美咲さんといっしょ (4)夏の一日

『暑いよねぇ。。。ヒロ君、その辺汗でベタベタしてない?』
片手をうちわ代わりにしてパタパタと顔を仰いでいる美咲さんのちょうど胸の谷間付近に僕は座っていた。
連日の熱帯夜に加えて、身体が大きくなったために広くした部屋全体をカバーしきれるほどの空調が整っていないのが原因だ。
空調と言ってもエアコンを一台二台追加すればいいというものではない。尋常ではない広さのこの部屋を涼しくさせるには大きなビル用の空調設備が恐らくは数百台は必要だろう。
いくら脅されてもそんなものがすぐに用意できるはずもなく、美咲さんをはじめとする超巨大サイズの女性たちは皆寝苦しさと戦っていたのだ。
「ちょっとべた付いてるけど、大丈夫だよ。」
確かに肌を触るとそのまま手が貼りつきそうな感覚だ。でも、まだとりもちには至っていない。
「そう言えば、みんなやっと成長が止まったみたいだよね。」
あれから3ヶ月、季節は夏真っ盛りだ。美咲さんの身長は1800mにも達し、僕の両側に聳えるおっぱい山は標高200m以上の偉容を誇っている。
さらに、彩菜ちゃんは身長1700m、玲奈ちゃんに至っては3800mという、出会った時の20倍近くというとんでもない巨体に成長してしまっていた。
『でもね、ちょっとしたことで大惨事になっちゃうのよね。』
美咲さんが摘まんでいたのは、大型のダンプカーだ。それがまるで豆粒のように小さい。それを乳首の横に置くと指と乳首の間に挟んでクシャリと潰してしまった。
次に摘まんだのはミニバンで、これはもっと小さく、米粒より小さく見える。同じように乳首の横に置いて潰そうとしたようだが、
『あ・・・』
谷間を真っ逆さまに転がり落ちてくる黒いミニバン。僕の方に落ちてくるようだ。ま、マジかよ。慌ててお腹の方に走り出そうとした時だった。
中腹付近で絶壁状態の乳肉の斜面にぶつかった時に、予想外のバウンドで反対側の胸に向かって飛んでいくと・・・
『くっついちゃった。』
見上げると、おっぱい山の中腹に黒い粒が貼りついている。つまり人間の乗るものなど、汗でべた付いた肌に簡単に貼りついてしまうほど軽いということだ。

よほど面白かったのか、美咲さんは僕を高さ10m以上ある巨大な乳首の横に移動させて、いろいろなものをおっぱい山に貼りつけて遊んでいた。
さすがにこれは無理だろうと思った5階建てのオフィスビルまでペタッとくっついてしまったのには恐れ入ったが、それ以上大きなビルは張力よりも
ビルの重さの方が勝ったらしく、落下して粉々になってしまった。
『玲奈ちゃんだったら、くっついちゃうかもね。』
美咲さんはそう言いながら、谷間に散らばった残骸を指先で払い落とした。

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なんかジメジメして、眠れないよなぁ。。。
そんな感覚で目が覚めた。僕は全裸でどこかの柔らかな床に突っ伏した状態で寝ていたようだ。美咲さんと住むようになってからはほぼ全裸で過ごしている。
ただ、小中高生が部屋に来ている時は最低限下着だけは付けてはいるのだが、玲奈ちゃんなどから、
『ただでさえちっちゃいこびとのそんなちっちゃいものなんか視界に入らないよ。』と言って笑い飛ばされるのだが、年頃の女の子の前で全裸って言うのもってのもある。

いや、今はそんなことを思い出してるんじゃなかった。だいたいここがどこなのかも理解していないのだ。たしか、寝る前まで美咲さんの身体の上で・・・
あれから、美咲さんと少し話をしているうちに、美咲さんは寝てしまったんだ。そして、僕は仕方なくおっぱい山から鎖骨に向かって下山しようとして、思い出した!
足を取られて転がって、そのままうつ伏せの状態で他の車や建物と同様、斜面に貼りついてしまったんだった。
「み、美咲さ~んっ!」
顔は横を向いていたので何とか息が出来るが、あらん限りの声で叫んでも遠くの方から美咲さんの寝息と思える風切り音が時折聞こえてくるだけだ。
この状態で下手に美咲さんに寝返りなどうたれたら、いっかんの終わりかも知れない。そう思うと物凄い恐怖だ。
そして、恐ろしくて眠れないまま周りが明るくなりはじめ、僕はようやく自分が置かれている状況を何とか把握することが出来るようになった。

ドゴンッ!ドゴンッ!
部屋のドアがノックされる音。次いで、誰かが部屋に入ってきたようだ。玲奈ちゃんか彩菜ちゃんか絵里ちゃんか、誰だかわからないが地響きを立てながら近づいてくる。
『ん、う~ん・・・』「のうわっ!」
美咲さんが寝返りを打ち、僕は爆乳山に貼りついたままグイッと移動させられる。運が良かったのは僕がいた側がやや上側だったということか。
落下する危険は多少だが減ったようだ。
『あっついよね~。みんなで海行くんだけどさ、美咲さんも一緒に行く?』
玲奈ちゃんの声だ。美咲さんはまだ寝ぼけてるのか、『いかな~い。』とだけ答えてそのまま動かなくなる。
『じゃあ、ヒロさん連れてくね。』
視界の隅に移動した、普段僕が寝ている家が恐ろしく巨大な指に軽く突かれていた。
しばらくして、『ねえ、美咲さん。』また玲奈ちゃんの声。
『な~に?』
『ヒロさん、いないみたいだけど・・・』
『えっ?そんなわけ・・・あっ!』
僕が貼りついている床面が大きく揺れた。美咲さんが起き上がったようだった。
『ちょ・・・ちょっと待って。ゆうべヒロ君と遊んでて、ビルとか車とか肌にくっつくのが面白くって・・・』
数秒間の沈黙の後・・・『そのまま寝ちゃったんだっ!』
慌てて跳ね起きようとする美咲さんを玲奈ちゃんが制止する。下手に動いて気付かずに僕を潰してしまうと思ったらしい。
『たぶん胸の辺りなんだけど・・・』
美咲さんがそのままの姿勢で顔だけを動かしているようだが、あいにく僕の姿は視界に入っていないらしい。
『ちょ、美咲さん、動かないでっ!あたしが見るから。』
背後に何か大きなものが近づいてきた。振り返れないがたぶん玲奈ちゃんの顔だろう。じぃっと見つめられているようで少し恥ずかしいが、今は見つけてもらえることを
祈るしかなさそうだ。
『ほんとに車とかくっついてるし・・・ん?このちっちゃい粒、こびと?ヒロさん?』
何か大きなものが近づいてきて、ミシッ、メキメキッ!という音が近くから聞こえた。
『だめだぁ、車を爪でそぎ取ろうとしたらドア剥がれちゃった。ヒロさんやったら、バラバラになっちゃうかも。。。』
そんな物騒なこと・・・勘弁して欲しいなぁ。。。

玲奈ちゃんは『ちょっと動かないでね。』と言うと、何やらゴソゴソと始めたようだ。
そして、僕の近くにまた何かが近づいてくる。と、その時だった。
バシャッ!!!
僕は突然降ってきた水流に押し流され、数百m下に落下・・・しなかった。すぐ下の何かに受け止められたのだ。
『上手くいった!』
その声と同時に、僕を受け止めた何かがグォォッ!と動き、目の前に現れたのは玲奈ちゃんの目だ。なんだか心配そうな眼差しだ。
『骨とか折れてない?』
「たぶん、大丈夫。」
僕が動いたのを見て安心したのか、心配そうな眼差しが蔑むような視線に一変する。
『おっぱいに貼りつくとか、ほんとこびとって情けない生き物よね。』
背後から聞こえる美咲さんの
『ヒロ君、ごめんね~。怖かったでしょ。』
という声とは対照的だなと、無事生還したためか、意外に冷静に分析している僕がいた。

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遥か下界からズシィンッ!ズシィンッ!という重厚な地響きが規則的に鳴り響いてくる。僕は結局海に同行させられ、玲奈ちゃんの掌に乗せたバスの中にいた。
玲奈ちゃんの歩行速度はジェット旅客機並みだ。生身で掌の上にいたら、普通に歩くだけで塵のように吹っ飛ばされてしまう。
バスでも風圧で転がったりするのだが、玲奈ちゃんが小さなくぼみを作ってくれているので、バスはちょうどそこにはまった状態になっていた。
背後では黒ビキニに包まれた巨大な山がユッサユッサと揺れ、なぜか谷間の斜面には10両編成の電車が、まるで短い糸のように貼りついていた。
『まさか本当に汗で電車が貼りつくとは思わなかったよ。』
上空から屈託のない笑い声が聞こえる。
「しかしでっかい山だなぁ、電車が糸にしか見えないぞ。」
バスのスピーカーを通して、僕の声は玲奈ちゃんの耳にもしっかり届いているはずだ。
『こっちもでっかくなっちゃったからね~。ジャンボジェットも高層ビルも余裕で挟まっちゃうんだよね。』
玲奈ちゃんが空いている手で電車が貼りついている方の胸を少し持ち上げて離すと、ユッサァと揺れた胸の動きに翻弄されて電車が斜面から引き剥がされ、
さらに谷間の奥深くに落下していった。
『なんにもしなくても潰れちゃうって、凶器だよねぇ。』
恐らく谷間でグシャグシャに潰されているであろう電車はそのままにして、玲奈ちゃんは再び海に向かって歩き出した。

海岸ではすでに沢山の巨人の女の子が思い思いに遊んでいる。ほとんどが20歳以下の少女たちで、もちろん、彩菜ちゃんと絵里ちゃんもいて、ふたりは千倍クラスの巨体を並べて
寝そべっていた。普通の人間から見たらまるで山なんだろうなと思ってしまう。
そこに、ふたりのさらに2倍以上巨大な玲奈ちゃんが座ると、寝そべってる彩菜ちゃんの横に伸ばした脚の長さはふたりの身長を軽く超えてしまうのだ。
『さすがに私たちはバレーボールは出来ないよねぇ。』
寝そべっている二人の前には、二人の中指の長さよりは少し高い程度の女の子たちがビーチボールで遊んでいた。
こうやって見ると小さくて可愛らしい女の子たちなのだが、実際に僕があの輪の中に入ったら1分も経たないうちに確実に踏み潰されるだろう。
何しろ全員が身長50mを超える巨人なのだ。遊んでいるビーチボールだって軽く10mは超えている直径のはずだ。
ビーチボールがコロコロと転がり、海岸の外に出て道路を横断して住宅街の中に入っていくのを、ひとりの女の子が追いかけていく。
グシャッ!海岸沿いの駐車場に止まっていた車を2台まとめて踏み潰し、道路のアスファルトを踏み砕いて街の中に入り込む少女は、特に気にも留めずに木造2階建ての住宅に
足をかけ、ベギャッ!という破壊音を伴って、グシャグシャの廃材に変えてしまう。
ビーチボールを拾うまでに3軒、戻るときに2軒同じように踏み潰して、またバレーボールを始めた。
つまり、彼女たちにとってこびとの街なんて所詮その程度のものなのだ。

『少し泳ぐ?船もいないでしょ?』
『もうちょっとこうしていたいなぁ。』
彩菜ちゃんに振られた玲奈ちゃんは、不意に彩菜ちゃんに僕を乗せたバスを手渡した。
『じゃあ、ちょっと預かってて。』
そう言うと玲奈ちゃんは立ち上がり・・・足の迫力が物凄かった。親指の高さが、バレーボールに興じている少女たちの身長と変わらないのだ。かなり大きなオフィスビルも足指の間に
簡単に挟まってしまうだろう。
見上げればどこまで伸びているかわからないほど長い脚が聳え、その上に黒のビキニに包まれた玲奈ちゃんの腰回りが浮かんでいる。さらに上空には巨大な黒い砲弾が突き出していた。
巨足がグイッと持ち上がると、かなり遠くの海面に降ろされる。バッシャーンッ!と大津波級の水しぶきを上げながら、玲奈ちゃんは海へと入っていった。
「玲奈ちゃんが泳ぐのって凄く沖に行かなきゃダメだよね。」
『あたしたちだってそうだよ。そんなとこにヒロさんを連れてって見失ったら確実に死んじゃうもんね。』
僕は苦笑いを浮かべながらニコニコと見下ろしている彩菜ちゃんの顔を見上げていた。

10分ほどたっただろうか。遥か海上から黒ビキニの女の子が戻ってくる姿が見えた。こうやって遠めに見るとスタイル抜群の美少女だよなぁ。と思ってしまう。
『玲奈ちゃんってさ、胸もおっきくなったよね。美咲さんくらいありそう。』
そうなのだ。巨大な黒ビキニをユッサユッサ揺らしている山脈は、相対的にはHカップかIカップはありそうな爆乳に育っていた。単純に美咲さんの2倍ちょっとの身長なので、
おっぱい山の標高は500m以上あるかもしれない。その玲奈ちゃんが、片手に何かを乗せて戻ってきた。
『泳いでたら手に当たっちゃってさ。』
そう言いながら降ろした手の上には全長200m級の大型客船がちんまりと乗っていた。
『よく沈まなかったね。』
『うん、平泳ぎだったから。クロールだったら、沈めちゃってたね。でもさぁ、なんか動けなくなっちゃったみたいだから送ってくるね。』
立ち上がろうとした玲奈ちゃんの手の上、大型客船の近くに僕を乗せたバスが移動させられる。
『じゃあ、あたしたちは泳いでくるかな。』
彩菜ちゃんと絵里ちゃんはそのまま海へとザブザブと入っていった。
『あの子、彩菜ちゃんにはなついてるみたい。ちょっとこの前脅しすぎたから、あたしにはビビってるんだよね。』
そう言う玲奈ちゃんの顔は少し寂しそうだった。

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巨人の女の子たちが遊んでいる海岸から50kmほど離れた港湾地区。玲奈ちゃんがゆっくり歩いても1分もかからない。
『この辺でいっか。』
玲奈ちゃんは足首くらいまでしか浸からない水深の海上に漂っている大小さまざまな船を見下ろしていた。
ゆっくりとしゃがんで、大型客船を軽々と指先で摘まむと、少し広そうな空き地にそっと降ろす。船なんだから海上に降ろせばいいのにとも思うが、玲奈ちゃんは少し悪戯っ子ぽい顔で、
『送ってあげるとは言ったけど、どこに置くかまでは言ってないよね。動かすときは自力で頑張ってね。』
と言い放った。いや、そんなこと不可能だろう。完全に確信犯である。
『こびとがいる街って久しぶりだなぁ。ちょっと遊んじゃおっかな。』
バスが乗っている掌を目の前まで上げて、にっこりとほほ笑む。巨体がググッと動いて、反対側を向いたらしい。するととんでもない宣言を始めた。
『一分したらここに座るから、今のうちに逃げてね。』
玲奈ちゃんは港の倉庫街の上にしゃがんでいる状態でそう言い放ったのだ。人々の頭上には、途方もないサイズのヒップが100m以上上空に浮かんでいる。
幅だけで1km近くはありそうな超巨尻が落下して来たら。。。真下にいた人々は完全にパニック状態になり逃げ始めたが、玲奈ちゃんは涼しい顔で視界の隅で繰り広げられる逃走劇を
見て楽しんでいるようだ。

実際に巨尻が倉庫街を粉砕したのは、宣言をしてから10分ほどたった後だった。恐ろしいことを平然と言ってのけるが、実は逃げるのに充分な時間は与えているのだ。
下界から、バキバキッ!ベキベキッ!という破壊音が聞こえた直後に、ズッズゥゥンッ!という特大の地響きが聞こえた。上空では一息ついたのか、『ふぅっ』というため息のようなものが聞こえてきた。
『こうやって見るとさ、ほんとデカくなったんだなって思うよね。』
玲奈ちゃんは、座った衝撃で傾いた10階建てのビルを摘まんで簡単に地面から引き剥がすと、僕の乗っているバスの横に乗せた。
『こんなにちっちゃいんじゃ、玩具にもなんない。』
そう言って豆粒大のビルをもう一度摘まんで目の前まで上げると、ボゴォッ!一瞬で捻り潰してしまう。指を擦り合わせてさらに細かく砕かれたコンクリート片がバラバラと海に落ちていく。
こんな桁外れのパワーに対抗するなどそれこそ自殺行為だろう。遠くに見える警官隊も何も出来ずに遠巻きに見守っているしかないようだった。
不意に、玲奈ちゃんが片足を上げて警官隊の方へと向けていった。足から滴り落ちる海水の滴は、それだけで洪水を起こしてしまいそうなほどの水量を誇る。それを警官隊の近くに
まき散らせながら、彼らの目の前の道路を軽く踏みつけた。
驚く警官たちをしり目に、玲奈ちゃんは足指(と言っても親指だけで15階建てのビルを凌駕するほど巨大なのだが)をくねらせてバリケードや乗り捨てられた車両をクシャクシャと潰している。
『ねえ、撃ってもいいよ。怒らないからさ。』
警官たちが動揺しているのが、1km以上離れた場所にいる僕にもわかった。あんな圧倒的な力の差を見せつけておいてそんなことを言われても・・・そんな感じだ。
それに軍の戦車の砲撃でさえ平然と受けてしまえる強靭な肉体であることも知られているのだ。たかが拳銃など何の役にも立つはずがない。
だが、元々気が短い玲奈ちゃんは、1分も経たないうちに足を上げ始めた。
『撃たないんだったら、、まだこびとが残ってる場所、踏み潰しちゃおっかなぁ。』
警官隊の頭上を全長600m近くある巨足が移動していく様は圧倒的だ。その凶悪な足先が向かう先にはまだ避難が終わっていない。というか野次馬たちが集まっていて、
その頭上が急に真っ暗になり、コンクリート片がパラパラとと降り注いでいる。
「止めてくれ~っ!」
警官隊の中からそんな声が上がり、乾いた発砲音が聞こえてきた。彼らも必死なのだろう。あの巨大な足が踏み下ろされれば数百人が一瞬でミンチになってしまうのは間違いない。
上空に静止した足裏に向けた銃声はしばらくの間続いていた。
『ちょっとくすぐったいくらいかぁ。』
大虐殺をしようとした本人は至って涼しい顔だ。本気で野次馬達を踏み潰そうとしたわけでは無いのはわかっていたので、実は僕もそんなに慌てていなかった。

いつの間にか巨足は戻され、警官たちはホッと一息ついた格好になった。だが、恐怖はそれでは終わらなかった。
『最初から言うこと聞かないからこうなるのよ。今度言うこと聞かなかったら何も言わずに踏み潰すから。』
少しだけ足をずらしたのか、いくつかのビルが踏み潰されたようだ。『わかった?わかったら返事っ!』
玲奈ちゃんは止めを刺すようにそのままゆっくりと立ち上がる。と、当然数億tの体重が一気に足にかかり、アスファルトがボコボコと砕けながら押し固められていく。
震える声でバラバラに聞こえてきた「はい。」という返事が少し不満だったのか、玲奈ちゃんはプイッと前を向いて海の中を歩き始めた。
山よりも巨大な女の子の後ろ姿を見送って、今度こそ本当にほっとしたと思ったら、今まで超巨人の女の子が座っていた場所を見て、止めとばかりに背中が凍り付いてしまう。
「これが・・・ただ座っただけなのかよ・・・」
彼らの眼前、元々倉庫やビルが立ち並んでいた場所は、そこにあった全てのものが押し潰されて貼りついた状態の広大な空き地に変貌していた。

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『ちょっと焼きすぎちゃったかなぁ。』
左側にいる彩菜ちゃんが左腕をさすっている。
『あたしなんか真っ赤っか・・・』
右側で胡坐をかいている絵里ちゃんはふくらはぎの辺りをボリボリと掻いている。
『あたしも背中がちょっと痛いんだよねぇ。』
正面では玲奈ちゃんが、ムズムズするのか身体をしきりに動かしていた。
『でも楽しかったみたいね。特に玲奈ちゃんは。』
背後から聞こえる美咲さんの声。僕は今、美咲さんの部屋の中に集まって車座で座っている超巨大女たちのど真ん中に置かれているのだ。
つまりその辺の山など吹っ飛んでしまうほどの巨体に取り囲まれているわけで、彼女たちの誰かが不意に僕の方に動いてきたら瞬く間に染みになってしまう場所だ。
だが、見方を変えれば抜群のスタイルの女の子たちの中で、その巨体を見上げて喜んでいるようにも見えなくはないだろう。
『最近一匹しかこびといじめてないからさ。ちょっと違うこびとで遊びたくなったの。』
『そういうことは私たちも誘ってよね~。』
彩菜ちゃんがそう言うと、玲奈ちゃんが何か思い出したようだ。
『じゃあさ、あの船どうせこびとじゃ動かせないからもらいに行こうか。』
『いいねぇ、そうしよう。ついでに、こびとにあたしたちの水着姿を見せつけちゃおっか。』
早速、明日船を取りに行こうということになって、3人はそれぞれの部屋に戻っていった。

『また、貼りつけちゃったまま寝たらまずいもんね。』
僕は、テーブルの上に乗せられ、美咲さんはその前に横になった。
「具合でも悪かったの?」
『ちがうわ。ただの寝不足ね。それに、日焼けはお肌の大敵よ。あの子たちみたいに若くないし。』
「そんなことないよ。美咲さんは充分魅力的だよ。」
『フフッ、ありがと。でもねぇ、最近暑いからちょっとばて気味なのかもね。』
そう言って仰向けになる美咲さんの身体はやはり綺麗だ。薄っすらとかいている汗もなんだかすごく色っぽく感じる。
そして、ドンッ!と上を向いた大きな山が僕の眼前に聳えている。そんな姿に見とれていると、突然美咲さんが顔を横に向けてきた。
『昨日はごめんね。怖かったでしょ。』
「まあ、正直言えばね。でも、美咲さんの胸ってやっぱ弾力あるよね。」
『ま、エッチね。でも今度はほんとに気をつけなきゃね。。。眠くなってきちゃった。。。』
そう言うと、また顔を上に向けてあっという間に竜巻のような寝息が聞こえてきた。今夜は騒音との闘いかな。と思いながら僕も寝床へと向かっていった。