この話は超乳戯画というサイトにて
ハリナ様から案を頂き
それを元に作った話となっております。




日常にあるあらゆるものが
もしも巨大な女の子だったら・・・
あの建物が、あの乗り物が、あの自然が・・・



「う……うぅぅ……」

ずぶ濡れになりながらも一人、海岸の傍に横たわりながら、うめき声を上げていた少年。
船での旅行中、運悪く船から投げ出されてしまい、そのまま海の彼方へと
流れて行ってしまった彼はどうやらその後、流されていった末に何とか
陸地に辿り着いていたようだ。

「ここは、どこかの島か? どうやら、人の気配は全く無いようだから、無人島みたいだが……何か、変だぞ?」

そして、倒れていた状態から、ゆっくりと体を起こして立ち上がった少年は
辺りを何度も見回しながら、かなり不思議そうな顔を浮かべていた。

少年が辿り着いたその島には、木どころか草の一本さえも生えておらず
足元を見てみると何故か、薄く柔らかな肌色の地面が延々と続いていたのである。

その光景を不思議がり、足元を少年が強く踏みしめてみると
その地面はまるで、マシュマロのように少年の足の力を吸収してしまったあと
ぽよよん、と大きく確かに揺れ動いていた。

「一体、何だここは……俺は、マシュマロで出来た島にでも流れ着いたのか……?」

この島の不思議な点はそれだけではない。
少年が島の地面に手を当ててみると、そこは何故か、ほんのりと温かったのである。
その温かさはまるで、人肌の温かさによく似ているように、少年には思えた。

他にも、島全体が何度も浮き沈みを繰り返すように上下しているのも
不思議な点の一つである。これではまるで、島全体が呼吸をしているようじゃないか。
少年には、そんな風に感じられてしまう。

彼はその後、自分の周囲の現状に、かなりの不気味さを感じながらも
最終的には仕方なく、島の探索を一人で始めていた。
彼は今、非常に腹が空いている。その空腹を満たすためにも、島の探索は
絶対条件のはずだろうと少年は考えていたのだ。

そして、海岸から離れた少年はまず初めに、高く大山のようになって雲に隠れている
島の中心へと向かう事にした。
高い所から見渡せば、島の全景が良く分かるはずだと、少年は思い付いていたのである。

「しかし柔らかい地面だな……まるで足が沈み込んでいくみたいだ……」

誰に聞こえるわけでもない文句を言いながら、一歩一歩確かに
島の中心へと向かって歩いていく少年。

そのまま少年が歩き続けながら、一時間が経った頃。
遂に彼は目的の場所である、大山のようになっていた島の中心部へと辿り着く事が出来ていた。

だがそこで彼はまた、更に驚くべきものを目撃する事になる。

「何だ? この薄ピンク色の、でっかい物体は……島のモニュメントか何かか?」

島の頂上には何故か、高さ十メートル以上はあると思われる
ピンク色をした謎の物体が、堂々とその場に置かれていたのである。
試しに、その物体を調べようと思った少年は、すぐに歩みを進めていって
謎のピンク色の巨大な物体に、そっと手を触れてみた。

その直後。
急に島全体が大きく揺れたかと思うと、少年の目の前にあった
謎のピンク色の巨大物体は、急にビクビクと痙攣するようにして動き出していた。

痙攣しながらその巨大物体は、徐々に大きさを増していき
最後には倍ほどにまで、巨大化してしまっていた。

「何だったんだ、今のは……ん? ピンク色の物体の様子が、何かおかしいぞ……」

少年が再び巨大物体へと近寄ってみると、その物体の全体からはおかしな事に
真っ白な液体が、じんわりとにじみ出していた。
その液体を手に取って、試しに舐めてみると非常に甘く、とても美味であった。

「ああ、駄目だもう……我慢できねえっ!」

腹を空かせていた少年は、空腹に耐え切れなくなり、すぐに目の前にある
天を突くような薄ピンクの巨大物体へとしがみ付きながら、一心不乱に
にじみ出ている白い液体を舐めていく。
少年が強く、その巨大物体に触れる度に、島はまた大きく揺れ動いたあと
物体は更に大きく膨らみながら、多量の白い液体をじわじわと出していった。

最終的に少年は、数十メートルにはなった巨大物体から、ぶしゅうううう……と
音を立てて流れていく白い液体を、全身に何度も浴びながら
ごくごくと喉を鳴らして飲んでいたのだった。



その後、白い液体によって何度も腹を満たしていた少年は
数日後にやってきた助けの船によって、運よく無人島から救助されていた。

島からドンドン離れていく船に乗って、乗務員達に島での出来事を
全て
事細かく少年は話していく。
すると彼はある乗務員の男から、非常に興味深く、面白い話を聞かされていた。

「女海坊主……?」
「ああ。何でもこの広い海には、空を覆い尽くすほどに巨大な、全裸の女海坊主ってのが住んでいるらしいんだ……そして、その女海坊主が海に沈み込んで寝ている時、海には一つの大きな島が出来上がるってわけよ……」
「それってまさか……女海坊主のおっぱいだけが、海上に出ている事で、まるで島のようにでも見えると?」
「……当たり。要はそういうわけだ。そして、その女海坊主ってのは、すげえ優しい性格らしくてな……自分の体の上に乗っかってきた人間の事を、振り下ろすわけでも叩き落とすわけでもなく、静かにただ、乗せたままにしてくれているらしい」
「つまり俺は……知らないうちに、その女海坊主のおっぱい島に乗っていたってわけですか?」

自分が経験した数日間の出来事を思い返しながら、乗務員の話を聞いていく少年。

「だろうな。それに話を聞くと、どうやらお前さんは、あの女海坊主の乳首からミルクを吸わせてもらう事で、何とか数日もの間、何も無いあの島で生きてようだが……それでも女海坊主は決して、お前さんを体の上に乗せたままで、立ち上がったりはしなかっただろう?」
「え、ええ。まあ、そうですけど……」
「つまりは、女海坊主の優しさと健気さに、命を救われたってわけだな……それに、女海坊主の体の上に乗っかってなけりゃ、今頃お前さんはお間違いなく、海の藻屑だったんだ。今はもう立ち去っただろう、女海坊主のおかげで生きているんだから、少しはあいつに感謝してやる事だな……」

そう言うと乗務員の男は、足早に少年の元から立ち去っていった。
一人取り残された少年は、男の言葉を何度も頭の中で繰り返し思い出しながら
ため息と共に、穏やかな笑みを見せていた。

「女海坊主、か……またいつか、どこかで会えた時には、今度こそちゃんと礼をしたいもんだな……」

そう言い終えたあと少年は、甲板へと出ていき、たった一人で
自分が今まで過ごしてきた、無人島があった方向へと視線を向けてみる。

するとそこにはもう、島の影も形さえも、存在しない状態となっていた。