ウルトラユカちゃんG

ある惑星上、生物が住めるはずのない劣悪な環境の赤茶けたこの星の上には私ともうひとりしかいません。
「ここなら心置きなく組手が出来そうね。」
たぶん、アカネさんのこのセリフは5回目くらいでしょうか。実を言うと私はファイタータイプではないので少々疲れが溜まっています。
でも、ほかならぬアカネさんの「ねえ、ユカちゃん、組手しない?」というお誘いを無下に断るわけには行かないほどお世話になりっぱなしなので、ここは少しでも恩返しのつもりで・・・
「じゃあ、いくわよっ!ハッ!」
いきなりの回し蹴り?慌てて両腕でブロックしますが腕がジンジン来ます。アカネさんは生粋のファイタータイプなので、光線技とかは持っていないのですがパワーとスピードが
凄いんです。私はあえて吹っ飛ばされてそのままゴロンゴロンと回転して少し間合いを取りました。

でも・・・こんなこと確かに有人惑星ではできません。だって、私が回転した時に押し潰した出っ張り、私やアカネさんにとってはちょっとした凸凹でしかありませんが、
平均的なサイズの人間から見たら相当大きな山のはずです。身長540kmの私の足首くらいはありそうですから標高30kmはありそうです。
そんな私と身長600kmと私よりひと回り以上大きなアカネさんが有人惑星で組手をしたら・・・たぶん、瞬く間に滅亡してしまうでしょう。
だから、標準の惑星より大き目で間違いなく人が居なさそうなこの星を選んだのですが。

「ハァッ!」
突きの態勢でジャンプしてきたアカネさんを脚で軽く払って、指先から光線発射!ビシッ!アカネさんの腕に命中して爆発します。でも、出力は組手バージョンに抑えているので
私が思いっきり殴ったくらいの衝撃でしょう。
黒煙の中から躍り出てきたアカネさんを待ち構えるように回し蹴り一閃!
「はへっ!?」
ガッチリと足首を掴まれてしまいました。にっこりとほほ笑むアカネさん。あ、読まれてた。そう思った時には私の身体は宙を舞って、背中から叩きつけられてしまいました。
思わず目を瞑ってしまい、開けたその視界にはアカネさんの拳が・・・
ドゴォォォンッ!
慌てて避けた私の背後でアカネさんは惑星表面を思いっきり殴って・・・ビキッ!メキメリッ!私たちから見ても大きな亀裂が惑星表面に走り、ついには・・・
「あ・・・やっちゃった・・・」
振り向いた私と目が合ったアカネさんは、少し舌を出して笑っていました。
「あ、アカネさん?本気で殴ろうとしました?」
立ち上がった私の足元では至る所崩落しています。核にまでダメージを与えたアカネさんの突きはこの惑星の完全崩壊を誘発していました。直径3万kmの惑星でもこれなんです。
「だって、せっかく対等に戦える子が出来たんだもん。」
確かにそうです。でも、いくら私が大きくて強くなったといっても、アカネさんの突きや蹴りの威力は桁外れなんですよ。同じようなことを何回か繰り返してるけど、
私は本気の光線技で惑星をひとつ木端微塵にしただけで、アカネさんは突きや蹴りでもう3つも粉々に破壊しちゃったんですから。これで4つめです。
でもまあ、どっちにしても超巨大ウルトラヒロインにかかれば惑星程度なら簡単に破壊できそうですけど。
「じゃあ、そろそろ行こうか。評議会の連中も震えて待ってると思うよ。」
「はい。」
私たちは真っ二つに割れてさらにいくつかに分裂しそうな惑星を後にしたのでした。

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この人たちはある意味自分の職務(というか責務)に忠実なのかもしれない。でも、いい加減気付くでしょ?自分たちがいかに無謀な戦いを挑んでいるか。
「あの・・・ですね。軽く握っただけでこんなになっちゃうんですよ。もう、諦めた方がいいと思うんですけど。」
努めて冷静に、そして、あくまでも優しい口調で胸元でふよふよしている数十匹、もとい、数十人のウルトラ戦士の皆さんに話しかけてみました。
でも、開いた私の左手の上は私の口調とは真逆の大惨劇が広がっています。ざっと30人ほどが全身がほとんど潰れた肉塊になり果てて所々に貼りついています。
「これ以上は無駄だと思いませんか?私たちはただ、評議会の人たちと話がしたいだけなんですけど。」
左手を軽く振って小さな肉片を足元に振り落としますが、まだ攻撃してくるようです。右胸の辺りに何本かの光線が当たっていますが、痛くもかゆくもないってわからないのでしょうか。
「あー、無理無理。こいつら筋肉バカだから。」
アカネさんは隣で薄笑いを浮かべながら両手を叩いてまとめて数十人を叩き潰していました。もう私たちの足元には1000人近いウルトラ戦士が転がっているというのに、
本当に全滅させないとわからないのでしょうか。
「アカネさん、元の大きさに戻りませんか?」
そうです。まだ、私たちは彼らのたったの300倍ちょっとしか大きくないのです。他の惑星にいる時の変身前の感覚なんですけどそれでも圧倒的な差なのに・・・
こんなことなら元の大きさのままこの星に戻って来るんでした。そうすれば、ある程度の人は絶望して攻撃してこなかったと思うんですけど。
と、その時でした。私の目の前に何かが現れました。

「意外と早かったのね。警備兵なんかまだ1万匹以上いるんでしょ?半分くらいになったら出てくるかと思ったけど。」
アカネさんは私の目の前に浮いている評議会メンバーに右手を突き出し、指先で挟んでいるウルトラ戦士たちを見せつけています。
「まあ、いっか。ユカちゃん、始めましょうか。」
そう言うと、アカネさんは摘まんでいた3人の戦士たちを、プチリ・・・と捻り潰しました。
「はい。」
私もしつこく右胸あたりを攻撃を続けている10人ちょっとの集団に右手を軽く振り下ろして、全員を叩き潰してから評議会メンバーの前にそれを差し出します。
「乗ってください。」
でも、誰も動こうとしません。そりゃ、軽く握っただけでミンチですから、しかも、軽く握られるようなことをしようとしたわけですから気持ちはわかりますけどね。
「早く!それとも潰されたいんですか?」
ちょっと強い口調で言うと、全員がほぼ同時に私の掌に降り立ちました。そのまま目の前まで引き上げます。全員震えてるみたいですね。ちょっと可哀そうな気も・・・
いえいえ、そんなことありません。こいつらは私がこんなに大きくなるのを阻止しようと抹殺しようとしたんですから。
「最初に言っておきますけど、あなたたちが私を抹殺しようとしたことはもう気にしてません。だって、もう、そんなこと絶対無理ですから。」
彼らの中に安ど感が広がったようです。私から見ればたったの1cmにも満たない小虫でも、何となく雰囲気が変わったのがわかりました。でも、そんなに簡単に許す気は無いんですけどね。

掌の上の彼らが慌てふためいているのがわかります。そう、私とアカネさんが巨大化したのです。というより、元のサイズに戻っただけなのですが。
それでも、彼らの1万倍の超巨人です。今まで膝くらいの高さだった評議会の建物も今では足の親指より小さいのです。もちろん評議会のメンバーを含めたウルトラ戦士なんか、
たったの0.2mm程度しかありません。砂粒より小さいくらいです。10人ぽっちじゃ掌では広すぎるので指先に移動させようかと思ったくらいです。
「どうですか?大きいでしょう。」
もう、軽く息を吹きかけただけで彼らの身体はバラバラになってしまうので、慎重に言葉をかけます。何人かはあまりの恐怖に土下座していました。
「そんなに怖がらなくていいですよ。それより、ひとつ質問があるのですけど」
超感覚のおかげで、これだけ小さな彼らの言葉も聞くことが出来ますから、コミュニケーションは問題ないはずです。
「な・・・なんでしょうか。」という答えが返ってきました。
「私たちを派遣したいって星、ありますか?」
掌の上がざわついています。こんな超巨人を派遣できる星なんてあるのか?とか議論をしているようです。ですが、しばらくして答えが返ってきました。曰く、
「実は、自分たちと似た種族が様々な星系でいろいろと被害を起こしているのです。できれば、彼らをおとなしくさせたいのですが・・・」
同じようなサイズで同じような能力を持っているので、戦っても被害が甚大になってしまうので困っていたところだということでした。
そしてその本星の座標を聞いて、アカネさんと顔を見合わせてしまいました。
「あいつらの星かぁ。」あいつらとは、私が覚醒した直接の原因を作ってくれたあの勘違い男とその仲間の本星だったのです。(わからない人は初話を参照してくださいね)
「ねえ、それってさ、全滅させてもいいの?」
再び彼らがざわめき始めます。最終的にYesの答えをもらったアカネさんは何だかとても楽しそうでした。

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「最初からこんなに大きかったらつまんないんじゃないですかぁ?」
私はしゃがんで、足元をふよふよしている戦艦を摘まんでは左手の上に乗せていました。ウルトラ戦士たちを数百人は乗せることが出来る全長5000m以上の戦艦も
私から見ればせいぜい指先で摘まめるほどしかありませんから、10隻や20隻なら余裕で積み上げられます。
アカネさんは寝そべって地上から必死に攻撃している虫けらたちを次々にデコピンで木端微塵にしていました。
「そうだねぇ、でもさ、なんかおかしくない?思ったほど多くないっていうかさ。」
確かにそうです。たぶん、ざっと1億人の人口として、半分は他の星に悪さをしに行ってたとしても、戦えるのは少なくても1千万くらいはいるはずですが、
ふたり合わせてもせいぜい多くて1000人くらいしか潰してないと思います。
この桁外れの大きさに恐れをなして逃げ出したのかもしれないけど、それにしても少なすぎます。自分たちの本星の警備隊だってもっといたのに・・・
「戦艦ごと潰しちゃったのかなぁ」
私は掌に乗せた20隻ほどの戦艦を、一握りで握り潰しました。これでも多くて1000人くらいでしょうか。と、その時でした。
「ユカちゃん!あれ!」
顔を上げていたアカネさんの視線の先の空の向こうには衛星のような球体が見えていました。あれは、なんでしょう?
私たちは破壊と殺戮を一度中断して、宇宙空間へと飛び立ちました。

背後にある惑星が直径10万kmくらいでしょうか。近づいてくるのは直径1万kmほどの惑星サイズの人口天体のようです。ただ、この程度の大きさなら
身長600kmと540kmの今の私たちなら簡単に破壊することが出来るでしょう。
「なるほどねぇ、こっちに移動してたんだ。でも、なんであたしたちが来ることが分かったんだろうね。」
アカネさんのひと言に私はハッとなりました。思い当たる節があったのです。私たちがこの星に行くことを承諾した時、評議会メンバーの誰かが「クスッ」と笑ったのを
思い出したのです。つまりは・・・
「罠にかけたってことなのかな?でも、あんな要塞じゃあね」
私の話を聞いたアカネさんは、ますます戦意を高めていました。確かに取りついてしまえばこっちのものです。私たちはふたてに分かれて要塞に近づこうとしたその時でした。
突然要塞の一部分が開いて巨大な砲門が顔を出しました。直径は1000km、私たちの2倍近い大きさです。
思わずアカネさんに私の後ろに回るように言った時には、すでに私の光線技と同じ種類と思われる光線が発射されつつありました。
「えいっ!」
両手をクロスして渾身の光線技を砲門めがけて叩きつけます。と、同時に向こうからも光線が発射されました。

「あ、アカネさん、大丈夫ですか?」
何とかバリアを展開して光線の直撃を防いでいます。私の光線技は跳ね返され、そのまま押し込まれてしまっていました。威力は向こうの方が上だったようです。
アカネさんは純粋なパワータイプなのでバリアを持っていません。なので、私の後ろにいるのですが・・・
「ごめんね、私は何とか平気だけど、ユカちゃん、大丈夫?」
「はい、何とか。。。でも・・・」
このままでは、バリアも破られてしまいそうです。それにしてもなんという威力でしょう。まるで私たちのことを研究していたかのような、ってまさか・・・
評議会メンバーのうちの一人の声が聞こえてきました。超感覚で話しかけているようです。
「残念だったな。G適正と言っても所詮その程度か。抹殺できない?はは、今まさに抹殺しようとしているじゃないか。」
「ふ~ん、そういうこと。後で覚えてなさいよっ!」
アカネさんの怒りの籠った声に向こうは押し黙ってしまいました。でも、状況は変わりません。いったいどうすれば。私はバリアを張ったまま何とか要塞から距離を取ろうとしていました。

「こうなったらイチかバチかね。あたしが後ろから回り込むから、それまで頑張ってね。」
どうやらアカネさんはバリアで防いでいる空間を利用して惑星の裏を回って要塞に回り込もうとしているようです。確かに光線に拡散性は無いので私たちの背後はぽっかりと穴が
空いているように見えます。アカネさんの言う通り射程外まで下がって回り込めば・・・と、その時でした。私の張っていたバリアに一気に亀裂が走ったのです。
「そ・・・んな、まだ出力が上がるなんて・・・アカネさんっ!逃げてっ!」
かなり遠くまで下がっていたアカネさんに必死に叫びます。でも、まだ光線の射程外に出るにはもう少し時間がかかりそうです。
ここは何としても食い止めないと、私もバリアを何とか維持させながら下がっていきますが・・・
ビキッ!ビシビキッ!!!
「あっ、だめっ・・・」
これで直撃を受けたら、きっと、私・・・
バリアが破壊された瞬間、私の周りは一気に真っ白に染まってしまいました。

「あうううう・・・」
膨大なエネルギーが叩きつけられたのは自覚しています。まだ、身体のあちこちが少し痛いですから。でも、何か違うような。もう、光線の影も形も見えないんです。
エネルギー切れでしょうか。それにしても静かです。それに、星の向こうにあったはずの要塞も、あの惑星も見えません。一体何が・・・
そう言えばアカネさんは?そう思って振り返ろうとした時でした。頭の中にアカネさんの声が聞こえたのです。
「ゆ・・・ユカちゃん・・・ちょ、動かないでっ!」
「アカネさん?よかったですぅ。どこにいるんですか?」
少なくとも私の視界にアカネさんの姿はありません。でも、無事でよかった。
「あの・・・驚かないでね。あたし、今、ユカちゃんの髪にしがみ付いてるの。」
へ?髪?しがみ付く?えっと・・・どういう・・・
「今、目の前に移動するからちょっと待っててね。」
「あ、はい。。。」
少し待つと、確かに私の右目の前に何かが移動してきました。大きさはあの星の戦士くらい小さいのですが、ウルトラヒロインのコスチューム姿です。
私はそっと指を伸ばしてその小さな粒に近づけていきます。向こうもそれに気づいたのか、人差し指の上に降り立ちました。間違いなく意思を持った人の行動です。ということは・・・
「ユカちゃんの細胞が危険を感じて一気に覚醒したのかしらね。おめでとう。これがGGG適正の覚醒なのかな。」
ええ~っ!?さらに大きくなっちゃったってことですか?つまり、指に乗っているちっちゃなウルトラヒロインは実は身長600kmもある大巨人ってこと?じゃあ、私は?
「どのくらい大きいんだろうねぇ、少なくともさっきの星や要塞よりは圧倒的に大きいと思うけど。」
そうでした。あの要塞、こんなに怖い思いしたんですから逃がすわけには行きません。少し落ち着いて、回りを見回してみました。

「はぁ・・・ちっちゃ・・・」
星はちょうど私の胸の谷間の辺りに浮いていました。大きさは私から見ると3cmくらい、指でつまんでもおっぱいに挟んでも簡単に粉々に出来てしまうでしょう。
それと、要塞は?いました。左胸の先端のちょっと先です。まだ攻撃しているんでしょうか。直径3mmの球体から白くてすごく細い糸を吐き出して、私の胸に当てているようですが、
痛くもかゆくもありません。あ、でも、脱いだら乳首マッサージくらいにはなるのかな?
「凄いねぇ。あ、要塞はまだ潰さないでね。」
「はい。」
アカネさんの言葉にしたがって、要塞をそっと摘まんで広げた掌に移動したアカネさんに近づけていきます。光線はもう出ません。発射口を指で塞いだだけで中で少し爆発を
起こしたみたいです。それに反撃したり逃げられないように、ほんのちょっとだけ潰したのですが、ほんのちょっとではすまなかったようで、綺麗な球体が円盤状になってしまいました。
「星はいらないですよね。」
私は星に指を当てるとそのまま胸の谷間に向けて移動させました。もちろん、挟んで潰してあげるためです。星に残っている人はどう思っているのでしょう。
まさか、女の子の胸に星ごと挟み潰されるとは夢にも思っていなかったでしょうね。
私はそのまま軽く星を谷間に当てて、指の力で潰さないようにそっと押し込みました。これでおしまいです。あとは、この爆乳の乳圧に何秒耐えられるかですけど・・・
3秒も持ちませんでした。

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私たちの星も直径約10万km、今身長540万kmの私の指で簡単に摘まめるくらい小さいんです。その小さな星にアカネさんが降りて行って、震えているであろう評議会の人たちと話をしているはずです。
私はその小さな星を胸の谷間のすぐ先に収めた状態で、指先にあの要塞を乗せてアカネさんの合図を待っていました。と言ってもあの後ペシャンコに潰しちゃったので生存者はいないんですけど。
その間にいろいろ考えていたのですが、G適正に覚醒して10000倍になって、今回も10000倍になったということは、ひょっとしたら今はまだGGなのかもしれません。
何しろ前例がないので全く分からないのです。もし、仮にそうだとするとGGG適正はさらに10000倍大きくなることになります。それって恒星系が掌に乗っちゃうくらい?なのかな?
「あ、合図だ」
私は潰れた要塞を乗せた指先を星に近づけて、ひっくり返しました。重力に引かれて要塞は真っ逆さまに落ちていきます。着地した瞬間、星の表面が私にもわかる大きさで抉れ、
何かが吹き上がるのが見えました。あんなちっぽけなものでも、彼らから見れば巨大要塞ですから凄い破壊力なんでしょう。
「うっひゃぁ~、あたしも吹っ飛ばされると思ったよ~。」
頭の中にアカネさんの声が入ってきました。今、アカネさんは身長600kmのままなので、それよりも10000倍もちっちゃいこの星の人の被害は、たったのあれだけで数百万人規模だそうです。
私はただ、指に乗っていたとてもちっちゃいものを星に落としただけなんだすけど、桁外れの力の差に思わず口元が綻んでしまいます。
「えへへ、すみません。それで、評議会の人たちは?」
「直接の実行犯は要塞にいたって、だからもう潰れちゃってるよね。残りはあたしの手の上で震えてるけどどうする?」
「そうですね~、どうでもいいかなって思って。それ、アカネさんにあげます。」
「ユカちゃんから見たら微生物だからねぇ、まああたしから見ても塵みたいなもんなんだけど。わかった、こいつらは生きて反省してもらうことにするわ。」

私もおりてみようと思い、変身解除・・・あれ?出来ない。じゃあ、このまま小さく・・・あ、よかった。ずっと星より大きいままなのかと一瞬焦ってしまいました。
ゆっくりと星に降りて行って、アカネさんの横に降り立ちます。そのかなり向こうには私たちから見てもものすごく大きなUFOのような円盤状のものが地面に斜めに突き刺さっていました。
「あれって・・・」
「ああ、さっきまでユカちゃんの指先に乗ってたやつだよ。こうやって見るととんでもなく大きくなったんだって実感できるでしょ?」
「え?あ、はい。。。」
実は実感する以前に、あんなにちっちゃかったのに。と少し呆けてしまっていたのですが。
「ところで、この後どうする?あたし、ちょっと用事ができちゃったんだよね。」
なんでもアカネさんご指名で仕事を依頼されたらしく、ちょっと行かなければならない場所があるという話でした。少し興味があったので私も一緒に行こうと思ったのですが、
「連れていきたいんだけどねぇ、あたしひとりでもオーバーキルになっちゃうから遠慮してほしいって言われちゃった。ごめんね。今度、その人たちにも紹介するから。」
そう言って評議会の人たちを足元にばら撒いて、そのまま飛び立ってしまいました。評議会といっても元はウルトラヒーローなので飛行能力くらいは持っているので転落死することはないんですけど。

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私は今、ある惑星の海岸沿いに寝そべっています。サイズは最小の18000mなんですけど、この星の人もせいぜい2mあるかないかなので、彼らから見たら10000倍の大巨人です。
頬杖をついている私の視線の先では、この星の山くらいの大きさのものが蠢いています。怪獣です。しかも、体長は1000mほどあるでしょうか。
普通のウルトラヒーローの20倍くらい、確かに彼らでは歯が立たなそうです。評議会の人たちが哀願するように私にお願いしてきたのを思い出してしまいました。
「この子、どうしようかなぁ。」
鷲掴みにして握り潰しても、拳を軽く振り下ろして叩き潰してもいいんですが、実はちょっと虫の居所が悪いんです。だってせっかく助けに来てあげたのに、この星の軍隊は怪獣じゃなくて私を攻撃してるんです。
右胸の横あたりが少しくすぐったいのは戦艦の砲撃でしょう。正面からは戦車部隊が必死に攻撃しているようです。ほとんど何も感じないんですが。
「う~ん・・・そうだ。」
やっぱりわからない人たちにはお仕置きが必要です。そう思って私は寝そべったままで巨大化を始めました。
・・・
「あ、やっぱり潰れちゃった。。。」
巨大化に伴って標高60kmにもなるおっぱい山で、艦隊も戦車部隊もすり潰してしまいました。ついでに街も丸ごと片方のおっぱいの下に隠れてしまっています。というより、さらにいくつかの街を
押し潰しちゃったようです。怪獣も潰れちゃったかな?そう思って谷間に視線を落とすと、何か小さな粒が・・・あの怪獣、運よく胸の谷間に潜り込んでいたようです。
でも、その運の良さもこれで終わりです。私は少し上体をずらして、怪獣はもちろん、その近くの山々も、山中から海の近くまで点在していたいくつかの小さな街もまとめて
超特大おっぱいドーザーの下敷きにしてしまったからです。
これ以上攻撃してきませんよね。もし、そんなことしたら・・・今度は星を丸ごとこの爆乳の餌食にしちゃうから。そう思いながらまっ平になった地面を見下ろしていると、
少し眠くなってきました。
今度は何をして遊ぼうかな?そんなことを考えながら、いつの間にか私は内陸の大都市を枕にして、眠りについてしまいました。