「私を触ると運が良くなるって?そんな話、聞いたこと無いけど?」
指揮官と2人きりの執務室で、セントルイスはそう言った。

指揮官は書類をまとめながら秘書艦であるセントルイスと話をしていた。
今日届いたメールの内容だったり、演習や任務の事だったり、噂話だったり。
その中の一つが【ラッキー・ルーと呼ばれた彼女に触ると運が良くなる】という物だった。

別に信じたわけではないが、それが本当ならあやかりたい物だと指揮官は笑った。
セントルイスはくすくすと笑い、意味ありげに言葉を返した。
「気になるんだったら…試してみる?」

妖艶な物言いに一瞬、指揮官の手が止まる。
しかし彼女は一緒に仕事をする仲間。
指揮官は恋愛感情が沸かないように、これまで一切触れないよう注意してきた。

からかわないでくれと照れながら言うと、顔も上げずにまた手を動かし始めた。
そんな指揮官に足音が近づく。
指揮官の横で足を止めたセントルイスはふわりと優しい手つきで彼の両頬に触れ、
顔を自分へと向けさせた。

「からかってなんかいないわ」
吐息を感じるほどの距離に指揮官は戸惑う。
恥ずかしさに視線を逸らした瞬間、彼女は唇を奪った。

驚く指揮官の口の中に舌が侵入する。
ぬらりとした感触に冷静さを保てない。
ゴクリと言う音とともに、彼女が舌に乗せていた薬が指揮官の体内へと流し込まれた。

熱いディープキスが終わると、彼女は切れ長の目でいやらしく微笑んでいた。
その目は指揮官の視界の隅に消え、艶やかな口が耳元で甘い声を出す。
「指揮官くんが望むなら、好きなだけ触らせてあげる」
息をフッとかけられた指揮官は後ずさろうとして椅子から転げ落ちてしまった。

世界が歪む。酔ってしまったような感覚が指揮官を襲う。
ひどい頭痛で目を開けていられない。
背中が地面につき、頭痛が治まった指揮官が目を開けると世界は大きく変わっていた。

彼は小さくなったのだ。
子供や赤ん坊よりはるかに小さく、書類よりも更に小さく。
先ほどまで握っていたペンすら持ち上げられないほど小さくなっていた。

靴下に包まれた足がズン、と指揮官の前に降ろされ、熱気が吹き抜ける。
並んだ指はバランスボール程の大きさだが、指揮官が全身でぶつかってもびくともしないだろう。

初めてのディープキス、体が縮む感覚、振り降ろされた巨大な足。
あまりにも突然の出来事が起こりすぎて指揮官は正常ではいられなかった。
足から放たれた熱気が鼻から脳へ突き抜ける
1日中履き続けた靴下には汗が染み込んでいて、その匂いは小さな体に大きな刺激を与える。
重度の足フェチである彼は耐えきれず、目の前の指に飛びついた。

それを見たセントルイスは満足そうに微笑む。
「こうでもしないと指揮官くんは甘えてくれないでしょう?」
彼女は今まで寂しさを感じていた。
指揮官が誰とも触れ合わず、一定の距離を保っていたことが。
秘書艦である自分にも甘えてくれないことが。

過去に仕事が立て込み彼に疲れが見えた時、膝枕でもしようかと提案したことがある。
その時も指揮官は軽く笑って流した。

彼女はどうにか甘えてくれないものかと悩んでいた。
疲れてる彼が喜ぶことはなんだろうかと考えていた。
そんなある時、内緒で指揮官の部屋を掃除していると数冊の本が見つかった。
そのどれもが、男が足で虐められる内容のものだった。

これならばと思った彼女だったが、ただ足を出しただけで反応してくれるとは思えなかった。
そこで彼を縮め、無理にでも触らせるつもりだった。
まさか何も言わずともすぐに飛びついてくるとは思っていなかったが…
彼女は無我夢中で足に飛びつく小さな指揮官がかわいくて仕方がなくなっていた。

クイッと指をあげると指揮官はあっけなく床に落ちてしまった。
ボフッと指を下ろし、爪先から指の付け根の間にある空間に閉じ込める。
指揮官は何も抵抗しない。

彼女はもっとやっても良いと判断し、指に力を込めた。
潰さないように、でも感触をしっかり味わえるように加減しながらグニグニと動かす。
指揮官はマッサージでも受けてるかのように気持ち良さそうな声を出した。
それは彼女の耳には届かなかったが、指でしっかりと感じ取っていた。

彼女の頬が赤みを帯び出した
「こういうの、すきなんでしょう?」
彼女がかかとをつけたまま足を起こすと、指揮官はポロリと床に落ちてしまった。
逃さないと言わんばかりに即座に足が倒れる。
土踏まずの位置を調節して潰さないよう、しかし全身が圧迫されるように足が押しつけられる。

「あら、ちゃんと掴めないわね……そうだわ」
指揮官を左足に敷いたまま、右の靴下をスルスルと脱いでいく。
その時のわずかな足の動きでさえも指揮官を押さえつける圧力になっていた。

絹のように滑らかで白い素足があらわになるが、
指揮官は顔に靴下越しの足裏が張り付いていて見えない。
ようやく剥がれたかと思えばそれでも視界一杯に足裏は広がっていて、
ひと呼吸おく暇もなく再び足で鷲掴みにされてしまった。
絶対に落とさないと決めたその足は先ほどより強く指揮官を握りしめる。

しっかりと持ち上がったところで指揮官は落とされた。
待ち構えていたのは床ではなく、たった今セントルイスが脱いだ靴下だった。
そこはまるで深い深い落とし穴。
遠くに見える円形の空から薄紫色の瞳が覗き込んでいる。

「こっちの方が嬉しいでしょ?指揮官くん♪」
指揮官の反応を待たず、彼女は指揮官の入った靴下に足を突っ込み始めた。
太ももまで覆うほど長い靴下はまだまだ長さに余裕があり、
指揮官はさらに奥へと転がり落ちる。
ようやく止まったかと思えば、すぐさま足が追い討ちをかけた。

「んっしょ……」
グイッと靴下を引っ張ってガーターベルトを止めると、
引っ張られた生地に沿って足裏に指揮官の姿が浮かび上がる。
流石の苦しさに指揮官は声にならない声で叫ぶ。

「あら、ごめんなさいね」
足裏から靴下を引っ張ると、指揮官は土踏まずに収まった。
動き回ることはできないが手足を動かす余裕はある。
ただし楽な空間ではないことは確かだ。

そこはとても蒸し暑く、快適な空気とは言えない。
靴下越しに感じていた汗は背中に直接伝わってくる。
顔に靴下が張り付いていることには変わりないが、
今は前後左右どこをとってもセントルイスの成分で満たされている。
床の冷たさが肌の熱さに変わり、汗による酸っぱい刺激臭がどこを向いても襲ってくる。
なまじ空間があるだけに呼吸をすることは出来るが、
鼻から脳にかけてツンとくる痛みが途中で息を止めさせる。

しかしこんな状況でも、確かに指揮官は興奮していた。
咽せるのも構わず、少しでも足の匂いを楽しもうと必死になって呼吸を繰り返している。

「これだけぴったり触っていれば、指揮官くんもきっと幸運になれるわ
 それとも、この状況がすでに幸運かしら…♡」
その言葉に反応は無い。
それでも彼女は自分の前で素直になった指揮官を見て、満足そうに微笑むのだった。