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以下はポール・アハーン博士の録音から書き起こした.

2011/12/26

今日,ジェスと私はプランを練った.私達の一番の難関は,どうやって結婚式を上げるかだ.西の方の,ネヴァダやメキシコ周辺だったら楽だったのだが,ここはアパラチアの丘だ.どうすれば上手く事が運べるだろうか.今のジェスでは,周りに噂されずに裁判所に出向くなんてことは不可能だ.

もっとも,そのウワサが良い結果を招くかもしれない.そうなってしまえば,CPRラボは沈黙することができなくなる.しかし一方で,ジェスは巨人として世界中の知るところとなり,モルモットとして扱われてしまうかもしれない.そうなるために,私達はわざわざこんなところに来たわけではない.ジェシカの居場所を教えれば,CPRラボは何かしらの行動を起こすだろうと,私達は思っている.

私達は,1つのプランを思いついた.頭の中でシミュレーションし,練り,シミュレーションした・・・・・・全く,バカなプランだ.ジェシカの柔軟な対応に,全てがかかっている.

事が運んだら,私は明日,作戦についてここで説明する.事が運ばなければ・・・・・・起こったことについて,全て話すだろう.しかし,我々の立場が本当に危なくなるまでは,そのようなことはしないだろう.それは,ジェスも同じだと思う.さあ,早く動かなくては,ジェスが成長しすぎてしまう.

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2011/12/27

結婚式の予約が取れた.地方の牧師を雇い,金曜日に挙式する.彼には,ジェスはひきこもりなのだと伝えた.私達は金曜日までに,色々と細工をしてみせる.

ジェスは昔からよくある演技,『手足の手術をした人の演技』というものを勉強した.両足を曲げて縛り,足は尻の位置で固定する.そうすることで,ジェスの身長は316cmから215cmまで縮まる.女性にしてはかなりの長身であるが,まだ許容できるだろう.さらに,大きめの車いすに乗せて,膝の位置に靴を装備する.雑ではあるが,これで十分だろう.私達は裁判所に行き,結婚式の予約を取った.

移動の最中,ジェスは痛みを感じるらしいが,私達は裁判所でなるべく早く手続きを済ませるように全力を尽くした.幸運にも,この地方裁判所は,文書を即急にネットに公開はしないようである.私達は,いくらか時間を稼ぐことができた.

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2011/12/30

私は既婚者となった.私とジェスは今日,結婚した.牧師には,ジェスの身長について秘密にしてほしいと前もって頼み,彼はそれを受け入れてくれた.幸運にも,この地区の法律では結婚に立会人は不要らしい.そのため私達は合法的に,誰かの詮索を受けることなく,結婚することができた.

ジェスは,良い考えがあると言い出した.新婚旅行に行こうと言い出した.私はそれに賛成し,心待ちにした.ジェスは日に日に,情熱的になっていく.

ジェスは1日に3.2cmほど伸びていき,伸び率は日に日に増加している.この事実は恐ろしいが,対処策などない.今日のジェスの身長は327.8cm,そして明日には331.0cmとなるのだろう.

ジェシカ:ねえアナタ,早く準備しましょ

ポール:ああ,いま行く.ジェス,今日もキレイだよ

ジェシカ:ふふ,ありがと.

ポール:この巨大なパジャマはどうしよう.簡単に手に入るもんじゃないし

ジェシカ:バラバラにしましょう.元々は,キングサイズのパジャマ数枚で作っているんだから.

ポール:よし,準備ができた.じゃあ,行こうか.

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2012/1/1

ジェスと私は2人で素敵な元日をすごした.率直に言ってしまえば,大半をセックスしてすごした.普通の過ごしかただとは思うが,私達の場合は少し事情が異なる.ジェスの体はあまりに大きいため,ジェスの秘部には私の手が丸々入ってしまう.そうすることで,セックスのような事ができる.

一方でジェスは,口に私のペニスをタマまで含めて丸々含むことができる.彼女の巨大な舌の感触は,非常に心地よい.

今年の元日は日曜日なので,私達は明日には出発しなくてはならない.僕らはお互い,それについては触れたくなかった.しかし,話し合わなくてはならないことだ.そしてついに,ジェニスが口を開いた.彼女の身長は333cmに達していた.

「ポール・・・・・・明日あなたが戻ってきたら,私は出発するわ」

「うん,わかってる」

「どこに行くのかは,言えない.でも,ポールとの共同作戦よ.
上手くいったら,やつらは私が隠れられないくらい大きくなるまでは,私には何もできないでしょう.上手くいかなかったら,私から,あなたにそのことを伝えるわ」

ジェスはノートパソコンを持ち上げた.ジェスの巨大な手と比べると,まるで携帯電話のように見えた.

「急ごしらえだけど,このパソコンを携帯電話みたいに使えるように改造したの.この番号からかかってきたら,そういうことよ」

ジェスはPCに番号を表示させた.

「じゃあ・・・・・・計画を開始するわ」

「十分大きくなるまで,どれくらいかかると思う? 成長が止まってしまう可能性も,想定して」

ジェスは,深い溜息をついた.

「そうなったら,いいわね.もしそうなったら,それはそれで好機かもしれないし,逆に泥沼にはまるかもしれない.よく,わからないわ」

私はジェスに,抱きついた.頭をジェスの豊満な胸に押し付けた.

「愛してる」
「私もよ,愛してる.いつかは,また一緒になりましょう,ポール! これはスローガンよ,『いつかまた一緒に』」

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2012/1/2

私は今,山の中腹にある小さな名も無き店で,この録音をしている.疲れた,休息がほしい.なので私は,家に戻る前にここで録音をしている.

ジェスと私は,離れる前にローズ・パレードを見た.そんな彼女は,今ではもう側にいない.私達は愛し合っていた.しかしこれからのことを考えた結果,私達は距離を置くことにした.この離別の終わりが明確になるまで,私達は共に,苦しい時間を過ごすことになるだろう.

ジェスは今,どこにいるのか.私はそれが一番知りたい.しかしそれを知ってしまうと,結果的に彼女が危険な目にあうのだ.

ラボに戻れば,私は尋問を受けるだろう.心の準備はできている.私は正真正銘,ジェスの居場所について何も知らないのだ.

私は近い内に,こっそりと,データの更新を行おうと思う.それには,私とジェスの婚姻証明も添える.もし何かが起きたら,ジェスがそれを手に入れられるように.

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2012/1/4

驚いたことに,CPRラボは今日まで,私を尋問してこなかった.それは,時間が十分に稼げていることを意味する.キャルダー博士は再び,私を呼び出し,私の目をじっと見つめたが,すぐにやめた.私は何も知らないのだから.

早く,私を放ってほしいのだが,いつまでこれが続くのか.私には何も分からない.

いつ,私の新妻から頼りが来るのか,その時,彼女はどれくらい大きくなっているのか,私には何もわからない.

ああ,神よ,彼女を見逃し給え.今日まで,彼女が順調に成長を続けていたのなら,今頃は343cmになっているはずだ.ジェスが無事であることを,私は願っている.

ああ・・・・・・今直ぐにでも,ジェスに会いたい・・・・・・