たせのTRPGレポート2

どーもーwbgたせです。平成14年11月23日、栃木の某所で行われた
TRPGオープン定例会において、飛び入りでマスター参加しました。そし
てまたもしかもネタはGTS!もちろんセッション始まるまで内緒だったけ
ど……。
システム ナイトウィザード 菊池たけし/F.E.A.R(エンターブレ
イン刊) 現代を舞台にした異色ファンタジー
シナリオタイトル[魔空帝国の挑戦!](原題:神様を拾った……)
登場人物(PC)
[狭間 舞威(はざま ぶい)]男 17才
クラス:勇者 ハルという名の恋人がいる(教育実習生、年上)。
[鈴木 一郎(すずき いちろう)] 男 40才
クラス:聖職者 高校の用務員。[電波]が来ると「キタァーッ!」と奇声を
上げる
[フィリア・立花(ふぃりあ・たちばな)] 女 16才
クラス:吸血鬼 人里で暮らす吸血鬼の末裔。とてつもない方向音痴。
[小野 竜次(おの りゅうじ)] 男 17才 仮面ラ○ダーレックス(笑)
クラス:転生者 古代兵器[レックスアーマー]を所持。とってもスケベ(笑)

物語の概要。
[世界は狙われている!]
異次元より迫り来る侵略者[エミュレイター]!……通常兵器を受け付け
ず、我が物顔で人間の生命力(プラーナ)を貪る奴等から世界を守れるのは、
現代に蘇る魔法、持って生まれた特殊な力を操る[ウィザード]と呼ばれる
ものたちだけだ。彼らは人知れず正体を隠し、世界の守護者として今日も戦
い続けるのだ!
とはいっても、いつもいつも[世界の危機]と戦っているばかりではない。
そう、彼らも人の子。それぞれに自分の生活もある。そして当然、住むべき
場所も……。
だが、[世界の危機]とは案外近くに起きるものなのだ。しかもそれは、エ
ミュレイターばかりとは限らない……
ある晩、今日も新聞配達のバイトに励む竜次は妙なものを目撃してしまっ
た。それは……。
「……わはははははは!これで準備は整った!……世界は我ら魔空帝国のも
のだ!!」
黒い仮面の男の前では、何か建物のようなものが燃え上がっていた。そし
てそこから取り出された機械のようなものを覆面の男たちが軽トラックに積
み込んでいた。その機械は……
「……昨夜、スーパーに設置されていた自動現金預け払い機(ATM)が何
者かによって盗まれるという事件が起きました。犯人は爆薬のようなものを
用いて建物を爆破、幸い現金は取り出されたあとということもあり……」
…………
そんな事件が起きる中、この小さな町、狩野町に暮らす四人のウィザード
たちは妙なものを拾った。それは何と、身長15センチほどの小さな巫女だ
ったのだ……!
どうやらしゃべれないらしいこの小さな巫女は、狭間が差し出したパンを
貪りつつ、何か書き付けのようなものを取り出した。それを鈴木がどうにか
(当然小さい上に神代文字!しかもこれが下手……)読むと、どうやら彼女
は太古の時代、自らを封印した善神の[良心]だという。何でも、自分の[本
体]を掘り出して悪用しようとするものから救ってくれるものを捜している
ようだ。
その時、町の上空に浮かぶ巨大な幻影。それは、夕べの黒い仮面の男だっ
た。
「……我が名はゴッドバルファ。この世に暗黒と混沌をもたらす、魔空帝国
の帝王なり……」
人々が注目する中、言葉が続く。
「……我は宣言する。間もなくこの町で、世界を揺るがす、大いなる異変が
起こるだろう……それを目の当りにし、我の力を思い知ったその時は!!」
四人が(正確には、フィリアは聞かない振りをしていた)息を呑んで続き
を聞く。
「……その時は……来たる町長選挙の日、[清き一票]を我に捧げ……市民の
義務を果たすが良い!」
「……政見放送でした……」
…………
「おもいっきり選挙違反ね……」
そう呟くフィリアをよそに、鈴木は早速魔空帝国の選挙事務所に行くこと
を三人に進めた。
「だって、ほかの選挙ならともかく、小さな町の選挙なら、おにぎりがもら
えるんだ![福沢諭吉入り]の奴がなぁ(笑)」
…………
それでも、四人は教育実習生とはいえ教師の肩書きをもつ、狭間の年上の
恋人であるハルを連れ出し、なんだかんだで町外れのぼた山にあるプレハブ
の選挙事務所(奴等は宮殿と言い張る)にたどり着き、「学級新聞の取材」と
いう名目でゴットバルファへの面会を求めた。
「ほぅ、それは面白い……」
興味を持った帝王はその申し出をあっさりと承諾、ついでに夕飯までごち
そうしてくれた(おにぎりとお茶ではあったが[福沢諭吉]は入ってなかっ
た)。
だが、ここでウィザードたちは気付いた。何故かフィリアがいなくなって
いたのだ!
何のことはなかった。小巫女を連れたフィリアはここに来る途中ではぐれ、
[得意の]方向音痴で道に迷い、気が付いたらぼた山の裏側にたどり着いて
いたのだ……。
「何かしら、あれ……」
フィリアはぼた山の中腹にぽっかりと開いた入口を見つけ、中に入る。そ
こは人工の明かりに照らされた発掘現場で、さらに続く地下の空洞に降りて
いくと、その中心には、巨大な柩のような石の箱が鎮座していた。
その時、地下空洞に拡声器の声が響いた。
「……3……2……1……発破!」
その爆発の響きは当然地上にも響いた。
「お喜びください帝王!……たった今[神の箱]が開きました!!」
「そうか!では我が偉大なる計画の始まりを学生諸君にも見てもらおうか…
…あすの学級新聞は特ダネだぞ……」
ゴッドバルファはそういうと、ウィザードたちに着いてくるよう促し、早
速地下空洞に降りた。 地下空洞に降り立った帝王は、なにやら[ピピルマ
な]ステッキを取り出し、それを振り回しながら叫ぶ!
「立てぃ古代の巨人よ!……今こそ現世に蘇り、我のしもべとして破壊の限
りを尽くすのだ!!」 その声に答えたのか、石の箱の中から巨大な人型の
シルエットがそのまま天井を突き着き破らんと悠然と立ち上がった!……が、
結局突き破れずに巨人はさも痛そうに頭を押さえ、そのまま蹲った……。
そのころ、気を失っていたフィリアは小巫女に起こされ、ようやく目を覚
ました。そこは何か柔らかい布地でできた場所だった。それがいったい何な
のか、フィリアはすぐに気付くことになった。それは不意に動きだし、フィ
リアは慌てて蝙蝠の羽根(吸血鬼の特殊能力)を広げて飛び立った。そして
彼女は見た。それがとてつもなく巨大な[巫女]であることを……。
巨大巫女は自棄になったのか、天井をバンバンとたたき出す。すると、と
いうよりは当然の結果として天井が崩れ出す。このままでは地下空洞の崩壊
は時間の問題、その場にいた全員が逃げ出した。
そんな中、一人高笑いをあげるゴッドバルファに竜次が話しかけた。
「しつもーん!……その杖を使えば巨人巫女さんを操れるんですか?」
「ふっふっふ……良い質問だ。そう、この杖で我が邪念と[良心]を失った
巨人巫女の邪念をシンクロさせ、わが意のままに操るのだ!!」

得意気に答えるゴッドバルファに、竜次はさらにこんなことを言った。
「かーしーて!」
「……ちょっとだけだぞ」
「貰いっ!」
「あ!こら待て、卑怯だぞ!!」
竜次はステッキを手にしたまま脱兎の如く走り去る。それを見たゴッドバ
ルファはすぐに追いかけようとするが、ここでようやく今、自分が瓦礫に半
分埋もれていることに気付き、悲鳴を上げた……。
全員が無事に地下空洞から脱出した直後、ぼた山が光を放って粉々に砕け
散る。そして光が消えたその場所には、巨大な巫女が茫然とした表情で立ち
つくしていた……。
竜次はもってきたステッキを使って巫女の封印を試みた。が、その[ピピ
ルマな]外観から女性が使うべき、とハルに手渡されるも彼女はあっさりと
拒否、結局鈴木がステッキのボタンを押してみるものの、怪しげな電子音が
鳴り響くだけで何事も起こらなかった……。
「そいつは囮だ!本物はこっちの指輪だ……」
ようやくの思いで這い出てきたゴッドバルファが高らかに笑う。
「さぁ、巨人の巫女よ!……今度こそ我に従い、この世を破壊と混乱に陥れ
るのだ。そうすれば、愚民共は我の恐ろしさを思い知り、[清き一票]を我に
捧げるだろう……」
帝王は早速最初の命令を巨人巫女に下す。
「さぁ、まずは手近なスーパーを襲い、売上金をレジごと奪ってこい!!」
「せこい……」
狭間が思わず呟く。だが、そんな呑気なこといっている場合ではない。せ
こいとはいえ、そんなことが実際に行われればとんでもないことになるのだ。
いや、それ以前にこんなものが人々の目にふれるだけでも[現実世界の崩壊]
につながることは必至なのだ。
だが、巨人巫女はスーパーとは無縁の方向に歩き出す。それを見た帝王は
慌てて叫ぶ。
「どうした巨人!スーパーはあっちだ!……何故いうことをきかん……」
その時、鈴木が突如「キタァーッ!」と奇声をあげた。どうやら自分の信
仰する[神からの電波]が届いたようだ。
「……どうやら、あの巨人巫女に邪念というものはなく、代わりにあるのは
膨大な[好奇心]だけのようだ。それが今、良心の抑制もなく動いていると
いうことは……」
鈴木がそういって巨人巫女を見ると、彼女は町を目指して歩き始めていた。
どうやらビルや街灯の明かりに引かれているようだ。
「まずい!……このままじゃ町がどうなるかわからんぞ!」
ウィザードたちはすぐさま行動を開始した。とにかく町から引き離さなけ
ればならないと感じた竜次はステッキを振り回し、巨人の注意を引く。
「おぉい、こっちだこっち!」
その声と光るステッキの光に興味を持った巨人巫女は竜次のほうの向き、
その手を伸ばす。それを見た竜次はすぐさま走り出し、できる限り町から遠
ざかろうとした。が、結局あっさりと追いつかれ、竜次は巨大な手に鷲掴み
にされてしまった。
「鈴木さん、パス!」
竜次は手にしたステッキを鈴木に投げ渡す。興味の対象をとにかく移動さ
せることで巨人をできるだけ人里から遠ざけるつもりのようだ。だが、鈴木
がステッキを受け取った瞬間、ほぼ同時に巨人巫女の巨大な手が彼を掴み、
結局二人そろって捕まってしまった……。
巨人巫女は捕まえた二人を自分の顔に近づけ、満足そうに微笑み、そして
再び街のほうに歩き出す。このままでは町に着くのは時間の問題だ。
その時、左手に掴まれている竜次はおもむろに下のほうを見て「……よ
し!」と呟く。そして渾身の力を振り絞って絡みつく指を振り払い、そのま
ま地面に向けて飛び降りた!……が、彼が地上に落下することはなかった…
…。
「しまったあぁぁ!!」
わざとらしく叫ぶ竜次はそのまま巨人巫女の胸元に落下、そのまま懐の中
に入り込んでしまった!
「……うまくいったぜ!」
巨人巫女の懐に[無事に]もぐり込んだ竜次だったが、その直後とんでも
ない目にあった。何と胸の谷間に不意にプレスされたのだ!……そう、不意
に[異物]が入り込んだことに巨人巫女が反応したのだ!
「ぐわぁ!キモチイイ……じゃなくて苦しい……!」
竜次は天国に上るような気持ちで気を失った。そんな破廉恥な高校生を巨
人巫女は懐からとりだし、「んもぅ!」といわんばかりに放り投げた……。
その光景はいち早く空中に逃れていたフィリアにも見えていた。
「全く、あんなものどうやって止めればいいのよ……」
フィリアはそういって、抱いている小巫女のほうを見る。すると小巫女は
突然恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、自分の胸元を開き、胸の間を何
度も指さした。どうやら巨人巫女の胸元に自分を連れていけ、という意思表
示らしい。それを理解したフィリアは巨人巫女の後ろに回り込み、隙を見て
その懐に飛び込んだ!
「きゃん!」
またも何かが懐に入り込んだのを感じた巨人巫女は再び反応し、両腕を閉
じて胸元をかばう。そして当然フィリアはそれに巻き込まれ、竜次同様乳プ
レスの洗礼を受け、そのまま気を失った。だが、巨人巫女は今度入ってきた
のが[蝙蝠の羽根を生やした可愛い女の子]であることに気付くと、竜次の
ときと違って追い出したりせず、懐に入れたまま抱き心地を堪能、満足そう
な表情を浮かべて再び街に向けて歩き出した……。
だが、その途中でとんでもないことが起きた。何と目の前の線路を電車が
通りかかってきたのだ!……しかも最悪なことに巨人巫女がその電車にとて
も強い興味を抱いたのだ!!
「わぁ!……なんだあれは?!」
三両編成の列車には会社帰りと思われる乗客がそこそこ乗っていた。突然
現れた巨大な巫女に乗客、そして運転手は慌てふためく!……そんな中の様
子など知る由もなく(知っていても関係はないだろうが)、巨人巫女はその列
車を捕まえるべくその手を伸ばしてきた!!
「まずい……どうにか止めなきゃ!」
茫然とするハルを引きずって避難していた狭間は、彼女を安全な場所にか
くまうと、自分もすぐさま月衣(かぐや。一種の異空間)からウイッチブレ
ード(格闘攻撃用[箒])を取り出し、そのまま巨人巫女に向けて飛び立った。
巨人巫女の元にたどり着いた狭間はその周囲を飛び回り、何とか電車から
注意をそらそうとした。だが、今の彼女の興味は完全に電車に向いており、
なかなかうまく行かない。このまま電車は巨人巫女のおもちゃになってしま
うのか……。
そのとき、「まてぃ!」と巨人巫女を呼び止める声が響いた。声のほうを見
ると、そこには奇妙なものが立っていた……。
それは、電柱の上に立つ、直立二足の[Tレックス]だった。そう、これ
こそ竜次の切り札[古代兵器レックスアーマー]である。そしてこのアーマ
ーを装着したときの彼の名は……
「仮面○イダー……レーックス!!」
レックスは叫びながら巨人巫女に飛びかかる。それを見た巨人巫女は「あ
はっ」と微笑むと空中に跳んだレックスをあっさりと捕まえ、そのまま自分
の頬に寄せた。その瞬間、列車が巨人巫女の足もとを通りすぎた……。
列車の危機は回避したものの、巨人巫女が町に向かっていることに何ら変
わりはない。その間にも何とか鈴木、竜次、狭間がそれぞれに巨人巫女に挑
むが軽くあしらわれるかおもちゃにされ掛かるかのどちらかで、全く足止め
することができない。そして奏功しているうちにとうとう巨人巫女はビル街
にたどり着いてしまった!
突然出現した巨人巫女に町は混乱に陥った。そしてその人々の動きが巨人
巫女の好奇心をさらに煽り立てた!……このまま町は彼女の[遊び場]とな
ってしまうのか?!
その時、巨人巫女の胸の谷間で気絶していたフィリアが小巫女に起こされ
てようやく目を覚ました。小巫女はフィリアに上のほうに登るように促す。
見ると、指さされた皮膚の壁に何か凹みのようなものが見えた。それはちょ
うど小巫女と同じ形をしていた。どうやら彼女をここにはめ込むことで巨人
巫女に良心を戻すことができるようだ。
意を決したフィリアはすべすべした肌に手を掛けてよじ登った。懐の中で
は狭くて羽根が広げられない。それでも何とかよじ登ったフィリアは右手に
小巫女を掴み、手を伸ばして窪みにたたき着けるようにはめ込もうとした。
が、ここで巨大な手がフィリアに迫る。胸元でもぞもぞ動く彼女が気にな
った巨人巫女が手に取ってみようとしているのだ。そしてその手はついにフ
ィリアを摘みあげた!
しかし、ここで巨人巫女に変化が起きた。フィリアを見つめる巨大な瞳が
好奇心ではなく、ものすごく申しわけなさそうな表情に変わっていたのだ。
見ると、胸元の凹みがなくなっている。どうやら掴まれる直前に小巫女を凹
みにはめ込むことができたようだ……。
巨人巫女は四人を掌に乗せ、それでも未練がましそうに町をあとにする。
その時、ここでゴッドバルファ、そして物陰に隠れていたハルが巨人巫女の
足もとでそれぞれに叫んでいた。
「ぇえい!……巨人よ、いい加減わが命に従え!!」
「ちょっと、そこのでかい巫女!いい加減、舞威を下ろしなさいよ!!」
巨人巫女はやはり申しわけなさそうな表情でとりあえずハルに向けて手を
伸ばす。突然降ろされた巨大な手にハルは悲鳴を上げて抵抗するがあっさり
と摘みあげられ、狭間のとなりに降ろされる。そして今度は掌の五人に、こ
の情けない帝王をどうするかを訪ねるかのような眼差しを送った。
それに答えたのはフィリアであった。
「…………踏んじゃえ!」
その言葉にさすがの巨人巫女も躊躇するが、結局(混乱していたハルを除
く)全員の賛成を得られ、巨人巫女はこの上なく申しわけなさそうな表情を
浮かべつつも、ゴッドバルファに向けて(しかもいちいち草鞋を脱いで)巨
大な足をおもいっきり踏み降ろした!……直後にその足をどけると、そこに
はペラペラの紙のようになった帝王の無残な姿があった……。
その時、一陣の風が吹き、哀れな帝王を吹き飛ばす。
「……これで勝ったと思うな……我は……我は必ず帰ってくる……その時こ
そ、この世界は我が物となるのだ……それまではこのひとときの、ささやか
な勝利をせいぜい楽しむがよいぞ……わはははははは……」
ペラペラのゴッドバルファはまるで亡者の如く揺らめきながら風に飛ばさ
れていった……。
風に飛ばされていく帝王を見送った後、巨人巫女は五人を乗せたまま自分
のいたぼた山まで戻ってきた。そして五人を地面にそっと降ろし、袖から筆
と紙を取り出して何やら書き込んでからそれを地面に置いた。鈴木がその3
メートルはある書き付けを見てみると、どうやらお礼の言葉のようだ。が、
それがやはりとてつもなく[汚い字]であることに何らかわりはなかった…
…。
その後、巨人巫女は三つ指ついて五人に挨拶すると、自分が開けた穴から
地下空洞に潜り、再び石の箱に横たわる。その直後、粉々に吹き飛んだ蓋が
元どおりに復元され、跡形もなくなっていたはずのぼた山にも再び土が盛ら
れた。が、こちらは適当に直したのか、木やら岩やらが適当に刺さってしま
っていた……。
翌日。町は平穏を取り戻し、いつも通りの日常が戻っていた。
いつもの登校途中、フィリアが狭間に話しかけた。
「ところでさ、夕べの事件なんだけど……」
「あぁ、ニュースだとあれは[集団幻覚]ってことになってるらしい……」
との狭間の言葉に隆二が納得したように頷く。
「……まぁ、無理があるけどしゃーないか……そうしなければ[現実世界]
そのものが崩壊するし……」
ここでフィリアが思い出したように呟いた。
「ところで。あの帝王さんはどうなったの?」
「……悪い奴には見えなかったんだがなぁ……」
「それは、あなたたちはおにぎり貰ったからそう思えるんであって……」
隆二の言葉に納得できかねずに反論するフィリアを、狭間がなだめる。
「……まぁ、どっちみち巨人の巫女さんも元どおり眠ったし、あいつ自身、
ウィザードとしては大した実力もっているわけでもない。ま、当分はおとな
しく次の[悪巧み]でも考えているんだろうさ……」
その答えは学校についたときにはっきりした。用務員室で一人テレビを見
ていた鈴木がとんでもないニュースを見たのだ!
「……あのおっさん、まだやる気だ……」
そのニュースは隣県で今日告知された町長選挙の様子を放送していた……。
「……我が名はゴッドバルファ。この世に暗黒と混沌をもたらす、魔空帝国
の帝王なり……我は宣言する。間もなくこの町で、世界を揺るがす、大いな
る異変が起こるだろう……それを目の当りにし、我の力を思い知ったその時
は!!」
「……その時は……来たる町長選挙の日、[清き一票]を我に捧げ……市民の
義務を果たすが良い!」
「……政見放送でした……」
今日も世界は狙われている。それも案外身近なところから……


解説
どーもー。もっと短くまとめるつもりが長くなり、挙句出来損ないの小説
もどきとなってしまいました。読みづらかったらゴメンナサイ(謝)。
えーまずはこの[ナイトウィザード]というTRPGの世界観を簡単に。
時は現代。実は我々の知る[常識]と呼ばれるものは[世界を驚異から守
るために作られた結界]なのだ。ところがその結界を破り、[異なる常識]で
この世界を浸食しようとする異次元からの侵略者が攻めてくる。それが[エ
ミュレイター]。
奴等は人間のもつ生命力を狙い、今日もどこかで暗躍する。奴等には通常
の武器など通用しない。そう、科学でできた我々の武器は奴等の[常識]に
は全く通じないのだ。
だが、そんなエミュレイターに立ち向かえるものたちがいた。[世界結界]
の中で迫害されつつも、静かにその[魔道の力]を受け継いだものたち、そ
う、ウィザードと呼ばれるものたち。彼らの持つ力は[常識外のもの]すな
わちエミュレイターと同質のものなのだ。彼らウィザードたちは世界の危機
を救うために完全と立ち上がった!
紅い月が天空に輝くとき、世界の存亡をかけた戦いが始まる。
今まさに[世界は狙われている]……
と、まぁこんな感じのシリアスなものですが、今回のシナリオはそれらを
全部すっとばし、完全に[おバカな]お話に仕立てました。
ちなみにこのシナリオは以前美代し野さんの掲示板にて、白兎さんへのお
返事として出したものの別バージョンです。具体的には変わっていないので
すが、敵の馬鹿さ加減をパワーアップさせ、巨大巫女さんの活躍(?)シー
ンをもう少し増やしました。まぁ前回は誰一人つかみあげられなくて悔しか
ったのもあり、機会があれば、と思っていたときにオープン定例会に行くこ
とになり、ちょうどよい機会として再び出すことにしたものです。
最初は身内と違う環境でGTSネタを出すことに少々戸惑いがありました
が、蓋を開けてみると案外プレイヤーさんたちのノリはよく、それぞれに状
況を楽しんでくださいました。ただ、やはり一般向けということもあってか
なり描写を押さえざるを得ませんでした(でもこのサークルは一度18禁T
RPGシステムを出しているので可能ではあったのですが)。
巨大巫女さんとの戦闘(?)シーンにおいては戦闘ルールはイニシアチブ
のルール以外は使用しませんでした。というより、まともな戦闘が発生しま
せんでした。さすがに相手が巨大とはいえ[無邪気な巫女さん]では普通に
戦いを挑むなど考えもしなかったようです(もし戦っても絶対に勝てなかっ
たのですが)。むしろプレイヤーさんたちは自分たちなりに状況を楽しもうと
してくれたようです(わざと胸の谷間に落ちる、など)。
でももし、これが巫女さんでなく、トリスメジスタンやミカヅキのような
外観だったら、やっぱり挑んで「勝てないじゃないか!」と文句が出たのか
もしれません……。
あと、プレイ終了後に聞いたのですが、実際一部のプレイヤーさんには最
初に小さな巫女さんが出てきた時点で後半の巨大巫女さんの存在に気付きか
けた人もいました。それを知った上でこんなボケもかましてくれましたが…
…。
マスター「君たちの目の前には、長さ50メートル、幅20メートル以上の
巨大な石の箱が横たわっていた……」
狭間 「何だって!……まさか身長20メートル、幅50メートルの巨体
が眠っているというのか!!……なんて醜い……」
マスター「………………」
最後に巨大巫女さんを含むこのシナリオの感想を聞いてみたところ、全員
から「ま、こういうものも[アリ]何じゃないんでしょうか……」と乾いた
(笑)笑いでいってくれました……。
と、いうわけで前回のワースと同様になってしまうのですが、ネタとして
のGTSはコメディーとかギャグとしてなら通用する、というところでしょ
うか。まぁ、ネタゆえに何度もできる[技]ではないので、当分は使えない
でしょうが。また、破壊描写もかなり押さえないと、TRPGプレイヤーか
らは純粋に[敵キャラ]としてみなされ、唯の戦闘に発展してしまう可能性
もあります……。 でも、今回はそういう意味では自分としても楽しめまし
た。よってこのシナリオはほとぼりが冷めたころにもう一度くらいどこかで
出してみたいなぁ……などと考えておりますですハイ。  それでは。

追記
今度こういうシナリオをGTS愛好家同士でやってみたいものですハイ…