巨大な楓が去った後の大通りはまさに惨劇だった。
あちこちに潰れた人間の死骸が点在し車や建物もめちゃくちゃに壊れている。

俺達は生き残った人々を集め今後について話し合った。
「とにかくどこかのビルを拠点にして生きるのに必要なものを集めよう。」
「デパートの食料品とかもそのままここに転送されてきてるみたいだからとりあえずはそれで凌げるね。」
「あの巨人が来るのは一日一回…さっきは午前9時だったがいつ来るかわからないと思って油断しないほうがいいわね…」
「そもそもあの大女はおまえらの知り合いなのか?」
「そうです。同じ大学のサークル仲間でした。でもあんな残酷なことする奴では…」
「君達で説得はできないのか?」
「そうだ顔見知りの言葉ならあの巨人も聞くだろ。」
「いや、そんな危険な…」
「頼むよ!」
「そうよあなたたちしかいないわ。」


「俺も…楓に対して望みは捨てたくない。」
「そうだな…やってみるか!」


そして、俺を含めたサークルメンバー三人と話し合いに参加していた一般の人々三人で昨日楓が現れた場所で待つことにした。


翌日午後5時
この空間にも夕暮れはあるようだ。
街が夕陽でオレンジ色に染まる頃、街が揺れた。
ズズゥン
しかし俺達の目の前に楓はいない。

空高くそびえ立つあの巨人が現れたのは…街の反対側だった。

「ここに現れるとは限らないのか!」
「行くぞ!犠牲者が増える前に!」

用意してあったワゴン車で急ぎ大通りを引き返した。


「みんなこんばんはー♪元気にしてた?今日も大きなお姉さんが遊んであげるね♪」

楓が現れたのは街の北部。
幸いにも拠点からは離れていたからか近くに人はいなかった。
しかし巨大な楓の移動スピードを考えれば安心はできない。

ブーツでビルを蹴り壊し小さな建物は踏み潰していく。
楓のあの重量感のある太ももにかかればビルなどたやすく木っ端みじんにされてしまう。

まずい楓が拠点に近づいている。

「ふふ、見ぃつけた。」

食料を取りに来ていた高校生がデパートの入り口で楓に見つかった。












「今日は君が第一号かなー?」