男子の縮小化が進むにつれ、男子は女子にいじめられたり可愛がられる対象になっていき
男子は知能も体格も衰え続けていたので、女子が中心の世界になり始めていた。

男子はもちろん、働く頭脳も体格もないので職業にはつけずお茶くみや小さい体格を活かして座っている女子たちの足をマッサージするなどしかできなかった。

最近はお茶を湯のみ注ぐと重くて持てないほどか弱い男子が増えていて、愛玩ペットのように扱われるパターンが増えていた。
高校でも男子を赤ちゃんやペットのように扱う女子が増え始めていたが、男子としてのプライドを捨てきれない自分がいた。

あやのは高校の一個下の後輩で、僕は
あやのの膝にも届かないくらい小さかった。

「それで精一杯の力なの?」「こんなにちっちゃいなら小学生女子にも勝てませんよ」僕は彼女を精一杯顔を曲げで見上げている。

彼女は僕を見下ろしてる。弱い僕を哀れんでいるように見える。
どんなに努力してそのちっちゃい体のままなんだね。猫よりもちっちゃくて弱っちいなんてペットみたいだね。私が飼ってあげましょうか?

あやのが両脇に片手の親指と薬指をいれて僕を持ち上げた。持ち上げるのに両手を使う必要もないのが僕の矮小さをあらわしてた。
片手で持ち上げられ、落ちても大丈夫なように下にもう一方の手を置かれてる。
今の男女関係を表してる気がした。

ここから見る景色はいろいろなものが適切な大きさに見える。ふとさっき僕がいたところを見てみる。あやのの巨大だったブーツが今はすごく小さく見える。ブーツよりも小さい僕はあやのから見ると本当に小動物程度のものしか見えてないのだろう。
フフ、高いところはどうですか?先輩。あたしのペットになるなら毎日抱っこして女の子の世界を味わわせてあげますよ。ちっちゃい先輩はずっと大きな世界で怖い思いをしてきたでしょうから。
こんな高さ、女の子に持ち上げてもらわないと今の男子には到底届かないですよね。
あたしが飼ってあげたらもう小学校女子にも虐められません。私が守ってあげます。

こんなに情けなく小さくなってしまった今、男は女の助けなしには生きられない本当にペット同様の存在だった。猫は飼い主に可愛がってもらう他に進化したというが外でも自分で獲物をとって生きていける。
でも男はその猫がクマぐらいの大きさに見える。きっとニャアと鳴かれたら震えてしまうくらい情けなくて弱い。すぐに他の動物に食べられてしまう。猫よりも弱いのだ。優しい女の子に飼ってもらうしか選択肢はなかった。
「飼ってくれませんか」彼女に言った。
背を向けていたあやのがこっちを振り向いた。
つやのある黒い髪がふわっと僕のはるか頭上を舞う。

彼女はニヤッと笑みを浮かべて 「え?聞こえないよ?」と言った。彼女はストッキングを履いた黒い太ももを折りたたんでしゃがみ、僕の方を向いた。
両足で立った僕の少し上には彼女の膨らんだ、僕の頭より大きな胸があった。
意図的に目線を僕よりも少しだけ上にしてるのだろう。
しゃがんだ彼女よりも小さいのだった。

ふふ、こうしてもまだあたしのほうが大きいなんて男の子ってちっちゃい☆



私の家で暮らしたいの?彼女は僕をつぶらな瞳で観察するように見つめながらきいた。

はい。僕は彼女を見上げながらいうしかやかった。
彼女はわざとらしくきょとんとした顔をして見せて聞いてきた。
自分で暮らせばいいでしょ?
私に守ってもらいたいの?なんで?
いってごらん?

彼女は僕が本当のペットになることを望んでいるらしい。
もうこの瞬間から後輩の女子との主従関係が始まっている。

彼女の黒いブーツは僕にはとても大きい。彼女が足に履いて軽々とあるくブーツの片方を持ち上げることもできない。だってブーツのてっぺんは僕より高い位置にあるんだから。
男性が縮小してから職場は女性が殆どになった。
中には男なのにまだ働く人はいるが知力も体格も全て劣っている男にできる仕事はほとんどない。お金がほしいなら女に奉仕するしかない。

結局女に守ってもらわないと男は生きていけない。でもそれには皮肉なことに小さく弱くなければいけない。小さくて可愛い男を女は好きだからだ。今の体格では男は小学5年の女子には誰にも勝てないほど退化している。

でも、後輩にペットにされるのは屈辱だった。
沈黙が続いた。


じゃあ、先輩私は行きますね。
ヒールをカッカッと音をさせながら彼女は歩いていった。だめ。あやのが行ったら僕はまた怖い思いをする。どんな女子にいじめられるかわかんない。やっぱり僕は守ってもらうしかないんだ。。

「待ってください!」敬語を使うのは悪い心地が不思議としなかった。
あやのは足を止め振り向いた。
微笑みを浮かべて

「えっと...ってください」
「なぁに?聞こえないよ?」
ずっと後輩だった女の子にこんなことを言うなんて恥ずかしくてできない。でも...


「......」
「なぁに、もうなんでもないなら行きますね」
本当は知ってるくせに。
ふふ、わかってるけどちゃんと服従するまで容赦してあげない。立場が逆転するってどんな気持ちなんだろ。がんばれ先輩!私が守ってあげる!
さて帰るふりしようかな?

またあやのは背を向けて歩き出した。
もうプライドを捨てた。

「僕は小さくて弱くて小学生にも勝てない情けない存在です。あやの様、私を飼ってください!」
次の瞬間僕は高くもちあげられた。
「よく言えたね」あぁ、もうあやのは、いやあやの様は僕の飼い主なんだ。
「ペットってことは私が飼い主。今までの先輩と後輩って関係は飼い主とペットになるんだよ」
「私のことはご主人様と呼びなさい。わかつた?」
「はい」
彼女は微笑んで僕の頭をなでてくれた。
優しい目をしているけど頭に載せた手はまるで重しが乗っかったようで、僕の頭をすっぽり包み込むことのできる大きさだった。
逆に言うと彼女の手で頭がすっぽりおおわれてしまうほど僕は小さくか弱いのだ。
逆らったら大変なことになる。
彼女の些細な動作が僕の矮小さをひしひしと感じさせた。