「ぐっ…!こんな、はずじゃ…」

4、50メートルはあろうかという体躯。その圧倒的な巨体が、苦痛に揺らぐ。
最後の力を振り絞り僕を捕まえようとするが、次第に動きは緩慢になり、そして、ズズン…と地響きを起こしながら倒れた。


1年前、僕の故郷に突如襲いかかったサキュバスの群れ。
その元凶である、サキュバス族の長たる、女王――


勇者としての使命を与えられた僕は、ここに復讐を完遂させた。

横向きに力なく横たわる、サキュバスの顔の元まで歩いていく。
あとはこの、女神サマから授かった聖剣で、この女王を永遠に封印するだけだ――


しかし、サキュバスに近付いていくうち、香水のような甘い香りが、僕の歩みを止めさせた。
髪の毛から、だろうか…腰まで伸びるほどのサキュバスの鮮やかな銀髪は、僕の足元にも美しいままで流れている。
なんだか眠くなってくるような、心地の良い香りが、髪の毛の海から発せられ、身体中が包まれる――


っと、あぶないあぶない。
自分の使命を思い出し、平静を取り戻そうとする。打ち倒してもなお魅了されかけるなんて、油断ならないやつだ、まったく。


でも…


僕の目線は、サキュバスの唇から離せなくなっていた。柔らかなピンク色をした、巨大な2つの肉壁。
僕の胸元ほどまでの大きさがあるそれは、まるで僕を誘い込むかのように、僅かな隙間を見せていた。


ちょっとだけなら…それに…完全に意識を失ってるんだし…


精液を糧とするサキュバスにみすみす精液をくれてやるなんて、危険な行為だとは頭の中で理解していたが、髪の毛の甘い匂いに冷静さを奪われた僕は、やっても大丈夫だという理由付けしか考えられなくなっていた。


唇の前に立ち、ズボンを脱ぐ。
誘い込まれるままに、ぷっくりとした肉厚の割れ目に、僕のモノを挿し込んでいく。

「あぅ…」

ぷにぷにとした感触に包まれる。
圧力はかかっておらず、ただ、触れているだけ――それでも、感触だけで僕は勃起してしまっていた。

もっと気持ちよくなりたい。その一心で、両手で唇を掴み、ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ、と何度も僕のモノに押さえつける。

「ああっ、やわらか、くて、うああっ…」

まるでパイズリをさせているような快感。微かに湿った唇の温もりと弾力。
未知の快楽に、僕はあっという間に果てた。

「ああっ!出ちゃうっ!」

どくん、どくん…
身体を震わせながら、サキュバスの口内に精液を注ぎ込んだ。
射精の余韻に浸っていると、はっと忘れかけていたことを思い出す。そうだ、早くトドメを刺さなきゃ…。

そう思いながらも、ぼんやりとした頭と力の抜けた身体では中々行動に移せない。
このままじゃいけない…早く抜け出さないと…。
ようやく冷静になってきたところで、後ずさりをし始める。その瞬間。


じゅるるっ!

「なっ!?」
突然襲い掛かってきた力に僕の身体は口元に引き戻されてしまう、そして、

ちゅぱっ、じゅる、ぐちゅるるるっ!
「うわぁっ!あぁぁぁーーっ!!」
僕のモノが取れてしまいそうなほどの物凄い吸引力で吸いこまれる。
すぼめた唇が、潰されそうなほどの柔らかさで挟み込んでくる。
亀頭にはぬめった唾液で濡れた舌が何度も叩きつけられる。逃げられない!

「ひいっ!あぁっ!あぁぁー!!」

あっという間に、2回目の射精を迎えてしまった。
それでも休む暇はなく、柔らかな唇は、じゅるっ!じゅるっ!と大きな音を立てて精液をすすり続けてくる。


「あがぁ、うあぁぁぁ!」
何度精を吐き出しても、僕の身体に押しつけられる柔らかな唇、生温かく、粘っこい唾液、亀頭を刺激する肉厚の舌、その全てが僕に萎えることを許させない。
そしてストローで吸われるかのように、強烈な吸引力で文字通り精液を搾り取られていた。

「あぁぁぁぁ…!」
天にも昇るかのような快感で何も考えられない。精液は殆ど打ち尽くしていたが、射精したという感覚は常に快楽を与え続ける。
僕はただただ喘ぐことしかできず、次第に意識は薄れていった…







目が覚めたのは、硬い床の上だった。
ここはどこだろうと考える前に、自分が全裸であることに気づく、そして前方を向くと、

「あぁぁ…」

目の前に広がっていたのは、邪悪な笑みを浮かべた巨人の上半身。紛れも無い、女王の姿だ。僕はテーブルの上に置かれていた。
その瞬間、僕は全てを思い出した。サキュバスの女王に吸い尽くされ、そのまま意識を失ったことを。
そして全てを悟った。僕はもう女王に勝てず、これから餌として生きていくことを――


「お目覚めみたいね、一度は私をやっつけたのに、私の魅力に我慢できず自滅した勇者君?」

女王の嘲笑にも、僕は黙って聞いているしかできない。
それどころか、罵倒の言葉を紡いで動く唇に、目が釘付けになってしまう。

「さ、また精を出してもらうから、おいで?私を倒しにやってきたぁ~、ゆ・う・しゃ・くん♪」

そう言って、テーブルに突っ伏し、唇をすぼめてちゅっ、ちゅっ、と音を立てる。

「あぁ…」
熱に浮かされたように、フラフラと口元まで向かう。
愛おしい唇に抱きついて、隙間に挿し込む。

そうすると、女王はまた僕の股間にちゅぱちゅぱと吸いついてくる。
「で、出ちゃうぅっ…!」数秒と持たずに、精液を吐きだした。

打ち倒すべき敵とか、自分が勇者だとか、そんなことはとうに忘れて。
何も考えずに快楽を受け続ける今が、最高に幸せだった。