目を覚ますと僕は広くて薄暗い部屋の中に居た。ここは一体どこだろう。昨日は何をしてたんだっけ……。
 いつも通り学校に行って、帰りの電車でいつものあの子を見ていて……。そうだ、昨日はあの子に連れて行かれたんだ。そして縮められて……。

「あれは夢じゃなかったのかな……?」

 確かに感じた胸に押しつぶされる感触と、見たこともない部屋がその可能性を高めている。
 改めて周りを見てみると、そこは窓と扉があるだけの辺り一面薄茶色の部屋だった。天井は一面真っ平らで、窓から差し込む光だけがこの部屋の光源だ。
 全体的におもちゃのようなちゃちなつくりで、窓は格子状に区切られた4つの穴があるだけだ。扉に至ってはただ壁に開けた穴に板を置いたように見える。板の材質は壁と同じで、木じゃないことはわかる。見たことない壁のはずなんだけど、どこかで見たことあるような気がする。押せば簡単に潰れそうな、簡単に曲がりそうな……そんな感じに見える。

 何はともあれ、窓の外を見てみよう。そしたら何かわかるはず……。
 窓に近づいてみると、ガラスがない事がはっきりと分かる。眩しさを堪えて外を見ると、そこには僕の体よりも大きな目が鎮座していた。

「やっと気付いた〜」

 明るい声がビリビリと響く。僕は思わず尻餅をついてしまった。オロオロしながら外を見ていると顔が窓の上に消えていき、ばるんっ!と大きな胸が現れる。
 ごくりと生唾を飲んで釘付けになっていると、空から光が差し込んできた。見上げると天井が取り除かれ、部屋よりもはるかに大きなあの子が空から僕を見下ろしていた。

「うわ……ぁ……」

 あまりにも巨大なその姿は恐怖を通り過ぎて神々しさを感じていた。これが畏怖するってことなんだろう。
 彼女はニヤニヤと笑いながら顔を下ろしてくる。せっかく開いた天井が彼女の顔で埋め尽くされてしまった。ぷるんとした唇に目を取られていると、急にすぼめられたそこから突風が吹き荒れた。

「うわああぁぁっ!」

 台風の時にすら感じたことのない強風に、僕の体は転げ回った。

「あはっ! これだけで転がるなんて弱すぎでしょ」

 さっきよりも大きな声が部屋中に響く。落ち着いてみると、あたりに甘い匂いが薄ら広がっていた。見上げた先から降り注ぐこの香りの正体は、彼女の息だった。

 彼女が顔を上げると、大胆に露出された胸が羽織ったシャツの間でぶるんっ! と揺れた。圧倒的な重量感を持つその胸は彼女の動きに合わせて揺れ動き、その柔らかさを主張する。それでも大きく形が崩れないほどの張りがあり、僕の目は釘付けになってしまう。

「ほ〜らっ。大好きなおっぱいだよ〜?」

のしっ……
むにゅぅ……♡

 その大きくて重すぎる胸が壁にのしかかり、部屋がミシミシと悲鳴をあげる。この壁は見た目通り強くなさそうで、あんなに常識はずれの胸なら潰されてもおかしくない。

「汗拭きシートにもハンカチにもなれない役立たずは、ちっちゃなダンボールハウスと一緒に潰れてもらおうかな」

 その言葉でようやく僕は理解した。自分はダンボールの中で暮らせてしまうほど小さい事を。そして、彼女がその気になれば本当に部屋ごとあっけなく潰されてしまうという事を。

 天井は肌色に塗りつぶされ、抑えきれない肌がむちぃっ♡と壁からはみ出る。

ミシッ!ミシミシッ!

 壁の悲鳴が大きくなり、いつ潰されるかわからない恐怖に怯える。自分1人で潰されるよりも、建物の中にいる方がこんなにも怖いなんて思わなかった。一瞬で潰されない分、これから起こる災害を想像出来てしまって心臓に悪い。

ミシッ!
だぷんっ……

 部屋の隅で震え上がっていると、胸は上空へと上がっていった。改めて胸の全体を見てみると、恐怖のせいかさっきよりも大きく見えた。持ち主が愉しそうに僕を見下ろしている。

「あれ〜? 怖かった? 心配しなくても、こんなに柔らかいおっぱいで潰れるわけないじゃ〜ん」

 持ち上げたそれはあまりにも大きく、片手から溢れるほどだ。

むにっ♡ もにゅっ♡ ぐにぃ……♡

 手を動かすたびに胸がしなやかに波打つ。怖かったはずなのに、押し潰されたこともあるのに、僕の股間は勃っていた。

「ま、勢いつけたら簡単に潰れちゃうだろうけど」

 彼女は体を離し、持ち上げた胸を机に落とした。

どたっぷううぅぅぅん‼︎

 ぎっしり中に詰まった脂肪が存在を示すかのように大きな音を立て、机越しにダンボールハウスが揺れる。もしあの下にこのダンボールハウスがあったらと思うとゾッとした。それでも、同時に僕は興奮していた。

「そんなに見つめちゃってどうしたの? やっぱりまだおっぱい触りたいのかなぁ。それとも、いっそ潰して欲しかった〜?」

 くすくすと煽る彼女に全く腹は立たなくて、むしろありがたいとさえ思っていた。もしかしたら本当にまた、あのどこまでも魅力的な胸に挟んでくれるかもしれない。潰されたとしても本望だ。

「でもざんね〜んっ。アタシの簡単なお願いも聞いてくれなかった役立たずにはもう触らせてあげないよ」

 簡単なお願いって、あの【汗を飲め】っていうやつか。確かに飲めなかったけどしょうがないじゃないか。確かに彼女が僕の汗を飲み切るなら2,3回舐めるだけで済むけど、逆になると話は別だ。それに勝手に縮めておいて飲みきれなんて、理不尽にも程がある。
 そう思っていても、彼女に反論することは出来なかった。この体格差で反論なんかしたら、何をされるか分からない。

【何をされるか分からない】

 その言葉を思い浮かべた時、なぜだか僕の口元は緩んでいた。

「ハンカチにも汗拭きシートにも慣れないゴミの言うことなんて聞くわけないじゃん。ただのオモチャとして使ってあげるから、精々いい反応してね」

 くるりと振り返り、胸に負けず劣らずの張りがあるお尻をこちらに向ける。ぷるんと震える2つの桃の間には可愛い下着が張り付いていた。

「よいしょっと」

ズンッッ!!

 今度はお尻がダンボールにのしかかった。そこに感じるのは胸とは明らかに違う重量。
 潰れてないところを見るに体重はかけていないんだろうけれど、もしそのまま座られたらお尻の下敷きになってしまう。そうなったら、胸とは比べ物にならない質量で押し潰されてしまうだろう。
 僕は体が強張って声が出なかった。

「ちょっとー。ちゃんと反応してくれないとつまんないじゃん。オモチャにすらならないなら捨てちゃおっかなー」

ミシミシミシッ‼︎

「ひいっっっ‼︎」

 お尻が揺らされ、釣られてグラグラと部屋全体が揺れる。無慈悲な言葉を投げつけられ、僕は必死に悲鳴を上げた。

「そうそう。そうやって反応してくれないと、面白くないからね」

 愉しそうな笑い声と共鳴するように、部屋が小刻みに揺れる。まるでこの段ダンールハウスまで彼女の体みたいだ。

「そ〜だっ。ちょっと出しちゃおっかな♪」
「へっ?」

 出すって……何を……?
 その答えは次の瞬間に、体で分からされた。

ぷぅっ

 可愛らしい破裂音と共に、嫌な匂いが広がる。

「くさっ⁈」
「あ〜。女の子にそんなこと言うなんてひど〜い。っていうか、嫌なら逃げればいいじゃん」

 その言葉に僕はハッとする。なんでそんな事すら思い浮かばなかったんだろう。雑な作りとはいえ、出口はちゃんと用意されている。出ようと思えばいくらでも出られたはずだ。もしかすると心の中では出たくなかったのかもしれない。
 でも今は無理だ! こんなところにいたら鼻がおかしくなっちゃう!

 僕は急いで出口に走り、扉を押し開けた。薄暗い段ボールハウスに光が差し込む。
 意気揚々と扉を抜け出し、新鮮な空気を吸い込む……

 そんなことは出来なかった。

 開けたはずの扉が一瞬で閉められ、僕はまた中に閉じ込められてしまった。閉まる寸前、指紋がはっきりと見えるほどの大きな指がこっちに向かってくるのが見えた。

「出して! 出してください!」

 扉を思いっきり叩くけれどびくともしない。
 上から嘲笑う声が聞こえてくる。

「どうしたの? 早く逃げなよ。女の子の指一本くらい簡単にどかせるでしょ?」

 これがただの指で抑えられてるなんて信じられない。力の限り押しても、全体重をかけてタックルしても全く動かないのに。

「ほらほら。早く逃げないともう一発いくよ〜?」

 その言葉に驚いて見上げたけれど、そこにはお尻しか見えない。まるでお尻が喋ってるみたいだ。

「じゅ〜う、きゅ〜う、は〜ち……」

 無慈悲なカウントダウンが始まった。
 冗談じゃない。胸やお尻に潰されるのはいい。指で潰されるのもまだいい。女の子の体で潰されちゃうのなら本望だ。でもこんなおならなんかに苦しめられるのは拷問だ。せめて体の一部に触らせてほしい。
 扉がダメならと窓に向かうけれど、通れるほどの幅はない。いっそ破いて抜け出そうと思ったけれど、もともと非力だった僕にはダンボールを破く力さえなかった。
 そうしてる間に、無慈悲なカウントダウンも終わりを告げる。

「い〜ち、ぜろっ! あれ〜? なんで逃げないのかなぁ? もしかして、わたしのおなら気に入っちゃった?」

 愉しそうなその声は絶対、逃げられないと分かった上で嘲笑っている。

「そんなに気に入っちゃったならしょうがないな〜。じゃあ次はもっと強めにいくよ♪」

ぶっ!♡

「うわあああぁぁぁ‼︎」

 初めに喰らった息よりも強い突風が吹き荒れ、僕は壁に叩きつけられる。ここまでくると、臭いが無くても凶器だ。

「おおげさだな〜。ただのおならでしょ? ってゆーか、こんな近くで嗅がれたアタシの方が恥ずかしいんだけど〜?」

 吹き飛ばされた後も臭いは広がり、呼吸の荒くなった僕を襲う。通気性なんてほぼないこの部屋で僕は苦しみ続ける。

「女の子のおなら嗅ぐなんて死刑だよね。うん。けってーい♪」

 目に涙も浮かび始めた時、お尻が浮いて空から新鮮な空気が入ってくる。咽びながらも息を整え、聞き逃した言葉を振り返ってみた。

(お尻を離したのに死刑? これで終わりじゃない……?)

 見上げると、せっかく浮いたお尻が勢いをつけて振り落とされていた。死を目前に感じ、世界がスローモーションに見える。

メキッ! メキメキッ! グシャッ!

 どんどん壁が折れ曲がっていく。お尻の進撃は緩まることなく、隕石のようにとてつもない質量を持って近づいてくる。逃げる場所も避ける暇もなく、やがてそれは地面に到達した。

ズッッシイイイィィィィン!!!!

 胸よりは硬く、殺意すら感じる質量が全身にのしかかる。僕をすっぽりおさめていた部屋ですらあっけなく押し潰したそれをどかすことなんて不可能だった。むしろまだ生きている方が不思議だ。

ズオォォォ

 お尻がぱらぱらとクズを落としながら離れていく。
 もう体は動かない。なんとか動く首を回して辺りを見渡すと、瓦礫のようにぐしゃぐしゃに積み上がったダンボールに囲まれていた。

「さ〜て。次はどうしよっかな〜?」

 また巨大な顔に見下ろされ、大きな指が近づいてくる。爪すらも僕より大きいそれが僕の体に押し付けられる。

「もう、止めて……」

 ここまでされても生きてるのは、きっと小さくされた時に死なない体にされたからだ。
 胸に閉じ込められたりお尻に潰されたり幸せなことはあるけれど、過剰なそれらは苦痛になる。おまけにおならみたいなただの苦痛さえあるなら、いっそ死んだ方が楽だろう。

「えー? まだ楽しませてよ〜」
「もう、動けません……」
「ふ〜ん……?」

 指が右に左に大きく動かされ、僕は何度も転がされる。為すがままの僕を見て、彼女は指を離した。
 助かったのかな……?

 その考えは甘かった。
 僕の真上に大きなお尻が鎮座する。パンツが視界を覆う。その奥にはきっと、肛門が隠されているだろう。

「本当に動けないのか、確かめなきゃね」

ぶううっ‼︎

 至近距離で発射されたオナラが、鼻や口にダイレクトに突っ込んでくる。真上から吹いたそれに全身を押さえつけられ、余すことなく全身で喰らった。

「ぐっ! お”え”ぇ”ぇ”っっっ‼︎」

 あまりの衝撃に動かせなかった手が鼻を抑え、体がねじれる。
 風は臭いだけじゃなく熱も含んでいて、まるで観光地の地獄に直接飛び込んだみたいに苦しい。

「ほら〜。動けないなんて嘘じゃん」

 地獄を生み出した張本人は飄々と語る。

「嘘つきには罰を与えなきゃね……♡」

 地獄の発生源が勢いよく振り落とされた。

ズシィィィン‼︎

「嘘をつくなんてクズだね〜。ゴミクズじゃん」

持ち上げられたかと思えば、また振り落とされる。何度も。何度も。

「ねえ、なんで嘘ついたの? ほら、言ってみなよ? なんで?」

ズシン! ズシン! ズシィン‼︎

 潰れたダンボールに向かって何度も腰を振る女子高生。その中にいる小人は何度も無惨にお尻を叩きつけられる。

「なんか言ってよ? 答えないなんてホントクズだね。ねぇ。ゴミクズ」

ズシィン! ズシィン! ズッシィン‼︎

「は〜ぁ。反応しないとかつまんないの〜。もう一回おならすれば動くかな?」

ズゥゥゥン‼︎

 腰を下ろし、今度はグリグリとすりつぶしていく。
 パンツに遮られる上、体力の残ってない僕はもう何の反応も出来なかった。

「ま、流石にもう出ないけど」

ぐりん、ぐりん!

「最後は頑張ったんじゃない? ゴミには変わりなかったけど」

 最後という言葉を聞いて力が抜ける。よかった。これでもう終わるのか……。

「じゃ、ゴミはゴミらしく捨てちゃお〜っと♪」

 僕は毎日見ていたギャルのお尻の下で意識をなくした。