「最近、お肉食べてないなぁ〜・・・」
「はぁ?そういう台詞を今ここで吐くか?ふつう」
「だってぇ・・・」
これが普通の恋人同士であれば、迷わず焼き肉デート決定だ!しかし、俺たちにそれは限りなく不可能に近いっ!何故なら今俺がいる場所はバカがつくほどでっかい掌の上!
そして、その手の持ち主が、たった今肉が食いたいとのたまわった張本人なのだ!
小舘遊里、高校1年、身長169m、体重5万t(推定)これがこの女のスペックだ。決して単位を間違っている訳ではない。本当にこんなにでかいのだ!
この巨体の胃袋を満足させるために一体何千頭の牛や豚が必要になるのだろう?考えただけで目眩がする。
しかも、休日のカップルやら家族連れやらが集まる公園のど真ん中を体育座りで占領しての今のご発言である。少なくとも俺の視界からはものの1分も経たないうちに人影は消え去った。
いや、確かにこいつからみたら俺も含めて皆さんありんこみたいなもんですが、流石にこいつだって人様を取って食おうなんて・・・鬼じゃあるまいし

当のご本人も気がついたらしい。俺を手に乗せたまま器用に体勢を変えていく。
ずっず〜んっ!!!
上半身が公園の木々をへし折り、売店を押し潰し、さらに地面まで陥没させてその場に横たわる。いつのまにか俺の前には横倒しの状態の巨大な胸・・・
その重さだけでベンチが木端微塵になっている。なんて重さだっ!?
しかもこいつ、みんな逃げるのをわかってて言いやがったな!
「でもねぇ、本当にお肉食べたいんだよ〜・・・合成タンパクばっかりじゃ飽きちゃうしさ!圭君だったら食べても怒られないかなぁ」
未だ掌の上の俺に、巨大な人差し指が襲いかかってくる。ちょ、ちょっと待て・・・俺は、絶対に不味いぞっ!
「だったらまた食い放題にでも行くか?」
「無理だって、もうほとんど倒産させちゃったじゃん。他の焼肉屋さんは食い放題なんかない高級店ばっかりだよ」
「じゃあ、遊里様のお力を以って丁重に脅すしかないな。」
ついに俺は指先に摘ままれて急上昇だ!そのままもう一度上半身を起こした遊里の目の前で吊るされている。力加減間違えるなよぉ、すでに苦しいんだから・・・
「しっつれいね〜!こんな優しくて可愛い女の子をつかまえて、暴君みたいな言い方して!」
全身の骨が軋み出す。ぎ・・・ギブアップです。ごめんなさい!私が悪うございました。。。
「なんかお肉の話してたらおなか空いて来ちゃった」
失神寸前で左の掌に解放される。何言ってんだか?自分で言いだしたことじゃねえか!
「じゃあ、帰るか?そろそろ暗くなるし。」
「うん」

「ただいまぁ!」
遊里用の巨大な玄関を通って家の中へ入る。台所では母が夕飯の支度をしていた。遊里の母であり俺の義母、身長165mでとても37歳とは思えないほど若く見える。
しかも、大人の色気も満々でどこかの乳だけ巨大な子供とはわけが違う。ちなみに遊里の胸の大きさは母譲りだと一目でわかるほどの爆乳である。
俺のオヤジと遊里の母親は再婚同士で俺達はそれぞれの連れ子な訳で、法律的には義理とはいえ俺達は兄妹ということになる。しかし、同じ歳で兄妹ってもなぁ・・・
「義母さん、オヤジは?」
「今日は遅くなるって。だから先に夕飯済ませちゃいましょ。」
と言いながら、義母さんは巨大な皿やらお椀やらをズドン!ズドン!とテーブル上に並べている。それにしても美人だよなぁ。あのくそオヤジ、いったいどこで見つけて来たんだぁ?
なんて思ってたら、俺の真横に巨大な1枚の皿がズッドォンッ!
「あっ、あぶねえだろっ!ぼけぇっ!」
「あらっ、ごめんなさいねぇ。っていうかよそ見してる方が悪いのよっ!ほら、圭君の分!」
巨大な皿の上には、炊飯器と俺から見たら大皿料理にしか見えない数々のおかず類が並んでいる。そもそも義母さんのサイズじゃあ、よほど手先が器用でないとこんな料理は作れない。
いつもご苦労をおかけします、義母さん・・・
ちなみに今日の共通おかずは肉じゃがである。ジャガイモは遺伝子操作を施した途方もなく巨大なもの。ひとつひとつが乗用車並みにでかいっ!俺から見たら巨大な岩だ。
その端っこを義母さんがこれまた電柱より長い箸でいくつかに分けて、端をちょっとだけ俺の皿に乗せてくれる。それでも1m四方の岩並みのサイズ!
肉じゃがのひき肉は遊里の嫌いな合成タンパク製。いつも「圭君は普通のお肉食べてもいいのよ」と言ってくれるが、何となく申し訳ないので同じものにしてもらっている。
ひき肉のはずだが、ひと欠片がブロック肉に見える・・・
「圭君、いっぱい食べてね。じゃあ、いただきます。」
俺から見て右側に遊里、左側に義母さんが座り、夕食が始まる。いつもそうだが壮絶な光景ではある。フルサイズのジャガイモをあの長い箸を使って、巨大な口の中に放り込まれるのだ。
みそ汁は小さめのガスタンクを真っ二つにしたようなお椀を片手で掬いあげて、そこらの池の水など簡単に干上がらせるほどの量をゴクゴクっと飲み干していく。
「やっぱ、お肉食べたいなぁ・・・この際圭君でもいいから!」
「遊里!何てこと言うの!」
「やだなぁ、冗談よ!」
いや、ご飯を数俵単位で口に運びながら言われたら冗談に聞こえませんが。。。
まあ、この食事シーンでいい面と言えば、向かい合って座っているふたりの左右から突き出す爆乳を観賞しながら食事ができるということくらいだろうか。
それにしても遊里の胸、でかくなったなぁ!昼間公園で寝そべった時に目の前に現れた巨大な山を、つい思い出してしまった。

「じゃあ、行ってくるわね。」
義母さんは夜勤のパートに出かけ、オヤジは結局今日は帰れないらしく、今夜は遊里と二人っきりでお留守番になった。
ちなみに、義母さんの仕事は港湾労働兼非常勤の軍人である。まあ、あの大きさなので肉体労働以外はあり得ないのだがこれがまた凄い!一度何隻か一度に入港するので忙しいからと
遊里も手伝ったことがあって、何故か俺も同行させられたことがある。
義母さんは膝までの水深の海にザバッ!と入ると、身長より少し大きめのコンテナ船の横に立って、コンテナをひとつひとつ摘まんでは岸壁に綺麗に並べていく。
本来、港湾用のクレーンを使って数時間かかる作業が、義母さんひとりでものの数分で終わってしまうのだ。しかも、コンテナには凹みひとつ無い。
遊里はというと、義母さんが並べたコンテナをひとつずつトレーラーに乗せる作業をしていたのだが、たまに気を抜いてコンテナを潰してしまう有様だった。
結局、3つほど潰した時点で残りは義母さんひとりでやる羽目になってしまってはいたが・・・
「だいたい、弱過ぎるのよっ!もうちょっと頑丈に作って欲しいわよっ!」
全く反省の色を見せず、膝の上に乗せた俺に愚痴る始末だ。いや、もうちょっとそのガサツさを何とかした方がいいんじゃないか?と思ったが、後が怖いので黙っていた。
義母さんの軍人としての仕事は知らないし、敢えて知ろうとしないことにしている。ちなみにオヤジも軍人である。まあ、色々と守秘義務やらあるんだろう。
オヤジも義母さんも何も言わないので何も聞かないことにしているだけなのだが。

リビングのソファーに遊里が寝そべり、俺は巨大ソファーの前の特大テーブルの上に置かれた普通のサイズのソファーに転がっている。
「でもさぁ、子供ふたりで留守番させるなんて物騒だよねぇ。」
はぁ?誰が物騒?何が物騒?もし、この家に強盗さんがお邪魔して来たとして、だ。どう考えても不運なのはその強盗さんご本人だと思うんですが・・・
「遊里が守ってくれるからいいだろ?」
「はぁ?普通は男の子が女の子を守るもんじゃないの?圭君ってそんなに甲斐性なしなの?」
「ばぁか!普通の女の子だったら守ろうって気も起きるけど、遊里じゃあなぁ・・・だいたいお前の指先と喧嘩して勝てる人間、いるか?」
むぎゅぅぅぅ・・・全身がとんでもない圧力に襲われる。身動きどころか息もできない。つ・・・潰れるって・・・
「よく聞こえなかったんだけど。なんて言ったのかなぁ?」
ブラックアウト寸前の視界の隅に見えるのは寝そべったままの遊里の笑顔。長い腕がこっちに伸びてるってことは・・・やっぱ、指先相手でも勝ち目ないじゃんかぁ

「もう、圭君、失礼なこと言い過ぎだよっ!」
指先で潰されかけた後、掌に乗せられて正座させられている俺。いや、でも、間違ったこと言ってないし。でも、黙ってお説教を聞くしかないか。ところがお説教はここで打ち切られた。
「ところでさぁ、圭君って、あたしのことどう思うの?」
「どう?って???」
「その、法律上は兄妹だけど、血は繋がってないし・・・」
遊里の頬がほんのりピンク色に染まる。何か恥じらっているような・・・ヤベッ!こっちがドキドキしてきた。
思えば初めて会ってからもう1年が経つのか。オヤジと俺を乗せた車が急上昇して、とんでもなくでかい目に覗き込まれた時は、正直心臓が飛び出すかと思ったっけ。
話には聞いていた巨人が突然目の前に現れたんだからそれはビックリするさ。
そういえば、車から遊里の掌に降り立った時もこんな顔をしていたよなぁ・・・
「ねぇ!きいてる?」
のゎっ!いつの間にか顔の前まで上げられている。ちょ、ちょっと待て!鼻息で飛ばされそうになるじゃんかっ!!!
「きゅ、急にアップになんなよっ!」
「だってぇ、圭君、人の話ぜんっぜん聞いてないじゃんっ!」
今度は眼前の口が開いて暴風に襲われる。流石にこれにはたまらず後ろに転がってしまった。
「どう、って言われても困るだろぉ?」
「怒んないから!思った通りのこと言ってっ!」
「あのなぁ、いくら兄妹でも好きじゃなきゃお前みたいなでか女、おっかなくって仕方ねぇだろっ!」
あ・・・どさくさに紛れて言っちまった。
「お、おっかなくて悪かったわねっ!それに好きじゃなきゃって・・・す、き?」
遊里の顔がみるみる真っ赤になっていく。
「好きって、ど、どういう、ことよ・・・」
「い、いろんな・・・意味で、だよ・・・」
しばしの沈黙。先に口を開いたのは遊里だった。
「あ、あたしも・・・圭君が、好き、だよ」
へっ?遊里の顔を見ると、目をつぶって、息を・・・止めてる。つまり、俺を吹き飛ばさないための配慮?ってことは・・・
俺は、立ち上がって遊里の唇に歩み寄る。幅1mはありそうな下唇の上に、少しだけツンと上唇が出ている。中央に両手を広げて上唇にキス、というより顔を埋める。
少し硬くてザラザラとしているけど、甘い香りが漂っていそうな感覚。遊里も分かっているのか、少しフルフルと動いている。と、その時、床が急降下した。
「ぷっはぁ〜」
遊里が勢いよく息を吐き出すと、ゴォゥッ!と物凄い風切り音が耳を劈く。
「はぁ?色気も何もないなぁ・・・」
「あのねぇ、苦しいの我慢してたんだよ!息止めてないと圭君飛んでっちゃうじゃんっ!」
再度目の前まで上げられる。
「でも、ありがと。今日は圭君とキスしたいって思ってたんだ。何でだかわかる?」
なんで?そういう気分だったからじゃないのか?いや、思わせぶりなこの言い方には絶対に理由があるはずだ。でも、なんだろう?
「やっぱ覚えてないか。今日は圭君と初めて会ってからちょうど1年目だよ。」
「そ・・・そう、なんだ。」
しどろもどろ、というかそんな正確な日付まで覚えてないでしょ?普通
「やっぱね〜、男の人はそういうところ鈍感だもんね〜。でもさ・・・」
ドッスンッ!
遊里がソファーから降りてテーブルに両肘を突く。たったそれだけで俺はよろけてしまう。というか、目の前にはピンクのTシャツ越しではあるが巨大な双子山が・・・
「お義父さんもそうだって。圭君はお義父さんに似たんだね。」
まぁ、確かにオヤジがそんなにマメな男であるはずが無い。都合の悪い部分だけ遺伝したってことだろうなぁ。というより、目のやり場に困るんですが・・・遊里サン?
「ん?圭君?」
遊里の視線が俺とテーブルに乗っている自分の胸を行き来している。わ・・・やば・・・
「もう、エッチ!」
あれ?普通なら指先で突き飛ばされるか摘ままれるかされるはずなんだが、顔を赤らめて見下ろしているだけ?
またまた何とも言えない沈黙の時間が過ぎていく。

ズンッ!
ゆ、遊里さん?一体何を?と思うほど突然に、遊里はTシャツを脱ぎ捨てた。Tシャツより薄いピンクのブラに包まれた双子山がテーブルの上に再び降臨する。
「あのさ、あたしの胸、どうかな?お母さんよりちっちゃいとか言わないでよね。わかってるんだから・・・」
どう?って言われても・・・身体の大きさと比べても巨大な胸。谷間もくっきりとその威容を見せつけている。体格と比例したらFかGはありそうなサイズだ。
「お、おま・・・遊里、こ、困るよ。目のやり場が・・・」
「ちゃんと見てっ!あたしだけ見て欲しいんだもんっ!」
「は・・・い・・・」
圧倒的な迫力につい返事をしてしまった。でも、綺麗だなぁ。いや、そうでなくて。このままいくと兄妹以上の関係に?って、敏感に反応してる・・・
「触ってみる?圭君だったら許してあげるよ。」
じゃあ他の人が触ったら?ってかそんな勇気のある男がいる訳ないか。
「いや、その・・・」
何なんだよ!この大胆さは!今日は勝負しますって勢い満々じゃねえか!
「ふ〜ん、やっぱまだ魅力ないんだ。」
いや、そうじゃなくて、充分魅力的なんだけど、こっちにも心の準備ってものが・・・なんてこっちの気も知らずに遊里が思い出したように立ち上がった。やっぱでかい!
頭上にはどんな巨木でさえ爪楊枝程度にしか見えないほどの健康的な太股が2本聳えている。その根元から上は安産型の丸いヒップをホットパンツが包んでいて、
今まで目の前にあった巨大な胸は既に遥か上空だ!

遊里は一度自室に入っていった。待つこと数分。同じ格好で戻って来て、手に持っていたものをテーブルに置いた。
「な・・・バス?くるま?ど、どうしたんだ?これ」
ズズンッ!と俺の目の前に座り、またもや巨大なブラが壁となって現れた。
「大丈夫だよ。廃車にするのを貰って来ただけだから。お母さんは電車を余裕で挟めるんだけど、あたしはまだこれがちょうどいいんだよね〜」
義母さん、そんなことしてるんですか?あ、あ・・・やばいよ。想像したらダメだって・・・
遊里はと見ると、バスを指先で摘まんで中を覗き込んでいた。やっぱ、おもちゃにしか見えないなぁ。っていうか、挟むの?それ?
「なっ、なにしてんだぁ?」
挟みました。しかも、すっぽりと谷間に挟まってます、はい。巨大な胸の圧力に負けそうな金属音がバスの断末魔のように聞こえる。いつも、そんなことしてんのか?
「ね、挟まったでしょ?ちょっと揺らすと簡単に潰れちゃうんだよ。」
遊里は指先でバスを中まで押しこむと、ユサッユサッ!と巨大な胸を左右に揺らし始める。その風圧が俺にまで届いてくる。やっぱ桁外れだっ!
「はい、どうぞ。」
指先が胸の谷間に差し込まれ、バス、だったものが引き出される。横から見ると辛うじてバスだとわかるそれは、膨大な胸の質量に耐えかね、車幅は数十センチにまで潰れていた。
その数十センチの隙間には潰れた椅子や手すり、へし折られた天井や床が隙間が無いくらいに押し込まれていた。
「す・・・げぇ・・・」
つまりもしこの中に乗っていたら、間違いなく巨乳の万力に押し潰されるんだろうなぁ?思わず背筋が寒くなる。
「こびとが乗ってたらペッチャンコだね。」
遊里は潰れたバスをクシャッと握り潰して、ごみ箱に放り込んだ。
「で、そんなのを俺に見せてどうするんだ?」
「う〜ん、考えてなかった。」
はぁ?やっぱこいつ何考えてるかわからん。。。

「今度はちゃんと走る車を持ってくるね。」
俺は一台の乗用車に乗せられて、遊里の腹の上で指先で車ごとあっちこっち移動させられている。いや、まだ免許取れないんですけど・・・まだ、高校生じゃんかぁ
でも、遊里は免許は取れないよなぁ。こいつにとって車は乗りものじゃなくて乗せるもの、もしくはおもちゃだもん。
しばし弄ばれながら、これからどうなるんだろう?とあれこれ想像してみた。このまま玩具扱いで終わるか、それとも・・・えっ?ま、まじすか?
遊里の手が、ホットパンツのチャックにかかるちょうどその時だった。
ガチャリ!
ドアが開く音。それも巨人用の方だ。遊里はここに居る訳だし、他に開けられる人はあとひとりしかいない。
「ただいまぁ・・・あら・・・」
義母さんだった。上半身下着姿でソファーで寝そべったまま車を腹の上に乗せている遊里と、ばっちり目が合ってしまう。
「お、母さん?なんで?」
「ご、ごめんねぇ。でも、今日の仕事。船が時化で遅れるって連絡があってキャンセルになっちゃったのよ。わ、私は部屋に戻ってるから、ごゆっくり、ね」
義母さんはそそくさと自室に入って行った。リビングに取り残される俺たち。不意に車が急上昇し、テーブルの上に降ろされる。
「降りて」
俺が車から降りると、遊里は俺が乗っていた車とあと2台を無造作に掴んでグシャリ!と握り潰し、テーブルの上に転がり落とした。
「シャワー浴びてくる」
不機嫌そうにそう言って、遊里は浴室へとズシン!ズシン!と行ってしまった。こころなしかいつもよりでかい地響き。というか、俺は?このままここにいろと?
結局俺は、シャワーから上がって来た遊里に摘ままれて部屋に戻されるまで、車3台分がひと塊になったスクラップをぼぉっと眺めているしかなかった。