今回の話は超乳戯画というサイトにて
帝国城摂政様から案を頂き
それを元に作った話となっております。










「よーし……じゃあ早速、始めるわよ……」

暗く怪しげな雰囲気を漂わせる森の、奥深くに建っている、古びた巨大な洋風のお屋敷。
その屋敷の、地下深くにある部屋の中では、紫のローブを身に纏った一人の少女が
何やら緊張した面持ちでその場に立っていた。

少女の手には、木で出来た短めの杖のようなものが握られている。
彼女はその棒の先端を、部屋の中心にあるテーブルの上に置かれた
手のひらサイズの、小さなクマのぬいぐるみに向かって
じっと体の動きを止めたまま、真っ直ぐ構えていた。

「本当に今度は大丈夫なんスか、ご主人様? また失敗したら、次はお師匠様に何を言われるか、分かったもんじゃないっスよ?」
「うるさいわね……あんたはただの使い魔なんだから、私の命令に従っていればいいのよ。それに今度こそは、絶対に成功させてみせるんだから……」

少女に向かって横から声を掛けてきたのは、彼女の隣で羽を動かしながら
ふわふわと空中に浮かんでいる、小さな悪魔のような生き物であった。
大きさはちょうど、少女の顔と同じくらいであり、その見た目は一言で言ってしまえば
デフォルメされた、可愛らしい悪魔のキャラクターそのものである。

この謎の生き物は、少女が使役している使い魔であり
少女の正体は驚くべき事に、なんと本物の魔法使いであった。

だが魔法使いと言っても、少女はまだ見習い段階の、半人前の魔法使いである。
ちゃんと使える魔法もまだ数えるほどしかなく、今は師匠である
一流の魔法使いの元で、一から修業中の身だった。

「物を大きくする魔法……そんなの、今の私の力なら、充分に成功させる事が出来るはずよ。間違いなく……」
「つい昨日、魔法を失敗させて、師匠に散々怒られたばかりなのにスか?」
「あんたは余計な一言が多いのよ! いいから今は、黙って見てなさいっての! 今度こそ……新しい魔法を成功させて、お師匠様に認めてもらうんだから……!」

強気な口調で、使い魔の文句に言葉を返していた少女は
手に持っていた小さな杖を構えたまま目を瞑り
何故かいきなり、謎の言語を口にし始める。

「○△□×……○△□×……○△□×……」

意識を杖の先に集中させて、ボソボソと謎の言語を呟き続けていく少女。

これは、少女が師匠から先日習った、物を大きくする魔法を発動させるための呪文である。
この魔法を無事に発動させて、クマのぬいぐるみを大きくする事こそが
今回師匠から少女に与えられた、新たな魔法の課題だったのだ。

今まで何度も、課題を成功させようと魔法を発動するたびに
大失敗を巻き起こして、師匠にまで迷惑を掛け続けてきた少女。
だが今度こそは絶対に必ず成功させてみせる。少女は強く固く誓っていた。

「○□×△…………」

そこまで呪文を言い終えると少女は、不意に杖を高々と頭上に掲げて
今度は大きく、辺りに響き渡るような声で叫ぶ。

「さあ! 今すぐ……大きくなぁれっ!!!」

叫びながら少女は、頭上に掲げていた杖を勢いよく振り下ろして
テーブルの上のクマのぬいぐるみへ向け、魔法を発動させようとする。

だが。

「あ……あれ? 杖が、無くなった?」

少女の手には何故か、先程まで持っていたはずの杖が、握られていなかった。
彼女が杖を探し、辺りを見回そうとすると、いきなり横から切羽詰まった声が聞こえてくる。

「ご、ご主人様っ! 上、上ぇ!」
「え、上……?」

少女が使い魔の声を聞き、上を向いた、次の瞬間。

「痛っ……え? 杖が降ってきた……?」
「ご主人様が上に投げてたんスよ! 馬鹿みたいに強く振り下ろすから、またいつもみたいに手から杖がすっぽ抜けるんス! なんでこう、いつも学習しないんスか!」
「馬鹿みたいにとは何よ! 別に失敗したなら、また一から呪文を唱え直せばいいんだし……ん?」

少女は、使い魔への反論の途中でふと、自分の体の異変に気が付く。
彼女の体からは、怪しげな光が溢れ出してきていたのだ。

「これは、魔法の光……?」
「まさか……杖が頭上から、ご主人様に向かって降ってきた時に、杖の先端から出ていた物を大きくする魔法までが、一緒にご主人様へと降ってきていた……とか?」
「えっ? それだとつまり……物を大きくする魔法が、私に掛かったって事になるんじゃ……」

少女がそこまで話をした、その次の瞬間。
不意に彼女は、胸元にグッと込み上げてくるような苦しさを覚える。
少女がその苦しさに慌てていると、いきなり背中からバツンッという音が聞こえてくる。

「今の音……まさか、ブラのホックが壊れたの?」
「ご、ご主人様! むっ……胸が……」
「え? 胸が一体どうしたって……えええぇぇぇっ!」

使い魔の声を聞いた少女が、自分の胸元へ視線を落としてみると
そこにはローブを突き破ろうとするほどに、前方へと突き出している
巨大な二つの膨らみがあった。
その二つの膨らみは、更にドンドンと大きさを増していき
あっという間に彼女が着ていたローブの布を突き破り、ボンっと飛び出してくる。

「きゃああっ! 私の、む……胸がいきなり飛び出してきたっ!」

ブラのホックを破壊し、ローブの中から突き出してきたのは何と
少女の両胸の膨らみ、つまりは「おっぱい」であった。
そしてローブを突き破っても、まだ彼女の両胸の成長が止まる事は無く
むしろさらに勢いを増していっているように思えた。

そして大きくなっていたのは、何も少女の両胸だけではない。

「ご主人様、背が……」
「背? あれ、そういえば何だか目線がやけに高いような…………というかコレ、完全に私自身が大きくなってる!?」

少女の考えは正解であった。
自身が放った魔法をその身に浴びてしまった事により、彼女の胸だけではなく
その全身が徐々に、ムクムクと巨大化し始めていたのだ。

パンツをビリリと破りながら、更に勢いよく膨らんでいくお尻。
ムチムチさを増しながら、ドンドン太く長く大きく、膨らんでいく太もも。
そして少女の両手や両足、腰など何もかもが、凄まじい勢いで巨大化していった。

「このままじゃ……屋敷を突き破っちゃうじゃないの! もう……今すぐ、何とかしてぇぇっ!」
「無理っスよぉ! 自分は所詮、ただの使い魔なんスからああぁぁっ!」

そのまま少女の巨大化は更に勢いを増していき、遂には屋敷の天井に、彼女の頭はぶつかってしまう。
だが、頭がぶつかった程度で当然終わるはずも無く、巨大化の止まらない少女の体は
屋敷の天井を破壊して突き破り、一切止まる事なく、もっと巨大になっていった。

「もう、どうすりゃいいのよおおおおぉぉぉっ!」
「自分に聞かないで欲しいっスうううぅぅっ!」

屋敷は結局、巨大化の止まらない少女の体によって破壊されてしまい
最後には完全に、元の屋敷の原型を無くし
彼女の尻の下に、すっかり敷かれてしまうのだった。




「……さて、今頃は上手くぬいぐるみを大きく出来ている頃か…………え?」

数時間後。
買い出しから帰ってきた、師匠の魔法使いが目にしたもの。
それは、跡形もなくなっていた自らの屋敷と
その上にぺたんと座っている、あまりにも巨大な、見習い魔法使いの少女の姿であった。

今まで住んできた屋敷を、お尻の下敷きにし、生まれたままの姿でいる、弟子の魔法使い。
彼女はその場から一歩も動けないまま、今は豆粒ほどに見えるであろう
自分の使い魔に向かって、街中に響き渡るような大声で喋っていた。

「もおぉぉ! これから一体、どうすりゃいいのよぉ!」
「だから知らないと言ってるっスよ! 大体、何でこんなに巨大化するんス! もしこの魔法が、ぬいぐるみに当たっていたとしても、やっぱりそれはそれで大参事だったじゃないスか!」
「だ、だって……師匠は、全力を出せって……」
「全く……ホントご主人様は、魔法力は無駄なくらい、桁外れに凄まじいのに、それをちっとも上手く使えないんスから……」
「だーかーらー……無駄って一体どういう事よ! 使い魔の分際でよくもぉ!」
「無駄だから無駄と言ったんス! それのどこが悪いんスか!」
「言わせておけば、この……チビ使い魔めええぇぇぇっ!」

大声で叫ぶ少女と、それに負けじと叫び声を上げる使い魔。
そんな二人の声を聞きながら、師匠の魔法使いはため息をついて頭を抱える。

「どうやら、やっぱりまた失敗か……そして、あいつを元の大きさに戻すのと、屋敷をまた復元するのと……こりゃ随分と魔法力をまた使わなくちゃいけなそうだ、ハァ……」

師匠の魔法使いは、これからに関して考えを巡らせながら
一人でどんよりと落ち込んだ表情を見せる。
そんな中、少女と使い魔は堂々巡りの口喧嘩を、延々と続けていくのだった。