美少女のように見えた。

足裏を大火災にて乾かした後、街に残されてたハイソックス、ニーハイブーツを履き直したエリー様は、ガレキによって埋め立てられた海岸線に向かって、ニーハイブーツを投げ出すように座りなおした。

海上火災によって赤く揺らめく港湾を眺めながら、エリー様は私の入ったカプセルを腰から外し、それをそっと右脚のニーハイブーツの上に乗せてくれた。

エリー様のニーハイブーツの上は、私からみたら広大な、黒い地面が一面に広がっているようにしか見えなかった。
太ももに乗せていただいたので、エリー様の方を向くと、タイトスカートというには巨大すぎるオーロラような黒い生地に包まれて、ニーハイブーツの履口から見える絶対領域の太ももが見える。
その先にはパンツが見えるはずだが…あまりにエリー様が巨大すぎて、私からは黒い空間が広がっているように見え、パンツは見えなかった。
上を向いてみると、軍帽を被ったエリー様の綺麗な顔が、空いっぱいに広がっていて、巨大すぎて首を真上に向けなければ、エリー様の顔の全体を把握することは出来なかった。
必死に上を向いている私に気づいたのか、エリー様が軽くほほ笑んで、私にウインクを返してくれた。

そして、私に破壊の結果をよく知らしめておくようにとエリー様が言われた。

「ありがとうございます、私もエリー様の活躍を伝える調査官として、後世にまでエリー様の偉大さが伝えられる調査書を作成いたします!」

私は、力強くうなづきながら、エリー様に答えた。