魔女と女神 主従

ミカは少し退屈だった。今は海沿いの街の近くで横を向いて寝そべっている。しかも、なぜか全裸だ。地面に押し付けられて少し変形している大き目な左胸では、地上部隊の攻撃を
まともに受けていた。だが、少しくすぐったいだけで刺激が足りないのだ。
「ねえ、まじめに攻撃しないと、この街全滅しちゃうよ。」
そう言いたくなるのも無理はない。何しろ今のミカはこの星の人間の約10000倍のサイズの超巨人なのだ。少し硬くなってきた乳首でさえほとんどの建物より巨大で、胸をほんの少し
動かしただけで、数十にもなる建物を簡単に磨り潰してしまえるのだから。
絵里奈が女神界に戻ってから、最初にミカは自分の国の本国を女神様に従わせようとした。だが、そんなに物わかりのいい人間が戦争などを起こすはずもなく、ミカの提案は即座に
却下される。それどころか、女神の弟子に向かって一斉攻撃してきたのだ。元々国というものへの帰属意識などほとんどなかったミカは、瞬く間に首都を完全に破壊しつくした。
そんなことは簡単なことだ。単に首都の中を縦横無尽に歩き回ればそれでいいのだから。

その後、ミカはもうひとつの超大国の首都にも同じように全滅させた。だが、その時は試しにと思って裸足で歩き回ってみた。建物や車両が足裏の下で潰れる感触が心地よかった。
そして、いくつかの大きな街を見つけては素肌越しに蹂躙し、ついには裸になってしまったというわけだ。
「エリナ様・・・つまんないよぉ・・・」
海に手を伸ばして一番大きな戦艦を摘み上げる。主砲をぶっ放しているが、そんなものは痛くも痒くもない。戦艦をそのまま股間まで持っていき、一番敏感な部分に軽く押し当てると、
クシャッ・・・と一瞬で磨り潰してしまった。その時だった。
「あら、ずいぶん退屈そうね。」
ミカにもはっきり聞こえる、しかも聞き覚えのある声が背後から聞こえてきた。エッ?と思って寝そべったまま振り返ったミカの目の前には、今一番会いたい人が、自分とほぼ同じサイズで
山々を踏み潰して立っていた。

「エリナさまっ!」
途方もない巨体が、まるで猫が驚いたように勢いよく跳ね上がり、今まで必死に攻撃していた小さな軍隊を、あっさりと踏み潰して全滅させる。そのまま、地面を豪快に抉って
街の半分近くを一瞬で壊滅させ、ミカは絵里奈に駆け寄って勢いよく抱きついた。
ミカより二回りほど大きいとはいえ、さすがに絵里奈も一歩後ずさって、山麓の街を踏み潰してしまう。突然現れた恐ろしく巨大な足を目の当たりにして逃げ出そうとしていた人間たちの
頭上は、一気に暗闇になり、次の瞬間には踏み下ろされた足によって、跡形もなく踏み潰されてしまった。
「待たせちゃったわね。でも、なんで裸なの?」
わかってはいたが、あえて聞いてみる。
「だ・・・だって、みんな言うこと聞かないから・・・遊んじゃおう、と・・・」
「そうなんだ。じゃあ、あたしも脱いじゃおっかな。」
そう言うと、絵里奈は純白のローブを脱ぎ捨て、全裸になる。
「エ・・・エリナ様?すごい・・・きれい・・・」
どちらかというとアスリート体型の絵里奈だが出るところはしっかりと出ているのだ。肩ほどの身長のミカがその巨体を見上げてうっとりしていた。

ふたりは、少し歩いてまだあまり破壊されていない街を見つけた。少し小さいが軍の基地もあるようだ。すでに中央政府は消滅しているのだが、地域住民を守るのが責務と
言い聞かせているのか、全裸の超巨人女がだんだんと近づいてくるのを見ながら、なんとか整然と守備陣を整えつつあった。
「うふふっ、この街もぐちゃぐちゃにしちゃいましょうか。」
ミカはなんだか楽しそうだ。しかし、絵里奈は違うことを考えていた。
「そうね。それもいいけど、ミカ、女神の本当の力、見てみない?」
「本当の、ちからですか?」
「あなたを大きくしたりするのもそうだけどね。それだけじゃないのよ。例えば、手を触れないでこの街を全滅させちゃうっていうのはどう?」
「そんなこと、出来るんですか?」
ミカは興味津々という顔で絵里奈を見上げていた。

街の人たちや軍人たちは超巨大女の物騒な会話を聞いて震え上がっていた。だが、手を触れないでなんて出来るわけないだろうとも思っていた。
「どうせあいつら、この街を踏みにじるんだ。手を触れないで本当に出来るんだったら女神だって信じてやらぁ!」
などと嘯く人間もちらほらいた。
次の瞬間、何が起きたかを正確に理解したのはこの街の数十万人のうち何人いただろう。
突然街全体が紅蓮の炎に包まれたのだ。一瞬で焼き尽くされる人間たちの耳に、あの巨大女の笑い声が聞こえる。
「こんな感じで、焼き殺すとかも簡単なのよ。これで、女神って信じてくれるのかなぁ?でも、その前に死んじゃうか。」
絵里奈がミカに笑いかけると、ミカも驚いた顔をしていた。
「すっ、凄いですっ!あっという間に街が炎に・・・」
「でも、火事はちゃんと消さなきゃね。」
絵里奈がそう言うと、街の上空に巨大な水球が現れた。それは、今の二人でも抱えきれないほど巨大で、街全体よりも巨大な直径を誇っている。
それが、一気に落下したのだ。
巨大な水球は焼け焦げた街をその水圧で一気に押し潰し、粉々に粉砕してしまう。そして突然の大洪水に全体が完全に水没していた。
地下にいて運よく生き延びた人間もこれではひとたまりもなかった。生き残りもすべて水圧で圧し潰されるか溺れるかの運命を辿っていた。
「あとはちゃんときれいにしなきゃね。」
わざとらしく右手を口にあて、街に向かって吐息を吐くと、グシャグシャに破壊された街のすべて、焼け落ちて水に潰された建物も車両も何とか形が残っていた死体も
全てのものが塵に変えられ、吹き飛ばされる。絵里奈は1分もかけずに街を廃墟どころか、完全に何もない状態にしてしまったのだ。全く指を触れずに。
「凄いですっ!女神様の力って、こんなに凄いんですか?」
「あら、これでおしまいじゃないわよ。見ててね。」
ミカが振り返ると、思わず手を口に当てて絶句してしまった。確かに消滅したはずの街が、まるで何事もなかったかのようにそこに再生していたのだから。

「すご~い!全部元通りなんですね。」
少し小さく、といっても、人間の千倍ほどの身長になって街の中にふたりは足を踏み入れていた。追い立てられるように逃げ回る人間の姿もさっきよりはよく見える。
街の入り口の軍隊は、わざと無視して軽く跨ぎ越してやったので、軍隊が背後から必死に追いすがっているが、ふたりはそんなことは完全に無視してビルや車、人間などを
無造作に踏み潰しながら歩いていた。
「ねえ、ミカ。あなたもこんな力、持ちたいと思わない?そうすれば好きな時に好きなだけ大きくなれるわよ。」
「そんなこと、出来るんですか?」
「すべての女神が出来るわけじゃないけどね。少し私の力を分けてあげる。でもね。。。」
少し真面目な顔でミカを見下ろす絵里奈。この子の決心は決まっているみたい。大丈夫かな。そう思って言葉を続ける。
「今まで人間に力を与えたことないんだ。あなたが初めて、実験台になってもらうことになるけど。」
ミカの反応は絵里奈の想像を越えなかった。少し俯いたが、絵里奈を見上げてはっきりと言い放った。
「大丈夫です。何が起きてもエリナ様を恨むようなことはありません。それに、そんな凄い力を持てたらって思うと不安なんか吹っ飛んでしまいます。」
ミカはしゃがんで、ビルをひとつ鷲掴みにすると、「好きな時にこんなこと出来るんですよね。」とクシャリと握り潰した。

絵里奈がミカの目の前に片手を差し出すと、その上に次々とビルや車、人間たちが瞬間移動させられてきて10秒もしないうちに街のひと区画を形作る。
「何するんですか?」
街中で怯えている人間たちを見下ろしながらミカが尋ねると、絵里奈はおもむろにミカの後ろに回り込み、手に持っていた街を左胸の下に寄せた。
ミカは下乳で小さなものが潰れる感触と、小さな悲鳴や絶叫に少し驚いてしまう。
「あん、エリナ様ったら、急に・・・」
少し振り返ってそれだけ言っただけで、ミカの口は塞がれてしまった。絵里奈が唇を重ねてきたのだ。もう街は、乗っていた絵里奈の手がミカの胸を揉みしだいたために、
粉々に粉砕されてボロボロと千m以上下の地上に零れ落ちていっている。だが、ミカの驚きはここから始まった。
突然、口を通してなんだかわからない途方もないエネルギーが注ぎ込まれて来たのだから。

ミカの異変は、今まで絵里奈が力を与えたふたりの女神とそんなに変わらないものだった。だが、大きく違ったのはミカの身体が爆発的に大きくなったことだ。
唇を離した次の瞬間には、絵里奈の目の前にはミカの巨大な足の親指が文字通り聳えていたのだ。もう片足で、今居たこの街は完全に隠されてしまっている。
「凄いわね。」
あまりの急成長ぶりに絵里奈も少し驚いたが、あまり動じずに次の行動に移っていった。
「あう・・・はう・・・」
絵里奈に口づけをされた瞬間、ミカは身体中の血液の流れが数万倍にもなった感覚を受けていた。心臓の鼓動があり得ないほど速くなっているのを感じた。
このままだったら、心臓は破裂していたかもしれない。そんな不安も頭をよぎっていた。だが、そうはならなかった。血の流れはだんだんと収まっていき、
濁流から清流になろうとしていたのだ。そして、ミカは息を整える余裕を何とか持てるようになっていった。
「うまくいったみたいね。よかった。」
目の前からエリナ様の声が聞こえる。ミカは恐る恐る固く閉ざしていた瞼を少しずつ開いていった。
「こ・・・ここは・・・」
それだけ言ってミカは絶句してしまう。目の前には絵里奈がいるが、それ以外は何もないのだ。漆黒の空間に浮かんでいる。そんな感覚だった。
「フフッ、あなたの右胸の先に何がある?」
そう言われて相変わらず裸の自分の身体の右胸の乳首の少し先を見ると、絵里奈の左乳首との間にそれと同じくらいのサイズの小さな球体が浮かんでいるのが見えた。
「これ?何ですか?」
触ろうとするミカを絵里奈が制止する。
「触る前に顔を近づけてよく見てみるといいわよ。」
ミカはゆっくりと腰を曲げて球体に顔を近づけていくと、赤茶けた模様と水色の模様が混在している表面だ。でも、どこかで見覚えがある模様に思えてならない。
「なんだっけ?子供の頃に見たような気が・・・あっ、エッ?う、うそっ・・・」
「気が付いた?あなたの星よ。外から見ると意外と綺麗だけど、この表面では戦争ばっかりやっていたなんて思えないわね。」
「そうですね。でも、なんでこんなに大きくなったんですか?」
「私はあなたには何もしていないわよ。」
涼しい顔で絵里奈が言い放つ。が、ミカがその言葉の意味を理解するのに少し時間がかかったようだ。
「じゃ・・・あ、私、自分で?」
「そう、あなたは私の力をちゃんと受け取って、その力で大きくなったの。でも、それはあのままの大きさだと身体がもたないって感じたんでしょうね。凄い勢いだったわよ。」
「わたし・・・女神に?」
「じゃないと、宇宙空間で平気でいられないでしょ?」
「エリナ様っ!うれしいっ!」
言うなりミカは絵里奈に抱きついていた。その時に感じた胸の先で何かが砕ける感触。「あ・・・」と言って、身体を少し離すと、ミカと絵里奈の間にはさっきまで球体だったものが
粉々になって漂っていた。

「あら大変、ミカちゃんの星が無くなっちゃった。どう?再生できる?」
「え?そんな・・・私がですか?」
「ええ、元の星の形を思い出してイメージすればいいの。折角力を得たのだからちゃんと使えるようにしないと・・・ね。」
「はい、やってみます。」
とは言ったものの、星の破片を集めることは出来るがなかなか元の形に戻せない。意外と難しいんだなと思っていると、絵里奈が嬉しそうにしているのが見えた。
「エリナ様、そんなに笑わないでください。」
「ごめんね。私が女神になりたての頃を思い出しちゃって。それにそんなにすぐに出来たら、私の立場が無いじゃない。」
「そう、ですけど・・・」
「見本を見せてあげる。私も最初はそうだったもの。気にする必要はないわ。」
そう言って、ミカに星屑を覆っていた両手をどかせると、片手をそこに掲げて・・・一瞬で小さな球体が出来上がってしまった。
「すごいっ!」
ところが実は驚いたのは絵里奈の方で、確かに星の再生は出来るのだが、こんなに一瞬で出来るとは思わなかったのだ。これも、桁外れの力のおかげなのだろう。

次に絵里奈は星をふたりの目の前まで移動させた。
「人間も蘇生させてるから、どんなことを考えてるか聞いてみて。」
「でも、星がこんなにちっちゃかったら人間なんか・・・」
「塵にもならないでしょうね。でも、声は集中すれば聞こえるはずよ。」
ミカは言われた通り、目をつぶて星に向かって集中してみる。すると、頭の中に人の話し声のようなものがいくつか聞こえ始め、それはどんどんと増えていった。
「いっぺんに聞くと混乱するから気をつけてね。」
絵里奈に言われた通り、いくつか拾いだしたキーワードに絞って集中しようとすると、大多数が「真っ暗」「日食」という言葉を発している。
一度目を開けて星を見ると、ちょうど自分の頭が影になって、恒星の光を遮っていた。
「あ、あたしが原因?」
ミカはクスッと笑うと、頭を移動させて恒星の光が星に入るようにした。すると、今度は「いきなり明るくなった。」などという言葉が飛び込んできた。
「上手いね。これが初歩だから、もっと感覚を研ぎ澄ませるとこんなにたくさんの人間から一人だけの思考も捕らえることが出来るわ。それに、自分以下の力の女神や魔女のもね。」
「あ、はい。」
「じゃあ、これからもう少し力の使い方を練習しようか。しばらくあたしと一緒に他の宇宙に行く?」
「はいっ!あの、それ何ですか?」
いつの間にか絵里奈は指先に、小さな黒い球体を摘まんでいる。
「これ?宇宙のうちのひとつ。小さくしてコーティングしてみたの。なんかグミみたいでしょ。」
「え?でも、宇宙って果てが無いんじゃ・・・」
「それは人間の常識ね。今もこの中では、全てのものが凄い勢いで小さくなっているから人間には絶対にこの壁にはたどり着けないけど、女神や魔女は別。
力を持っている女神ならこうやって指先で摘まむのも簡単なのよ。」
「はぁ~・・・」
あまりのスケールの違いにミカは嘆息するしかない。
「あら、ミカにあげた力も訓練すればこのくらい出来るようになるわよ。少なくともBクラスの最上位くらいの力は与えたはずだからね。」
と、言われてもミカにはピンとこない。そうだよねぇ、と思い絵里奈は少し補足してあげた。
「ほとんどの女神や魔女はミカより全然弱っちいってことよ。」
いきなりそんなことを言われても全くイメージが湧かないが、ひとつだけわかっているのは目の前にいる自分の女神様が素晴らしい力を与えてくれたということだった。

「この中に数えきれないほどの星や、たくさんの人間がいるなんて・・・」
ミカは絵里奈の指先に摘ままれ、グニグニと弄ばれている宇宙を見つめていた。
「でも、この中には女神も魔女もいないみたいだからつまんないね。潰しちゃおうかな。」
プチュリ・・・
絵里奈の指の間でひとつの宇宙が捻り潰された瞬間だった。たったあれだけで、数えきれないほどの星が、人間が、それ以外の生命が消え去ってしまったのだ。
絵里奈はそれを軽く吹き飛ばし、完全に消失させると、ミカに向き直った。
「面白そうなとこ見っけた。そこにしようか。」
「あ、はい。ちょっと、待っててください。」
ミカはそう言うと、まだ近くを漂っていた自分がいた星に手を伸ばして上下を指先で摘まむと、クシャリ、と捻り潰した。
「よかったの?自分が生まれた星でしょ?」
「あんな嫌な星は消してやろうと力を分けてもらった時から思ってました。だから、これでいいんです。それに・・・」
「それに?」
「エリナ様が宇宙を潰した時、すっごくゾクゾクしちゃって・・・真似したくなっちゃいました。」
「だったら星ひとつじゃ物足りないんじゃない?」
「はい・・・」
「ちょっと力の使い方の練習しに行こうか。」
「はいっ!」
こうして、手をつないだふたりは、ひとつの惑星が消え去った宇宙空間から掻き消えていった。

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絵里奈とミカは、とある宇宙のとある星のとある都市のカフェでくつろいでいた。服装もこの星のものだし、身体のサイズも絵里奈が人間だったころとほとんど変わらない。
以前、エリーシャ様が「絵里奈くらいが人間の平均サイズだと思うわ。」と言っていたのを思い出す。
ただ、元々小柄な種族のミカは種族の中でも長身に入るのだがそれでも150cmにも届かないので、少し身体を拡大させることにした。
「いい感じに大きくなったし、似合ってるじゃない。」
気候が温暖なので、タンクトップにショートパンツ姿でサンダル履きなのだが、元々行動的なスタイルを好むこの二人なので、これが定番になりつつある。
もちろん、その星々でデザインなどが微妙に異なるようだが、おっさんの作者にはそんなことはわからない。ただ、ふたりとも胸元は大胆に開いているのはサービスなのだろう。
「ありがとうございます。でも、買い物とかしなくて済むって楽ですよね。」
「だって、いちいち使えるお金を持ち歩くって面倒じゃない。それに、もっと面倒だったら服を瞬間移動させちゃえばいいしね。」
「そうですね。」と笑うミカが絵里奈に尋ねる。
「でも、なんでここに来たんですか?戦争とかもしてないし・・・」
「フフッ、もうすぐ来るわよ。」
絵里奈は意味深な台詞と笑顔で答えると、アイスティーを口につけた。

数分後、それは唐突に現れた。カフェテラスから1kmほど離れているだろうか。林立するビル群の中にひときわ大きな影が落ちかかったかと思うと、地響きと共にその建物群を
膝下に収めるほど巨大な少女が現れたのだ。身長170mほどのスタイル抜群の美少女で、この星の人間の100倍ほどの巨人になっている。
絵里奈たちの周りの人間も、地震のような揺れで足を止め、その震源の姿を仰ぎ見て驚き、慌て、大多数の人間が逃げ出そうとしていた。のほほんとしていたのは絵里奈とミカくらいだろう。
「あれって・・・」
「ミカと初めて会った時の私と同じ、見習い女神よ。この星が見習い解除試験の場所に選ばれたみたい。でも、いきなり巨大化して現れるとは思わなかったわ。」
その時だった。その巨大な美少女が、右手を頭上に上げたかと思うと無言でこちらに向かって振り下ろしたのだ。
「あ・・・しまっ・・・」
「え、エリナ様っ!?」
ミカの視線の先に今まであった絵里奈の姿は消え去っていた。だが、腰から下だけはそのまま椅子に座っている。混乱しているミカの足元近くに転がっていた物体。それを見た時、
ミカは口に手を当てて絶句してしまったのだ。そこには、消え去った絵里奈の上半身がバツが悪そうな笑顔をミカに向けていた。
「油断しちゃった。いきなり攻撃してくるとはねぇ。でも、なんでわかったのかしら。」
と、向こうの方から声が聞こえる。
『私は女神です。この星には悪い魔女がいるので退治しに参りました。』
そう宣言すると、今度は絵里奈とミカに向き直って正面から片手を振り下ろす。が、今度は何も起こらない。絵里奈が力を封じたのだ。
「ねえミカちゃん、私の身体くっつけてくれる?このまんまじゃなんだかかっこ悪いんだよね。」
「え?あ、はい。」
普通はとっくに死んでいるはずなのに普通に会話している。なんだか不思議な感覚だ。これも女神の力なのかな。と思いながら、ミカは絵里奈の上半身を抱き上げようとした。
「あ~、そうじゃなくて。力を使ってくっつけてくれないかな。簡単よ。いつもの私の身体を思い出してそれをイメージすればいいから。」
「は・・・い・・・」
「急いでねぇ。あの子、能力が封じられたから力づくで来るみたいよ。」
絵里奈はわざと女神の力を封じる以外のことはしなかったので、見習いの少女は足元のビルや逃げまどう人々を踏み潰しながら、こちらに近づいてくる。どんどんと大きくなる地響きに
焦りながら、ミカは目をつぶって必死に絵里奈の全身像をイメージしていた。

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ズゥッシィィンッ!
少女は、カフェテラスの中央で転がっていた小さな女に向かって巨大な足を踏み下ろした。衝撃で周りの建物は崩れ落ち、逃げ回っていた人間も吹き飛ばされたが仕方がない。
そう思っていた。同じ場所を何度か踏みつけて退治したことを確認しようとした時、何か違和感を感じた。
「あらら、ずいぶんと念入りに踏み潰すのね。魔女に恨みでもあるのかしら。」
少女でさえ耳をふさぎたくなるような大音量が頭上から降り注いでくる。思わず顔を上げると、その場で尻もちをついて数棟のビルと数十人の人間を巨尻で押し潰してしまった。
「あ・・・あわ、なん・・・」
ミカの火事場のバカ力的な能力の発動でギリギリのタイミングで絵里奈の身体は元の状態にくっついていた。だが、例え間に合わなくても慌てなかっただろう。
絵里奈に勝利する唯一の方法は、肉体を再生できなくなるまで破壊して精神が戻る場所をなくすことだが、切断されたのと同時に肉体を塵にされても、絵里奈ほどの力であれば簡単に再生できるのだ。
それと同時に絵里奈がやったことはたったのふたつだ。自分とミカの周り以外の半径1km以内を千分の一に縮小し、このテーブルの上に転送しただけだ。だが、それは本当に一瞬で行ったこと。
おかげで、だだっ広い平原にポツンとふたりが座っているテラス席が一つだけという奇妙な風景に突然変わってしまい、ミカなどは何が起こったか全くわからなかった。

見習いの少女に大きな影が近づいて行った。ミカが手を伸ばしたのだ。少女を乱暴に鷲掴みにして目の前まで持ち上げると、少女の目の前には鬼の形相の女の顔がドアップになった。
「エリナ様を傷つけるなんて、絶対に許さないから。」
ミカの手に伝わるどこかの骨が砕ける感触と少女の悲鳴。それを見ながら絵里奈はテーブル上に乗っているビルのひとつを摘み上げ、中を覗き込んでいる。
「潰しちゃダメよ。それにそろそろその子の指導担当の女神が来るはずだから。」
絵里奈は、ミカの手の中でもがき苦しんでいる少女を横目にビルの中にたくさんの人間が怯え、震え、蹲っているのを冷たい笑顔で見つめながらクシャリ、とビルを捻り潰した。

少し不満そうなミカが少女を街の中に転がり落とした時、不意にひとりの人影が絵里奈の横に現れた。
「遅かったのね。」
「は・・・はい。。。」
そう答えた女性は、何だか怯えているようにも見える。いや、心底怯えていたのだ。
「こ・・・この度は、大変・・・申し訳、ありませんでしたっ!」
その言葉と一緒に、抜群のスタイルの身体を正確に90度折り曲げた。それは、見習い女神の少女の目には、とても奇妙に思えたのだ。だって、この人はBクラスの中でもかなり高い能力の
女神様だと聞いていたから。実際、自分の力ではこの魔女にやったようなことは絶対に出来ない能力差だったはずなのだ。それが・・・
「あなた、とんでもない方を相手にしてくれたわよね。」
女神は顔を上げると見習いの少女に向き直って、小さなため息をついてそれだけ呟いた。
とんでもない方って・・・ひょっとしてこの女の子が上位の女神様たちが噂している大女神様以上の力を持った大魔女?ってこと?
「あの・・・このお詫びはどのように・・・」
「あ~、そういうのいいから。あたしも油断してたからさ。でもいいセンスしてるよね、この子。あたしもてっきりミカが狙われたと思ってたからさ。」
と、その時だ。もう一つの影が女神の反対側に現れたと思う間もなく・・・ゴォッツゥゥゥンッ!!!絵里奈の目から星が飛び出した。
「った~い!エリーシャさまぁ、ひどいですぅ・・・」
絵里奈はエリーシャの拳骨の直撃をもろに喰らって、椅子からひっくり返りそうになってしまった。
「何言ってんの。昇格試験の邪魔したのはあなたでしょ!」
エ・・・エリーシャ様?大女神様に次ぐナンバー2の大女神候補のお方だ。なんでそんな方が・・・見習いの少女もめまいがしてきたようだ。
「でも意外なとこに弱点があったのね。この子にやられたのも、攻撃の狙いがずれてたまたまあなたが真っ二つになっちゃったんだものね。今の私もそう。あくまでもこっちの子に
集中して移動してきたから気付かなかったでしょう。」
「もう、確かに今のはよけきれませんでした。」
ちょっと怒った顔の絵里奈だが、そのやり取りを見ていたBクラスの女神はガタガタと震えている。
「どしたの?」絵里奈が尋ねると、
「あの、痛かっただけなんですか?」
「そうだよ。でもそっか、普通の女神ならミンチになってるよね。」
いや、ミンチどころか宇宙の100や200くらいは消し飛んでもおかしくない威力だったはずだ。それが痛いだけって・・・やっぱり噂は本当だったんだ。女神は心の底からこの星を選んだことを後悔していた。

エリーシャはムッとした顔で睨みつけている少女に目をやった。
「また力を与えたの?でも、女神界では見ない顔だけど・・・ひょっとして、人間?」
「はい。でも、元々素質があったんだと思います。普通だったら弾けて塵になってもおかしくないですから。」
「それにしても凄いわね。Bクラス筆頭並みか。あなたと同じくらいの力ね。」
エリーシャはようやく元のサイズに戻れた見習いの少女と一緒になって縮こまっている女神に目を向けた。
「力は持ってるけど、まだ使い方はちゃんと教えてないんですよね。」
「そう、だったら一度修行させた方がいいわね。ミカちゃんだっけ?私と一緒に女神界に来て修行しましょう。」
「え?でも、私は、エリナ様と・・・」
初めて口を開いたミカだったが、それを絵里奈が制止した。
「エリーシャ様が教えてくださるんでしたらいいですよ。何しろ私の師匠ですから。ミカ、私の言うことなら聞けるよね。」
「は・・・い・・・」
少し不満そうに答えたミカだが、絵里奈もエリーシャもそれがあらかじめわかっていたから、半強制的に修行させることにしたのだ。だって、やはり力は使い方を正しく教えてくれる人に師事するのが
一番なのだから。
「決まりね。じゃあ、エリーシャ様、よろしくお願いします。ミカ、一人前になったら一緒に遊ぼうね。あなたならすぐだから。」
そう言った瞬間、絵里奈の姿は消え去ってしまった。

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「あら、後始末だけ押し付けて行っちゃうなんて酷いわね。」
いつの間にか4人の周りには、この星の軍隊が取り巻いていた。なんだかわからないが都市の中心部がぽっかりと消え去ってしまったのだ。そして、その直前に現れた「女神」と称する巨大な少女。
つまり、彼女たちの力を知らない人間たちは、得体のしれない力を持つ化け物が現れたのだと理解したようだ。とすれば、軍隊の役割は決まっている。その得体のしれない何かを排除することだ。
「状況だけ見れば、私たちって侵略者よね。ここでは昇格試験は無理だから後日にしましょう。」
エリーシャはすっくと立ちあがると、取り囲んでいる軍隊を見回した。
「ミカちゃん、それとあなた。この軍隊の後に本体がいるから二人して相手してあげて。」
「え?わ・・・わたし?」
人差し指を自分に向けてキョトンとするミカ。だが、エリーシャは全てをわかった上で言葉を続ける。
「そう、巨大化とか瞬間移動とかの基本的なことは出来るでしょ?そうね、最大100倍までで片付けちゃってくれる?」
「はい、エリーシャ様。」
見習いの少女はそう言うと瞬時に消え去り、1kmほど向こうにその巨大な体躯を出現させた。
「ほら、あなたも行かないと、おもちゃが無くなっちゃうわよ。」
おもちゃ、そうだ、こびとの軍隊を玩具にする楽しみを取られるなんて嫌だ。そう思った瞬間、ミカの身体も消え去り、先に現れた見習い女神の横にほとんど変わらないサイズの巨人となって現れた。
「仲良く半分ずつにする?」
「いいわよ。」
見習いの少女の提案を受け入れたミカは、少女とほぼ同時に驚き仰ぎ見ている小さな人間たちの中に巨大な一歩を踏み出した。

5人の怪しい女たちを取り囲んでいた歩兵部隊と特殊部隊から、ひとりの女の姿が突然消え、次いでまたひとり、ひとりと消えていったという報告が入ったと同時に現地指令部の周りが騒がしくなった。
何事だ?と訝しい表情の現地指令や作戦参謀の許に伝令の兵士が真っ青な顔で飛び込んできた。
「たっ、大変ですっ!きょっ、巨人がっ・・・」
同時に司令部を大きく揺さぶる地響きが響き渡る。まさか、このタイミングで巨人が現れたのか?やはり巨人もあの女たちの仲間なのか。まだ小刻みに揺れ続けるテントから出た司令官たちが見たものは
超高層ビルのように長く逞しい脚、しかも4本もある。
「ふ、ふたり?」
首が痛くなるほど顔を上げてふたりの巨大な美少女たちを見上げた時、それぞれの脚が大きく動き、さらに巨大な地震を発生させた。

歩兵部隊と戦車部隊のちょうど間に聳え立っていたミカは、まずは一歩目で戦車をあっさりと踏み潰した。さらに、衝撃で跳ね上げられて地面に叩きつけられ、ヨロヨロと立ち上がろうとする小さな兵士の
集団に二歩目を踏み下ろすと、アスファルトに無数のひびが走ったのと同時にサンダルの裏からプチプチッという感触が伝わってきた。
「やっぱりこのくらいの大きさの方が踏み潰した感覚が楽しめるなぁ。」
そう思いながら横を見ると、あの少女も同じように破壊と殺戮を始めている。
負けられないわね。そう思ったミカの脳裏にあることが閃いた。ミカが掌を上にして右手を差し出すと、足元の兵士や装甲車が次々に瞬間移動して溢れかえりそうになる。
上手くできた。そう思って今度は同じくらいの身長の少女の後ろに回り込むと、その右手を軽く少女の右胸に押し当てた。
「え?な・・・なに?」
戦車の砲身をつまんで、目の前でぶらぶらさせていた少女が思わず指を離してしまうと、そのまま戦車は何人かの兵士を巻き添えにして地面に叩きつけられてしまった。
「おっぱいで人間を潰すの、気持ちいいよ。」
ミカがもう少し力を入れて、少女のやや大ぶりの胸を揉み始めると、瞬く間に手の中で小さなものが弾け、車両が潰れる感触が伝わってきた。
「あんっ、気持ちよくなっちゃうよ。。。」
あらかた揉み潰した掌を胸から離し、掌を開いたまま少女に見せつけるミカも少し上気している。掌全体は血とオイルで赤黒く染まり、まだ完全に潰され切っていないバラバラになった兵士たちの身体や
車両の残骸がこびりついている。
「ほら、ぐちゃぐちゃ。人間をこんなに簡単に玩具に出来るんだもん。やっぱり女神になってよかったよね。」
「うん、でも・・・本当はちゃんと管理しないといけないんだけど・・・まあ、いっか。」
少女は掌の上に、やはり人間や車両を集めると、小さな悲鳴が飛び交うその手をミカの股間へと伸ばしていった。

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「あっちはずいぶん楽しそうね。」
全身をハチの巣にされながら、エリーシャはもうひとりの女神に微笑みかけた。ふたりともついさっきから一斉に銃撃を受け、何もしないであえてすべてを受け止めていたのだ。
「そうですが、そろそろ終わりにしませんとエリーシャ様の美しいお顔がこれ以上穴だらけになるのも・・・」
「あなただって、似たようなものじゃない。でも、もういいかしらね。」
ふたりの女神は身体中を穴だらけにされながらも、にこやかに会話を続けていた。

兵士たちの顔は全員が恐怖で青ざめていた。なんであんな状態で会話をしているんだ?頭から足先まで全身くまなく銃弾を受けてどうして平然としていられるんだ?
しかも、背後ではふたりの巨人が突然現れて戦車部隊と戦っている。いや、一方的に破壊しているのだ。しかも、笑い声まで聞こえてくる。
本当に、彼女たちは女神、いや、女神という名の悪魔なのかもしれない。すでに何人かは心が壊れ始めていた。その時だった。突然目の前にいたふたりの女の姿も消えてしまったのだ。

その途方もなく巨大なものが、銃撃を受けていた女たちだということに何人が気付いただろうか。そして、その片方の女の片手の上に直径10kmほどの範囲が収められているのだ。
「ふふっ、この子たち、楽しんでるわね。」
ふたりから見ればせいぜい2mm程度の小さな少女たちがもっと小さな人間の軍隊を嬲っている場所も一緒に指導役の女神の掌に転送されていた。今、ふたりの身長は180kmほどだろうか。
今まで取り囲んでいた歩兵部隊など小さすぎて見えないくらいだ。
だが、エリーシャはその姿を正確に捉えていた。何人かは自分たちに気が付いて半狂乱になっている。そして部隊全体が恐慌状態に陥っていく。少し大きくなっただけでこれなのだ。
やはり人間とは弱く脆い生き物で、自分たちがしっかり管理しなければならないと再認識させられる。だが、この惑星は管理される権利をとっくに失っていた。
それと知っても知らずとも、女神に弓引いた罪は重いのだ。
エリーシャは、歩兵部隊がいた場所に直径1kmにもなる人差し指を近づけると、「仕返ししとかなきゃね。」と笑いながら一瞬で数百人の兵士全員と周りの建物群を押し潰した。
「じゃあ、この星の処分はあなたに任せるわ。終わったらふたりを連れて戻って来てね。」
エリーシャもまた、その場から姿をかき消した。

ふたりの小さな女神が、掌の上に乗せている街を蹂躙している。それを見下ろしながらこの女神は複雑な気分でいた。
ひとりは自分が人間界から連れてきて育てた可愛い弟子だ。だが、その実力は群を抜いていた。見習いであるにも関わらず既に力はBクラスの平均程度もある。
一人前になって経験を積めば、ひょっとしたら数少ないAクラスになれるほどの逸材だった。
そして、もうひとり。噂には聞いていた途方もなく強大な魔女が力を与えた少女は、すでにBクラス筆頭並みの力を持っている。こんな子が女神修行を終えれば、
その時点で場合によってはAクラス筆頭の力を持つかもしれない。
将来の女神界の力のバランスを変えるかも知れないほどの少女たちを改めて見下ろす。ミカという少女が高層ビルに抱きつき、腰をふりながらそのビルを抱き潰していた。
『抹殺するなら今しかない・・・』
彼女の手に少し力が入る。このまま握り潰して、ふたりの精神を消滅させれば二度と復活は出来ない。女神界の将来、自分の未来を考えたら今ここで・・・
その時だった。遊んでいた弟子の少女が不意に顔を上げて手を振ってきたのだ。つられてミカという少女も顔を上げてにこやかに手を振り始める。
やはり出来ない。未来がある女神を自分の手でなんて・・・彼女は手を目の前まで上げると、破壊と殺戮を楽しんでいたふたりの少女に、こう告げた。
「私の左手に移動しなさい。そろそろおしまいにします。」
ふたりは声をそろえて「は~い!」と返事をすると、持っていた戦車などのおもちゃを投げ捨て、彼女の左手の上に瞬間移動した。

エリーシャは絵里奈が摘まんでいた宇宙から指の力を抜いたのを確認して、ほっと胸をなでおろしていた。その宇宙こそ今までいた星があった宇宙だったのだ。
「よかったですねぇ。有能な指導者と有望な見習いを失わなくて済んで。」
「本当によく思いとどまってくれたわ。」
ふたりはあの指導役の女神の嫉妬心を正確に読み取って、消し去るべき存在化を試していたのだ。もちろん、星に残した3人には絵里奈やエリーシャがずっと監視していたことなど
気が付いていない。
「じゃあ、改めて、ミカのことよろしくお願いします。」
絵里奈は指先の小さな宇宙を瞬間移動させてぺこりと頭を下げた。
「それはいいけど、あなたはあの子をどうしたいの?」
「特に何も考えてません。ミカの思う通りのことをするには力が必要かなと思って与えただけですから。」
「野心もなさそうよね。貴女ゆずりかしら。いいわ、力の使い方の修行をさせたら、あの子の希望通りの道を歩ませてあげましょう。」
笑顔で消え去った絵里奈とちょうど入れ替わる形で、あの星を完全に消失させた3人がエリーシャの許に姿を現した。
エリーシャは、それを少し硬い笑顔で出迎えたのだった。