僕は全長50mほどの貨物船の甲板の上で何故か全裸で仰向けに寝そべっていた。船は少し大きめの波に揺らされて、時折柔らかな入り江の崖の接触して跳ね返されてという
動きを繰り返していた。
「ねえ、美咲さんっ。」
僕は頭上から見下ろしているこの入り江の主、美咲さんに声をかけてみた。
『ん?なぁに?もう上がる?』
両手で少し胸を寄せたのか、入り江がいきなり狭くなり船は両側の胸の壁に挟まれる格好になる。それでもまだ潰されることはなさそうだ。
「いや、もう少し浸かってていいよ。それより、よくこんなデカい風呂作ったよね。」
ここは、美咲さんの部屋の奥にある広大なスペースの一角に作られた露天風呂なのだ。しかも、天然温泉である。
『だってぇ、いくらおっきくてもお風呂は大切よ!』
「そうじゃなくて、作るのけっこう大変だったんじゃないかなって・・・」
『あら、玲奈ちゃんと一緒に作ったから簡単だったわよ。軽く穴を掘ったら温泉が出ちゃったからね。少し頑張っちゃった。』
そうだった。フルサイズの美咲さんと玲奈ちゃんにとっては深さ数百メートルの風呂を掘るなんて片手で余裕でひと掬いだった。と改めて思い出した。
それでも、ざっと掘り返した後何段階かの深さに分けて湯船の形に整えてと、いろいろと細かい作業をしたようで、今ではこのコロニーに住む数十人の女性たちの
自慢の施設になっているらしい。
もっともこんな場所に入り込んだ人間、特に男がどんな目に合うかは火を見るよりも明らかなので、公に知られることのない施設ではあるが。

『今度はもう少し大きい船にしようかしら。』
確かにこの船では美咲さんの爆乳が作り出す入り江は深すぎる。今ではおっぱい山の標高は100m以上あるかもしれない。僕がここに来てから約3か月で、
およそ2倍にはなっているだろう。
「それはいいけど、まだ大きくなってるの?」
何気なく聞いてみた。
『そうなのよ~、もうじき1km超えちゃうんじゃないかしら。』
美咲さんの顔が少し曇る。たぶん、それは自分のことではなく他の子のことを考えたのだろう。玲奈ちゃんは約800m、彩菜ちゃんは約600m、それぞれ2~3倍には
なっている。いや、彼女たちだけではなくこのコロニーに元々住んでいた女性すべてが大きくなっているのだ。
あの1500m以上ある絵里ちゃんをはじめとする、その頃にこっちに移動してきた女性たちのサイズはほとんど変わらないというのに。
「何かあるのかな?」
とは言ってみたものの、何が原因かなんて僕はもちろん、美咲さんにだってわかりはしないだろう。
『そうね、でもまあ、何とかなるでしょ。でも、あの子たちが学校に行けなくなっちゃったのはちょっと可哀そうかな。』
そうだよなぁ。玲奈ちゃんに聞いたら、『校庭丸ごとお尻ので潰しちゃうんだから行けるわけないでしょっ!』思いっきりムッとされたっけ。
などと思い出していると、湯煙の向こうから、「あの子たち」の話し声が聞こえてきた。

『美咲さん、来てたんだ~!』
ザバザバと波を立てながら玲奈ちゃんが近づいてきた。逞しい太ももの半分ほどが湯船に浸かり、その上は・・・全裸だ。股間の茂みも身長と一緒に大きくなっている
巨大な胸も丸見えである。
『ん?なんだ、エロちびじじぃも一緒なんだ。』
ひときわ大きな波を立てて、美咲さんの横に座りながら伸ばしてきた指に、僕を乗せた船はあっさりと摘み上げられて掌に乗せられた。
既に美咲さんの肩よりも高い身長の玲奈ちゃんの掌は、やはり大きくなっていた。以前乗せられた時より面積で5倍以上は巨大になっている気がする。僕が乗っている貨物船だって
決して小さくはないはずなのだが、余裕で掌に収まっているのだ。その広大な肌色の地面がグイッと急上昇した。
『温泉、気持ちよかった?』
玲奈ちゃんは少しはにかんだような笑顔で僕を見下ろしていた。そこにザバザバと彩菜ちゃんが近づいてくる。
『でもさぁ、こんな役得、ヒロさんだけだよ~。他のこびとがいたらとっくにミンチだし。』
「そうだよな・・・うぇっ!?」
振り向いてそう言いかけて・・・目の前には彩菜ちゃんのやはり特大級のおっぱいがドンッ!と広がっていた。まだ座っていないらしく僕の目の前にはしがみつくのが精いっぱいなサイズの
ピンク色の乳首が攻撃的に突き出している。
『ん?興奮しちゃった?女子高生のおっぱいに興奮するなんて、やっぱヒロさんも変態なんだぁ。』
ケラケラと笑いながらザブンと湯船に浸かる彩菜ちゃん。と、同時に背後から物凄い殺気が・・・恐る恐る振り返ると、玲奈ちゃんが冷たい視線で僕を見つめていた。
『へんたい・・・』
そう一言だけ言うと、掌をズイッと美咲さんに差し出す。あまりに突然だったので僕は甲板の上で転げまわる始末だ。
『フフッ、でも、玲奈ちゃん、よく笑うようになったわよね。ヒロ君のおかげかしら。ちょっと妬いちゃうかも。』
指先で貨物船を摘まんで自分の掌の上に乗せ、ニコッ笑う顔はまだまだ大人の余裕の表情という感じだ。
『そ、そんなこと・・・』
『玲奈ちゃんになら取られてもいいかなぁ。』
そんなことを言いながら、美咲さんはザバッと立ち上がると『先に上がるね~。』とザバザバと大波を立てて歩き出していた。

途中何人かの女性たちとすれ違うが、美咲さんとのあまりのサイズ差に僕からその姿は見えない。それにみんな裸なのだ。わざわざ掌を降ろして見せてもらうのもおかしいだろう。
中には小学生もいるのだから、今度はロリコンとか言われそうだし。
と、そこに、唯一美咲さんより大きな子が近づいてきた。引っ越し組の絵里ちゃんだ。美咲さんでさえまだ絵里ちゃんの臍の辺りまでしかない。そして僕の前には超極太の太ももの付け根が
視界を完全に埋め尽くしていて、こちらも十分に大人びた茂みを隠そうともしていなかった。
『あら、今から?ゆっくり温まってね。』
『はい。ありがとうございます。』
短く言葉を交わして絵里ちゃんは風呂の方へと歩いて行った。
『この前玲奈ちゃんにもやられちゃったから、さらにおとなしくなっちゃったわね。なんだか可哀そう。』
彩菜ちゃんに聞いてはいたがやっぱりそうだったんだ。でもまぁ、五体満足なんだからきっと脅しただけなのだろう。もっとも、心が折られるくらいの恐ろしい目にあったとは思うが。

「そう言えばさ、街の整理っていつ終わるの?」
部屋に戻って着替えた美咲さんの胸元に、僕は降ろされていた。
『そうねぇ、あたしたちがやればすぐなんだろうけど、小学生とかに力加減とかわかって欲しいからなぁ。どうせこびとは何もできないんだからゆっくりやるわよ。』
一応、引っ越し組が住める場所は確保して実際住んでいるので、あとは遊び場のようなものなのだろう。向こうは絵里ちゃんだけ突出して大きく、ほかの子はほとんど外に出なかったらしいので、
小さな人間の街に慣れさせるためにも一気に整地しない方がいいと思っているようだった。
「それにしても、人数増えたよね。50人以上いるんでしょ?」
『大人数になっちゃったよね~、しかも、こっちの子はみんな大きくなってるし・・・もう少し土地もらおうかしら。』
今、身長が100m以上あるのは、美咲さん、彩菜ちゃん、玲奈ちゃん、絵里ちゃんと小学生の千夏ちゃんの5人。千夏ちゃんは元々100mちょっとだったが300m近くにまで大きくなったらしい。
『でも、いい加減止まらないといろいろと不便なのよね。こびとの街にも行きにくいし。』
そうだろうな。美咲さんの今の足のサイズは150m近く、幅も40m以上ある。つまり片側3車線の大通りでさえ美咲さんの足を収めるには狭すぎるのだ。今までのように気楽に街に入ったら、
間違いなくいくつかの建物を踏み潰すことになるだろう。そして彩菜ちゃんと玲奈ちゃんが学校に行くのを止めたのはやはり大きくなりすぎたからだった。
「原因わかんないんでしょ?」
『うん。このああたりの土とか水とか空気とかが関係あるのかなぁ。』
と言っている割にはまだ余裕の表情の美咲さんだった。

ある日、玲奈ちゃんが美咲さんのところにやってきた。しばらくの間奥の部屋を使いたいらしい。つまり、本来のサイズに戻るということだ。
『あんたも来る?』
そうは言われたが、フルサイズの玲奈ちゃんのほんの些細な動きだけで天変地異が発生するのは間違いない。遠慮したいなぁ、と思ったその時だった。
『あら、私もそろそろかなって思ってたのよ。折角だから一緒に行こうか。』
『え?でも、こいつどうすんの?』
『隅っこに置いとけば大丈夫よ。ね、ヒロ君?』
僕の意見は何も聞かれないまま、僕は何が起こるかわからない未知の部屋に同行させられることになってしまった。

僕の目の前には5台のバスと少し離れた場所に1台のバスが置いてある。見上げれば黒い下着姿の美咲さんと白い下着姿の玲奈ちゃんが、向かい合って立っていて足元の僕を見下ろしていた。
『今のこの大きさ、よーく覚えといてね。』
そう言いながら玲奈ちゃんは、1台離れたバスの上に足をそっと乗せた。そっとと言っても力も重さも違いすぎる。このサイズのバスなら5台くらいまとめても余りある大きさの親指がバスに圧し掛かった瞬間、
メギッ!ビギッ!っと車体が悲鳴を上げて、天井部分はあっさりと押し潰されていた。
「なんで、バス5台もあるの?」
盛大なバスの断末魔の金属音とともに、足指の下に隠れてしまったバスの運命を想像しながら、何となく尋ねてみる。
『簡単に言うと、予備かな。』
美咲さんの説明だと、うっかり潰してもいちいち取りに戻らないようにということらしいが、うっかり潰した時点で中に乗せられているであろう僕はどうなっているかは想像に難くないんだけど、
と言いたかったが黙っていた。
玲奈ちゃんが足を退けて、親指の下に貼りついていたバスだった鉄板を摘まんで投げ捨て、部屋のドアを開ける。
『どうする?先に美咲さん、おっきくなる?』
『そうねぇ、玲奈ちゃんが先でいいわよ。大きくなってヒロ君をお腹の上に乗っけてあげたら?』
『え?お腹?でも、約束だからなぁ・・・わかった。』
僕はバスに乗せられ、いつの間にか生まれたままの姿になってしゃがんでいた美咲さんにバスごと摘ままれて、他の4台のバスと一緒に掌の上に並べられた。そして、目の前には同じく裸になった
玲奈ちゃんの巨大な乳首!
『別にもう何回も見られてるからいいけど。やっぱ、エロこびとにしか見えないよ。』
と言いながらドアを開けて広大な空間に入っていった。

部屋(とは思えないほどの広大な空間)に入って少し歩くと、廃墟のような場所が見えてきた。
『この辺もけっこう壊しちゃったね~。』
ズシンズシンと地響きを立て、残っているビルを簡単に粉砕させながら玲奈ちゃんが美咲さんに話しかける。
『そうね、もう片付けちゃう?』
『うん、わかった。じゃあ、そろそろおっきくなるね。』
玲奈ちゃんは、山を踏み崩しながら向こうの方へと歩き去っていった。
僕(を乗せたバス)を左手に乗せながら、美咲さんは街の中で転がっている車を摘まんで潰してみたり、半壊状態のビルに足を乗せてとどめを刺したりしながら散策していた。
『西の方はまだけっこう街が残ってるはずだけど、他の子のために半分くらいは残しとかなきゃかな。あ、来たみたいよ。』
振り返った美咲さんの正面には、標高500m以上はある山々の向こうに聳える恐ろしく巨大な足・・・見上げても膝のあたりから上は空気が霞んでよくわからないほどの巨大な脚が圧倒的な存在感を誇っていた。
『美咲さん、ちょっと街から離れて。エロちびじじぃは、あたしの力をちゃんと見ときなさいよね。』
天空から轟く轟音が、空気をビリビリと震わせる。美咲さんが言われたとおりに街の外に出て、ひと山超えた辺りで座ると、遥か彼方から恐ろしく巨大なものが近づいてきた。

ズッズゥゥゥンッ!!!
重厚という言葉以外が当てはまらないほどの凄まじい地響きが襲い掛かり、目の前には巨大な肌色の壁が視界いっぱいに広がっていた。玲奈ちゃんがたった一歩踏み出しただけなのに、
いたるところで土砂崩れが発生し、地面が大きくひび割れているところもある。これがフルサイズの破壊力なのか。玲奈ちゃんと美咲さんが普通に歩き回るだけで、人類はおろかこの星そのものさえ
瞬く間に滅亡してしまいそうだ。
『驚いた?よね。今の玲奈ちゃんの足のサイズが12kmくらいで、幅が5km無いくらいだと思うから、このくらいの街だったらひと踏みね。』
ゴゴゴッという轟音を伴って玲奈ちゃんが足を戻していく。変わって今度は上空がいきなり暗くなった。玲奈ちゃんがしゃがんだようだった。
『綺麗に潰れたかな?いちおうこびとがいるからあんまり力は入れなかったんだけど。』
玲奈ちゃんは、しゃがんで今踏み潰した街を見下ろしているようだった。美咲さんは僕を連れて、足跡の周りに一瞬で出来上がった山を越えて街、というより足跡の中に降りていく。
『きれいさっぱり何もないわよ。』
笑いながら美咲さんに降ろされた僕は、周りの景色を見て絶句してしまう。本当に何もないのだ。巨人が破壊した跡を何回も見ているが、あの絵里ちゃんが破壊しても何かが少しは残っているのだが、
1台の潰れた車も一片の瓦礫も見つからない。全くの平面、というより、玲奈ちゃんの足裏の形に合わせた曲面になっているのだ。
『凄いでしょ、全部ペッチャンコになっちゃうんだよね~』
しかも、地面はガチガチに硬いらしく、美咲さんが普通に歩いても全く凹まない。そのうち、僕はある模様を見つけて近づいて行った。
「えっ?げっ・・・」
それしか言えなかった。僕のいる場所から伸びる一本の模様と思ったものは、横転していた電車の側面だったのだ。それが、完全にペシャンコになって地面と同化している。もちろん線路もだ。
ただの二本の線が引いてあるようにしか見えない。
『もし、こびとがいたらどこかに貼りついてるかもね。』
その雷鳴のような一言が、生存確率0%の破壊力の凄まじさを物語っていた。

玲奈ちゃんはたったの3歩で遥か彼方まで歩き去ってしまい、その場所にしゃがむとゆっくりと寝そべろうとしていた。身長80kmなのだから、少し控えめに歩いたとしても歩幅は20km以上ある。
3歩で60kmも移動してしまうのだ。だが、それも玲奈ちゃんの身長に届かないほどの移動でしかないのだ。。。え?ちょっと待てよ。寝そべってるってことは・・・
美咲さんと僕のすぐ目の前には、恐ろしく巨大な足裏が何もかも抉り取って聳え立っていた。
「す・・・げ・・・もちろん美咲さんもこんな感じなんだよね。」
『そうね。たぶん、こびとが何をしても全然気づかないで潰す自信はあるわね。』
『美咲さん、はやくぅ。』向こうの方から轟く玲奈ちゃんの声に促されて、美咲さんはゆっくりと玲奈ちゃんの上半身に向かって歩き出した。

『この辺はちゃんと残ってるんだね。』
そう言いながら玲奈ちゃんは、人差し指を街の中に突き立てる。幅500m以上ある指先が駅とその周辺を一瞬で圧し潰して窪地に変えてしまう。以前街で暴れた時とは比べものにならないほどの破壊力だ。
『そうだ、ヒロさんに面白いもの見せてあげるよ。』
ん?初めて名前で呼ばれた気がする。などと感慨に耽る暇もなく、玲奈ちゃんは髪の毛を1本抜いたかと思うと、それを美咲さんの目の前に垂らして見せた。
髪の毛というより、直径5m近くありそうな頑丈そうなワイヤーにしか見えないそれを摘まんだまま、今度は手を海の方へと伸ばしていく。
そうなのだ。部屋の中に海があるのだ。というより、海まで分断してしまったという方が正しいだろう。しかも、玲奈ちゃんの長い手は10km以上離れた海まで余裕で届いてしまうのだ。
しかし、足のサイズが12kmなのだから当然と言えば当然だが、とにかくスケールが桁外れだ。
海に手を近づけて何やらやっていると、今度は髪の両端を摘まんで僕たちの目の前に持ってきた。
『うまくいったかなぁ。』
という声に釣られて玲奈ちゃんの視線の先を見ると、そこには髪の毛が巻き付いた一隻の船。しかも、漁船とかではなく、全長200m級の巨大タンカーが一本の髪の毛によって宙づりになっているのだ。
「な・・・なんだよ。これ。。。」
僕のうめき声に気が付いたのか、美咲さんが悪戯っぽい笑顔で僕を見下ろしていた。。
『あら、驚くのはこれからよ。』
ベギャッ!「・・・」
玲奈ちゃんがほんの少しだけ髪を引っ張ると、タンカーが真っ二つに切断され、それが街の中へ落下していくのを、僕は無言のまま見つめていた。
つまり、人間が作ったものなど、この超巨大な女の子の髪一本にも敵わないということをまざまざと見せつけられたのだ。

『今度はこれね。』
そう言いながら、玲奈ちゃんは髪をピンと張ったまま左胸の近くにある小さな山に近づけていく。小さいといってもそれは横に聳える巨大な胸と比べてのことで、実際は標高500m以上ある立派な山なのだ。
その麓付近に髪を張ったまま降ろすと・・・ズブッ!と山に食い込ませていった。
そのままズブズブと水平に玲奈ちゃんの髪が山の中に入り込み、そのまま山を髪で切断するまで、僕は声も上げられずにそれを見つめるしかなかった。
『上手くいったかなぁ。』
玲奈ちゃんが小指を髪が通った山の麓あたりに近づけて少し動かすと、まるで地面に置いた小さな蓋のように山が丸ごと持ち上がってしまったのだ。玲奈ちゃんは切断面から器用に小指で救い上げて僕の方へと
近づけてきた。
『どう?髪の毛で山も真っ二つに出来ちゃうって凄いでしょ?』
僕の目の前には、巨大な山がさらに大きな指に乗せられているという現実離れした風景がドアップで広がっていて、もう口を開けて「アウアウ・・・」と呻くしかなかった。

『玲奈ちゃん、今日はノリノリだよねぇ。』
いつの間にか美咲さんの隣に彩菜ちゃんが立っていた。
『そうね。好きな人の前でいいとこ見せたいって感じよね。』と、美咲さんが答える。
「好きな・・・人って?」
この場に男は自分しかいない。え?うそだろ?
『やっぱ、ヒロさんって鈍感ですねぇ。』
彩菜ちゃんが僕を乗せたバスと予備のバスを受け取って、目の前まで上げて笑っていた。
「で、でもさ。それって、美咲さんと・・・」
『そうですねぇ。あの大きさで美咲さんと玲奈ちゃんが喧嘩したら世界が滅んじゃいますよね。でも大丈夫ですよ。』
「な・・・なんで?」
『秘密です。言ったらあたしが潰されちゃうんで~。じゃあ、美咲さん、お風呂の近くでしばらく見たら、ヒロさんは部屋に戻しときますね。』
『うん、お願いね。ほんとはヒロ君といたいけど、あっという間にヒロ君の痕跡が残らなくなっちゃうからね。向こうで彩菜ちゃんたちと一緒に見てて。』

彩菜ちゃんが離れたのを見て、美咲さんも巨大化したらしい。空気が大きく震え、一度振り返った彩菜ちゃんの眼前にはその辺の山など簡単に潰してしまえるほどの巨大な肌色の壁、
玲奈ちゃんはさらに向こうで寝そべっているので、これは間違いなくもうひとりの超大巨人である美咲さんのものだとわかった。
グォォォッ!とさらに空気を大きく切り裂き、足裏から夥しい量の土砂を振りまきながらその踵がはるか上空へ持ち去られると、次の瞬間にははるか向こうに着地するのが見えた。
やや遅れて彩菜ちゃんまでよろけてしまいそうなほどの超特大級の地震に襲われる。
「やっぱ凄いや。あのふたりが本気で暴れたら、こびとなんかあっという間に全滅しちゃうよね。」
ちょっと引きつった笑顔でそういうと、彩菜ちゃんはもう少し安全な所へと歩き出した。

これだけ離れていると二人のことがよく見える。お互い全裸の美咲さんと玲奈ちゃんが向かい合って寝そべって、指先で何やら突いたり薙ぎ払ったりしていた。
確か、あのあたりがかなり大きな街だったよな。そう思いながらもそれだけの街を瞬く間に壊滅させてしまうふたりの姿に改めて驚愕する。
不意に玲奈ちゃんが両手を突いて起き上がった。土砂が軽く数千mは跳ね上がった。確かにあんな場所にいたらたったあれだけの動作で瞬殺決定ものだ。
そのまま玲奈ちゃんは四つん這いのまま美咲さんの向こうに回って隣に寝そべったようだ。美咲さんの声が聞こえる。
『今日は本当にずいぶんご機嫌ね。この街を潰すとこまでヒロ君にいてもらってもよかったのよ。』
『でもさ、いろいろ見せたらなんかお腹いっぱいって感じなのかな?って思って。』
『そうね。でも、同じ人を好きになっちゃうなんて。親子よねぇ・・・』
『ま、ママッ!』
『あっ・・・なしっ!今のナシッ!!!』
はっとして口に手を当てる美咲さん。でも、もう遅い。遥か向こうで美咲さんが上半身を起こして慌てた表情で両手を振っているが、僕の背後では彩菜ちゃんが呆れた顔で見下ろしている。
『なんで自分でばらっしゃうかなぁ。でも、美咲さんってそういうとこがあるんだよね。』
僕はというと、実は今日最大の衝撃ではないかというほどのショックで、しばらくの間口をあんぐり開けて慌てふためく美咲さんの姿を見つめていた。

翌朝、ふたりは揃って戻って来て、僕の家を乗せてあるテーブルの前で正座していた。といっても、僕の目の前には標準換算でIカップ以上の美咲さんとFカップはありそうな玲奈ちゃんの
巨大なおっぱい山がフルフルとしている高さだ。
『ごめんねぇ、騙すつもりは無かったんだけど、つい、言いそびれたっていうか。。。』
玲奈ちゃんは隣で黙ったままだ。でも、31歳の美咲さんと14歳の玲奈ちゃんなのだから親子といっても誰も疑わないだろう。それに、親子ならふたりだけがあんなにとんでもないサイズなのだ
ということも納得できる。美咲さんが黙っていた理由を教えてくれた。
『政府の連中にはばれたくないなぁって思ってさ。』
つまり、途方もない超巨人は遺伝によるもので、突然そうなるわけではないことがばれて欲しくなかったのだ。玲奈ちゃんに子が出来なければ少なくとも超巨人の出現は今後無くなるのだから、
真実を知れば子作りを阻止することは間違いないだろう。僕もそんな理由を聞いて納得すると同時に、もし、ここを出ても決して誰にも言わないことを自分から誓約した。

『どうだった?あたしのちから。』
「もう、何をどうしても敵わないってことを思い知らされた気がするよ。」
『ふっふ~ん、そうだよねぇ。今の大きさだって、エロちびじじぃにはどうにもなんないもんね。』
玲奈ちゃんは笑いながら、鎖骨の上に乗せた僕に人差し指を近づける。僕は、なぜか玲奈ちゃんにお持ち帰りされてしまい、床に横たわった玲奈ちゃんの身体の上に乗せられているのだ。
しかも、相変わらずの全裸である。目のやり場に困ることこの上ない。
僕の目の前に現れた人差し指は途方もなく太かった。直径5mはありそうなそれは、僕に限らず普通の人間が抱えるなど不可能だ。
『やっぱちっちゃいよねぇ。こびと10人くらいはまとめて潰せそうだもん。』
身長800mの玲奈ちゃんから見れば、人間はせいぜい4mmといったところなのだから、その台詞は意外に正しかったりする。このまま鎖骨に軽く押し付けられただけで、僕はミンチ決定なのだ。
『気楽に摘まむのはもう無理かなぁ。小指の爪、少し伸ばしとかなきゃ。』
一度伸ばしかけた親指を引っ込め、代わりに小指が伸びてきて僕の目の前に置かれる。これでさえ幅3mは軽く超えるのだ。僕は玲奈ちゃんに促されて巨大な小指から少し伸びた爪に飛び乗った。

腹の上に降ろされると、玲奈ちゃんがゴソゴソやっている。
『いろいろ持ってきちゃった。』
と、言いながら巨大な胸の谷間に置いたのは、20階建てほどのビルだ。高さ80m近い双子山の谷間にすっぽり挟まった格好で乗せられていた。
『ヒロさんの会社もこのくらいだったよね。あの時こんくらい大きかったら、こういう脅し方でも面白かったかなぁ。』
玲奈ちゃんが胸を少し寄せただけで、メリッ!ボコッ!と壁面にひびが入り、崩れ落ちる壁が続出する。僕は踏み潰されそうになった記憶が蘇り、青ざめてしまった。
「そう言えば、まだ大きくなり続けてるの?」
何の気なしに聞いてみた。
『うん、どのくらい大きくなっちゃうんだろうね。』
「あんまり大きくなりすぎると、僕の声聞こえなくなっちゃうね。」
ベギッ!グッシャァッ!!!ちょっと怒った顔になり、つい力が入ってしまったため一気におっぱいの圧力が増した瞬間、ビルはあっさりと敗北して瓦礫の山になり果てていた。
『だ、大丈夫だよっ!これでも耳はいいんだから!』
「耳がいいのと、そのおっぱいの凶悪さは美咲さん譲りなのかな?」
『フンッ!でも、ヒロさん、今美咲さんのおっぱい想像して、あたしの胸ちっちゃいなぁとか思ってなかった?』
ビルを払い落として次の獲物を谷間に置く。今度は電車や車などを文字通り山ほど乗せていた。これがちっちゃかったら世の中のすべての女性のおっぱいはどうなんだろう?などと
思ってしまったが、別の言葉が口を突いた。
「まだ、『美咲さん』って呼ぶの?」
『うん、だって普段からそう呼んでないと、とっさの時にまずいじゃん。』
玲奈ちゃんは今度は指先で電車を摘み上げていた。その下に3両ほどがぶら下がっている。それを器用に5本の指でひとまとめにしてクシャクシャに潰し、丸めてひとつの塊にしてしまう。
『そう言えば、ヒロさんはあたしと美咲さん、どっちと一緒にいる方がいいの?』
「そんなの比べられないよ。」
『そう言うと思った。じゃあさ、またこうやって拉致っていい?美咲さんも、好きな時に使っていいって言ってくれてるからさ。』
あはは、僕は物ですか。というか、物以下かも知れないなぁ。でも、この巨大な親子にならずっと自分の身を預けてもいいかもしれないとも思っていた。
そう遠くないうちに、僕の別宅がここにもできるかもしれない。玲奈ちゃんの指先で簡単に弾かれたダンプカーが描く放物線を見ながら、そんなことを考えていた。